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ニュースつぶやき:「香水マーキングは逆効果?」

 男性に貸してもらった衣類に自分の使っている香水をかけて返すというテクニックの話。


 とあるタレントの女性が『借りた洋服を返す際に、自分の使っている香水をかけて返却する』と発言し、炎上未満になっている模様ですわ。
 彼女が言うには、『貸した洋服返ってきた時に、その子の匂いするなとか思ったらキュンとしません?』と。また『匂いって唯一、五感の中で脳と繋がってるんですよ。だから、本能に語りかけるの』とも。

 いえ、あの……

 それって、まったくの逆効果だと思いますの……

 たしかに、嗅覚は記憶と密接に結びついています。特徴的な匂いを嗅げば、遠い過去の記憶もありありと思い出せるくらいに。
 ただし、それは「その匂いが」「その記憶と」密接に結びついていることが条件となります。何年も訪れていない親戚の家を訪れた時、その家独特の匂いで昔懐かしい記憶を呼び起こす一方、自宅ではおととい食べた夕食すら思い出せないのはこれが理由ですわ。

 借りた衣服に自分の使っている香水をつけて返したら、それはそのうちその人の匂いになってしまい、送り主の記憶は薄れていってしまうのではなくって?

 わたくしは割と香水やアロマを多用します。しかし闇雲につけているわけではありません。いつ、どこにいる時に何を使うか。誰と会うときに何を使うか。それらを厳密に決めております。わたくしが漂わせている香りの中には、他にただひとりしか知らないものがあり、またわたくしだけしか知らないものがございますの。残り香で存在を想起してもらえる、それが、わたくしなりの香り、匂いとのおつきあいの仕方ですわ。

 香りは気分を高揚させたり、逆に落ち着かせたりもいたします。それは、ある程度の自己暗示も含まれているかもしれませんね。楽しい時に特定の匂いを嗅ぐことを繰り返すと、次第にその匂いを嗅ぐと楽しい気分になってくるものです。

 なので、この女性タレントのおっしゃることの意図は理解できますけども、やりかたについてはちょっと賛同できませんわね。そもそも香水は、衣類にかけるものではなく、肌に触れさせて、体温で揮発して変化していく香りを楽しむものですし、衣類の素材によってはシミになってしまうかもしれませんから。まあ、どうしてもやるのであれば、洒落たカードに香水を少しかけて、素敵な封筒に封蝋を施して、控えめに忍ばせれば、また印象も変わってくるのではありませんこと?



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