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未熟な大人/子供の暴力④

思春期の暴力~序章~


前回はコチラ


つづき

小さいことを気にするなと言っても
本人の気持ちは変わらないものだ
それが分かってはいるが
どう寄り添えばいいのかわからなかった

あの子は
この時どんな気持ちだったのだろうか

ひたすらネットを探しても
相談をしても解決策がなく
様子を見る、つまり放っとくしかなかった

子供をもつ同僚や友人には
同じような子を持つ人はおらず
ほとんどのママたちは
まだもっと小さな子たちのママだったし
ちらっと言ったとしても
「大変だね~」
「男の子だもんほっときゃ治る」と
面倒くさいのもあると思うが
あまり親身に答えてくれる人はいなかった

というか、どれだけ深刻か想像つかないのだと思う


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癇癪は毎日なわけではなかったが
前回も言ったような
「そんなことで?」と思う事で泣くので
祖父(私の父)は古い人間なので
泣くとは甘えてると思うタイプの為
玄関から放り出しては
泣き止むまで外にいろ!と喝を入れたのだった

私は何が正しくて
何がケンタのためになるのか分からず
それを見てるだけだった
暴力とかそんなのではないが
昭和的なやり方で乱暴だったと思う

だがそれがなければ
至って普通の子だった
学校に行き友達と遊び
宿題をしてアニメを見て
ヒーローものが好きで
カードゲームも好きだった

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あれは3年生になった頃だろうか
一本の電話が鳴る

担任の先生だった

「ケンタくんのお友達のお母さんから
 通報があって」

一瞬戸惑った
何をやらかした!?を焦ったが
気を取り直して聞いた

どうやら普段帰る時に
一緒に帰る子がいるという
いつもランダムで時期によって
仲良くする子が変わるので
どの子かわからなかった

「実は一年生の子で」
と先生が続けた

年下の一年生の子と仲良くなり
よく帰っていたようだ
遊んだこともあるらしい
その子(サトシくん)のお母さんの話では
帰りにケンタとサトシくんが
遊ぶかどうかの話をしていて
さとしくんはお母さんの許可がないとダメとか
断ったようだ

そのときケンタがさとしくんの首を絞めたのだった

息が止まるほど強くはないが
びっくりしてさとしくんは
泣いて逃げ帰ったのだった
想像するに
断られて思い通りにいかず
カッとなったのかなと思った

それを聞いて血の気が引いた
なんということをしたのか…
息子が怖く遠い存在に思えた
なんで?どこでそんなの覚えたの?
そればかりぐるぐる回った

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育児の悩み相談を読むと
大抵こういうのにつくコメントをよく読んでいた
『親がやるから子供が真似する』
『親の責任だ』『親が悪い』『愛情不足』
そんな言葉が回った

そんなことしてないし
アニメもそんな暴力的なアニメは見せてない
親の責任だとしても何がどこが悪いのか
わからなかった

さとしくんに謝りに行くと言ったが
拒否をされた 
2度と関わらないで欲しいと
先生を通じて親御さんの意向を聞いた

ケンタは後日
生活指導の先生から
大きい子が小さい子に何かするときは
同い年の子がやるより
恐怖を感じるんだよと教えたと
担任の先生から聞いた

男の先生がケンタに
演技で実演して説明したようだが
相当ビビったようで泣いたそうだ

何となく私や祖父の叱り方が
ケンタを更に傷つけていると思った

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そしてさらにケンタは
先生が嫌いになった

担任が変わっても
先生が嫌いだ
信用できない
あいつは最低だ
そう文句を言うようになった
注意されるのも嫌なので
やる事はやるけど
心の中は黒いもので覆われてる
そんな感じだった

四年生になっても
五年生になっても
先生嫌いは変わらず
注意も「怒られる」と恐怖し
先生に注意されるとだんだんと
お前のせいだ!と私に怒鳴るようになった

「愛情不足」

そうなのかもしれないが
どうしたら十分なのか
どうすると愛情が十分なのか
愛情を感じた経験の無い私には
分からなかったのだ

つづく

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