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そぞろの旅 〜学校エッセイ14〜

京都への修学旅行。『寺社仏閣を見て回って学を修める』、100%このことだけをしたいがために出かける生徒や教師って何%いるのだろう。もちろんそれが正流なのだが。

先生が見張っているけれど、こっそり友だち、或いは付き合っている人もいる部屋に移動したい。持ち込んだピンクのフィズ(流行った缶飲料)を舐めてみたい。バレないようにアイメイクがしたい。

教師は、少しでも睡眠を確保したい。コースから少し外れたあの店で何とか買い物ができないものか。あぁこの寺何回めだろう。どうかつつがなく終わりますように。

気もそぞろというやつだ。

近年はコロナで修学旅行に行けなかった学年もあるだろう。そぞろが思い出深いのに、そぞろにもなれなかったのは残念なことだ。

馴染みの美容師さんは地方出身。修学旅行を事前にパスして浮いた10万を握りしめ、東京で服を買ったそうだ。その後中目黒周辺に住むようになり、ファッションは、1周回って、フツーのカジュアルに返った。

何が要らないか分かるのも、旅の効用だ。

私自身が生徒として修学旅行で行きまた行きたいと思うのは、岩手県の龍泉洞だ(けだ)。外れた場所にあるから、「ツウ」の先生たちがいないとコースには入らない。アクアブルー、エメラルドグリーンの園。良かったと思ってまた行くと、最初の感動はなかったりする、それが怖いが。

あとはヒロシマ・ナガサキ。また行きたいと思うべきだ。要らないと言ってはいけないものは存在する。そぞろは許されない。

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