見出し画像

あ、ぺちゅにあだ

ジムからの帰り道、自宅に向けてゆるりと自転車を漕いでいると、
小さな女の子2人とそのお母さんが歩いてくるようであった。
そちらへさほど注意は払っていなかったのだが、
1人の、たぶん妹ちゃんの方が、たどたどしさを残した口調で言った。

『あ、ぺちゅにあだ!』

その言葉を耳にして程なくすれ違ってしまい、
顔は確認できなかった。
車輪を止めて振り返ると、
小さな背中が2つ。

私はあの時分にはペチュニアという言葉は知らなかった。
『愛でる』ことを教える家庭なのだろう。

我が子を持たない私には、
振り返って見えた背中のサイズから年頃を推定することが難しい。
そして、ペチュニアと言われても、未だその姿は像を結ばないのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?