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好きなアルバムその1 『空の飛び方』

はじめに

 note始めました!

 しがない大学生が満を持して感満載で始めました。SNS上で好きなものを語るのは僕には何だかハードルが高いけれど、noteならあまり人目を気にせずダラダラつらつら書けそうなので始めました。好きな音楽とか映画のことをあれこれ語れたらなあと思います。

本題

 そんな訳で最初に語りたいのは、スピッツが1994年に発表した5枚目のアルバム、『空の飛び方』。今年で発売30周年になるのか。スピッツの数あるアルバムの中でも一番思い入れのある作品だ。
 スピッツは僕の一番好きなバンドで、全部のアルバムを持っているし、全部のアルバムを愛している。だからこそ一番好きなアルバムってのは選べない。季節とか天気、時間によって好みが変わりもする。「もうすぐ春か、『フェイクファー』聴こう」とか、「今日晴れてんなあー、いっちょ『ハチミツ』流すか」みたいにして。全部のアルバム100点でいいと思ってる。でも、思い入れで言うと、この『空の飛び方』がずば抜けている。なんせ、初めて聴いたスピッツのオリジナルアルバムで、スピッツ沼にハマったきっかけでもあるからだ。

 出会いは2016年、中3の夏。確か、近所のGEOにサッカー選手のトレカを買いに行った時のことだ。チラッと中古CDコーナーを拝見したところ、このCDと目が合った。ジャケットに写る天使らしき女性が魅力的で、何よりアルバムタイトルがオシャレだった!どこか不敵でロマンチックな響きに、一瞬で惚れた。そして買った。聴いた。ハマった、、、。
 県内二番手、三番手の進学校を目指して勉強に明け暮れた夏休み。夕方。あの一か月は毎日聴いたんじゃないかな。だから、今でもこのアルバムを聴くと、夕陽と夏の匂いが蘇る。勉強いやだな、という気持ちも一緒に。

 そういうわけで、思い入れ、という点で『空の飛び方』に勝るものはない。これ以外のアルバムは新品のCDを買っているから音質は断然悪いけれど、それすらも愛おしいというか。また、父親も同じCDを持っていることが数年後に判明し、血は争えないなあと確認させられた一枚でもある。


M1 たまご ★★★★☆

 サビから始まる曲。初めて聴いた時、そのド頭のサビのメロディーが超ポップで、「めっっっちゃいい!」と確信したのをよく覚えている。でも、その直後の少しずつ音程が下がっていくギターに不穏さを感じて「あれ?」となったのも確か。今思うと、この違和感の時点で既に草野マサムネの毒牙に掛かっていたのかもしれない。「たまご」という平仮名の変な曲名にも、草野マサムネの美学というかロック観が表れていて良い。あと、この曲で好きなのは最後のサビの二回目の方で、突然宇宙の真理に到達するところ。スケールが一瞬で広がると同時に、生の神秘が降りてくる、っていうのかな?最後「よくある…」と締めるのも捻くれていて好き。

M2 スパイダー ★★★★★

 実は本アルバムを買う前からスピッツのことは好きだった。というのも、親が非公式ベスト『RECYCLE』を持っていて、そこで初期のシングル曲はある程度認識していたのだ。その『RECYCLE』でこの「スパイダー」という曲に衝撃を受けた。他の曲は普通のラブソングだったのに(実際は違うが)、この曲だけは受ける印象が違っていた。"狂気"を感じたのだ。地下に棲む蜘蛛の"僕"と、ブラウスが汚される"君"。爽やかに歌い上げてはいるものの、危険な香りが漂っていて怖かった。でもその危うさにすごく惹かれた。大人の世界ともまた違う、社会の暗黒面を覗き見してしまったような感覚だったと思う。そして、スピッツを聴かない時期がその後暫く続き、『空の飛び方』で「スパイダー」と再会する。相変わらず素晴らしい曲だったし、今でも一番好きな曲候補筆頭だ。PVも秀逸で、悪役感、それも戦隊モノの悪役みたいな分かりやすい悪じゃなく、もっと不健康で退廃的な悪さをスピッツメンバーが纏っていて、色彩にも底知れぬ不気味さがある。ただ、拡声器で歌う草野マサムネは文句なしにカッコいい。

M3 空も飛べるはず ★★★☆☆

 「チェリー」「ロビンソン」に並ぶ、スピッツ三大代表曲の一角。ただ、Spotifyの再生回数で言えば、今は「美しい鰭」が一位だし、「楓」にも詰められてきているので、三大代表曲なんて言ってられんなあ。正直特段好きな曲ではない。カラオケも地味に高くて難しい。でもふと聴くと、「ええ曲やなぁ」となる。幼い頃からカーステレオや歌番組で散々聴かされ、DNAに刷り込まれてるのであろう。PVはほっこりする感じで和むけれど、昔父親が「これ実は全員死んでるってオチか?」なんて言ってて、それは結構いい線いってるなあと思った。


M4 迷子の兵隊 ★★★☆☆

 これは最初聴いた時全然ぴんと来なかったなあ。慣れるのに時間がかかった。独特な世界観で、使われるワードも"兵隊"とか"黒い旗"とか、スピッツの曲の中では結構異質な気がする。改めて聴くと、ドラムが超カッコいい。そして、ライブで化ける曲でもある。この曲を聴くとドラえもんのひみつ道具「ころばし屋」が思い浮かぶのは何故だろう。

M5 恋は夕暮れ ★★★★★

 この曲は鮮やかで素敵。"恋は○○"という形式が繰り返され、草野マサムネの恋愛観が詰まっていると言える。表現が豊か過ぎて、嫉妬のしの字も出ない…。でも個人的には、"蝶々になる"の箇所が好き。恋と夕暮れと蝶の取り合わせが視覚的に綺麗で、それが草野マサムネの澄んだ高音と合わさって、抜群の効果を生んでいるように思う。キュンとしちゃう。

M6 不死身のビーナス ★★★★★

 イントロからギターがウワンウワン鳴ってるストレートなロックなんだけど、やけに爽やかで瑞々しいのがこの時期のスピッツならではな気がする。また、カッコよさとキュートさが拮抗しているいうに感じるんだけれど、そのどっちつかずな感じがフワフワした印象も与えているのだろうか、この曲を聴いてる瞬間は本当に飛んでいるんじゃないかな。そういう意味で、この曲は『空の飛び方』のハイライトだと思う。

M7 ラズベリー ★★★☆☆

 この曲はスピッツの中でも屈指の変態ソング。冒頭で"泥"と"汗"という単語が出てくるけど、粘着質で不潔な感じが諸々のワードから感じられて、微妙な居心地悪さがある。要するに性欲をビンビン感じるのだ。もろに"ヌード"って言っちゃってるし。でもそうだよなあ、ヌードを見るまでは死ねないよなあ…。共感性は高い高い。

M8 ヘチマの花 ★★★★☆

 スローテンポで地味だけど結構好きな曲で、じめっと感が堪らない。そして儚くてエロい。女性ボーカルと絡み合うように歌うことで、中性的だと感じていた草野マサムネのボーカルに否応なく男っぽさを感じさせられるからだと思う。あと、もにゃもにゃしていてまどろんでいる音像もそういう性的なニュアンスを感じさせる。ヘチマ、小学校の校庭の隅になっていたなあ。いかつくて妙にぶっきらぼうなその形に怖さを感じるのは僕だけだろうか?


M9 ベビーフェイス ★★★★★

 この曲も大好き。手前の二曲の持つエロさとは打って変わって、真っ直ぐ純粋ですっきりとした曲調。しかし、微かに死の香りが漂っていて、その一筋縄ではいかないところがスピッツらしいなと思う。そしてメロディーが凄くいいんだよなあ、この曲は!このアルバムをヘビロテしていた中三の夏、丁度この曲あたりで空が暗くなりはじめ、その景色とメロディーが合わさって、途轍もなくセンチメンタルな気持ちになった記憶がある。今でも、間奏終わり、ふっと静かになる瞬間に胸がキュッと締め付けられる。でも涙を拭いて前を向くパワーを与えてくれるような優しさも詰まっている。隠れた名曲だと思う。


M10 青い車 ★★★★☆

 運転免許を取って三年、一度も運転することなく免許を更新したけれど、この曲を聴くと、このままじゃダメだ、海沿いをドライブしたい、そういう気持ちが沸き起こる。アルペジオの光る、とにかく爽やかな一曲で、しかし同時に強烈な死の匂いも放つ。歌詞の解釈には諸説あるけど、どうしても心中の歌に聴こえてしまう。掟に飽きて海へ向かう、そして輪廻の果てへ飛び降りる。う~む…。好きなパートはCメロ。シューン↘と落下するように音が消えていくのが気持ちいい。PVのCメロで挑発的にカメラを見る草野マサムネが、これまたカッコいい。いやー、早く青い車を買わねば。


M11 サンシャイン

 スピッツの全楽曲の中で、最も憂いを帯びた曲だと思う。まずイントロのギターが一瞬で曲の世界を作り出す。白みがかった世界、長く伸びる道。草野マサムネのボーカルとコーラス、ギターとキーボードの音色がひんやりとした感触を与えつつも、メロディーがとてもドラマチックで、まるであの世のような、ある種の恐怖すら感じさせるような曲世界へ引きずり込まれていく。歌詞も非常に繊細で、"すりガラスの窓を~"の下りは、心配になるほどの繊細さ、いや最早神経質と言っても差し支えない領域にまで踏み込んでいる。「ベビーフェイス」「青い車」ときて、最後こんな暗い曲で終わるから、もうこのアルバムを聴いた日は寝れないよねえ。名曲なのは間違いないけど、この曲がファンクラブの投票で上位に毎度来るんだから、やっぱりスピッツファンってセンスあるなあと思う。


おわりに

 ということで、スピッツ『空の飛び方』の感想終了!初めての投稿なので丁寧にやったけど、もしかしたら今後はもっと雑になるかもしれない。まあ一つの基準ということで。

 

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