社内風景

世界中で起こりうる災害に対して 、照明デザインは何ができるか

東日本大地震発災後、さまざまな専門家がそれぞれの職能で、被災をされた地域や方々へのお力になる方法を模索されたと思います。私たちが日ごろお仕事を共にさせて頂く建築家の方々は、発災から一月後にはArchiAidを立ち上げ、具体的な活動に着手されていました。継続的に災害支援プロジェクトを行われている建築家坂茂さんも、紙の簡易間仕切りシステムを避難所に供給され、その数は最終的には50か所、計1800ユニットに及んだそうです。あらゆる専門家の職能が現地の力になろうと動きを見せる中、照明デザインはこのような事態の中何か役に立てることがあるのかという自問は、私たちにとって重さを増していました。


東日本大震災の被災地で起きている状況に対して、照明デザイナーという職能をもって即効性のある動きができないでいながらも、起きている事象に照明デザインのプロとしてどのように向き合うのか。照明デザインはこのような災害発生時にどのような力になり得るのか、発災後ひと月半を経て、社内アイディアコンペを行いました。

ーーーーーー<要綱として代表から全社員に送られたメール>ーーーーーー
“2011年LPA社内コンペ 要綱            110425 By Mende 
テーマ 災害のための照明デザイン Lighting Design for Disaster
2011年3月11日、日本の東北地方に大災害が発生しました。
災害は想定外の規模に至り、28000人もの人命を奪い、原子力発電所の放射能漏れという二次災害に、私たちは未だに苛まれています。
地震、火山爆発、津波、竜巻、放射能事故など…、世界中で起こりうる災害に対して、照明デザインは何ができるのでしょうか? 
①事前のデザイン(災害に備えたライフスタイルの確立)
②被災中のデザイン(災害時に役立つデザイン)、②事後のデザイン(災害復興のための照明デザイン)など…。
プロの照明デザイナーとして、「災害のための照明デザイン」を提案してください。”
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コンペ実施時には、まだ自分たちがその後、災害のための照明デザインについて継続的に取り組みをしていくことになるとは思い及んでいませんでした。今見返すと現実味や現場のニーズを図り切れていないものも多く目につきます。ただ、(身内での実施ではありますが)このコンペを通して災害時の状況に照明デザイナーとして向き合うことが、私たちの中での問題意識を緩やかに明確にしていきました。


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