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水についての随想(2) -水は地球を駆け巡る

一番身近な水は水道水ですね.飲める水が日本全国どこでも水道栓をひねると出てくる環境はすばらしいと思います.さて,この水はどこからきているのでしょうか?もっとも一般的には浄水場から供給される水を利用しています.

浄水場では河川やダム,地下水などの水源から取水して,浄化,消毒します.河川やダムの水,地下水はもともとは雨水ですね.

雨水が地表に,山に降り注ぎます.土壌に吸収されて地下水になって下流へ流れる水もあります.川に流れ込み,湖沼や沼に溜まったり,ダムより上流に流れ込めば,ダムに溜まります.


雨水はそのほとんどが海水が蒸発したものです.海水が水蒸気となり,雲となり,そして海に,地表に雨として落ちてくるわけです.

一方,私たちが使った水はどこに行くでしょうか?

台所の水,お風呂の残り湯,洗濯に使った水は,昔は川にそのまま流していました.昔は川に流しても河川の自浄作用というもので,水質はきれいに保たれていました.

でも人口が増えて,使う水の量が増えてきました.昔は都市部では家に風呂がある家庭は少なく,公衆浴場・銭湯が利用されていました.洗濯も手で洗うよりも洗濯機で洗う方がたくさんの水を消費するでしょう.しかも洗剤を使います.洗剤も川の自浄作用で分解できない合成洗剤,また大量の洗剤が使われるようになりました.台所の洗剤も同じです.

その結果,川の水が汚くなってきました.川の自浄作用はまた別の機会に書きたいと思いますが,自浄作用が機能しなくなると,いわゆる魚も住めない死んだ川になったり,特に河口に近く流れが緩やかだったり,湖で藻がたくさん繁殖していやな臭いを発生させたりすることもありました.東京のようにとても人口密度が高いところでは川が泡だらけになったところもありました.

こういった景色が1970年頃の日本では全国のいろんな街でみられました.
今は下水道が整備され,川の自浄作用で分解できる合成洗剤が開発,藻が繁殖しくい洗剤が開発されてきましたので,きれいな川が増えてきました.

寄り道が長くなりました.

下水道に流れた水は排水処理施設で浄化されて,川に戻されます.
道路や市街地に降った雨は道の脇の排水路を通って,川に流れ込みます.
井戸でくみ上げた地下水も使われた後は川に流されます.地下水を使いすぎると地盤沈下の問題が発生しますので,最近では使った地下水を地下の水の層(帯水層)に再び戻すことをしている方々もおられます.
川から取水してたんぼなどの農業用水にもしています.これも用水路からたんぼに流れ込み,やがて排水路に流されて,川に戻されます.

川の水は一部は地下に,一部は水蒸気になりますが,やがては海に流れ込み,また水蒸気となり,雲となり,雨となり,地表にふりそそぎ,を繰り返すのです.

地球上の水のほとんどは海水.97.2% は海水です.その次に多いのは南極や北極などの氷.1.8%.地下水は0.7%,湖 0.02%,川を流れる水は 0.003% ほどと推算されています.陸の淡水だけをみても雪や氷が68.7%,地下水が30.1%、川や湖沼の水は1.2% ほどです.

海水は塩分を取り除く必要があります.水は世界を駆け巡っていますが,私たちが生活や産業活動に使えるのは地球全体のほんのわずかな量であることがお分かりいただけると思います.

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