見出し画像

コロナ禍と地方のカフェのはなし

年末年始、報道やネット記事などで新型ウイルスの情報を見ていた頃は正直な話、これほど世界に影響を与えるとは思ってなかった方も多いでしょう。

都心から2時間あまりの人口3万ちょっとの片田舎でカフェを営んでいます。今年で3年目ですが、おかげさまで少しずつ右肩上がりで来てます。

日々の報道では飲食店を始め小売業、サービス業など様々な業種が新型コロナウイルスの影響をうけて業績が悪化している情報を目にします。

世間とはうらはらに3月時点の売上は大きく伸びてました。

恐らくですが3月頃からの自粛ムードや移動規制、観光地の早期自粛などが始まり、近所の大学でも本来であれば春休みで多くの学生さんは帰省するか観光地でアルバイトするかだったと思うのですが、帰省もバイトも旅行もできなくなり身近なちょっと息抜きの場所としてちょうどよかったのかも知れません。

それでも3月も下旬に差し掛かるとなだらかですが来店数が減ってきたように感じました。そこで近隣ではまだ取組があまり始まってませんでしたが、フードメニューのテイクアウトの準備に取り掛かります。

もともとドリンクのテイクアウトはしてましたので、フード用のテイクアウト容器を発注しメニューの選定、公式サイトの専用ページの作成を進めました。

あと夜は22時に閉店していたのですが、明らかに夜の来店率が減ってきたこともあり4月1日より時短営業で20時閉店に切り替えました。

4月はじめの某大物タレントの新型ウイルスによる訃報。
この日を境にこの片田舎でも一気に自粛ムードが高まり来店数がガラリと減ってきます。

同時に進めてたフードメニューのテイクアウトも開始。
公式サイトのテイクアウト専用ページを作成し、各SNSにて発信したおかげもあり立ち上がりは予想より良かったのだと思います。

継続してテイクアウトを利用してくれる方やリアクションしてくれるSNSのフォロワーさん、本当に感謝です。

しかし、3月に比べると明らかに数字は落ちていきます。
しかも、日ごとの推移が極端になってきます。
暇な日、すごく忙しい日がランダムです。平均的な売上の日が無いんです。
シフト予定も仕込みもなかなか読めません。

やはり、暇な日は不安になります。これがずっと続くのだろうか?と…

店内も消毒液を用意したり、換気を定期的に行ったり、座席数を減らして間隔を広げたりと対策もしていますが、やはり店内利用の方は激減です。
恐らく7割くらいはテイクアウトになりました。

報道やネットの中では基本、東京や都市部での状況が流れていきます。
明らかに地方とは状況が異なります。
共通する部分もありますが地域に合わせて動いていかなければなりません。

ある日、おひとり様での利用後の座席を片づけていたら、
「自粛によりずっと家で自炊していたので、久しぶりにカフェでご飯を楽しめました。営業していてくれてありがとうございます。」という内容のメモが置いてありました。
逆なんです。こんな時に利用してくれる…こちらの方が圧倒的に感謝なんです。様々なお客さんより励ましの言葉をいただきますが、その言葉で元気がでます。

報道などでも全国的に感染拡大が報じられるなか、お店の今後の動向も考えないとなりません。知人が営んでいるバーなどは既に休業しています。
食品の納入業者からも話を聞くと暗い話題ばかりです。
当店も現在は時短営業のみですが、次はテイクアウトのみの営業、そして一時休業というシナリオも頭の中には考えています。

その他、思わぬところで食材や備品などの品薄や欠品が起こります。
ある程度は想定して用意をしますが、想定外がやってきます。
パスタ、小麦粉、ベーキングパウダー、テイクアウト容器…
別のルートを探さなければ…

業態が変化するとメニューの売上構成も大きく変わってきます。
営業許可の問題によりテイクアウトができないものは明らかに売上が下がります。逆にテイクアウトで売上の上がったカテゴリーも有りますし、コーヒー豆の量り売りなどは増えました。

まだこの近辺で実際の感染者がでていないのですが、もし今後でてくると世論的に営業が難しくなるケースもでてくるでしょう。
自粛警察という言葉がネットやテレビで駆け巡っています。
一時休業して、持続化給付金を申請という選択肢もありますが、少なからずアルバイトも雇っていますので、できれば避けたい選択肢です。

いろいろな状況が交錯する4月も終わってみれば前年に比べるとテイクアウトがカバーしてくれたおかげで、なんとか数字は前年を落とさずに済みました。でも今までと同じ売上を上げるのに何倍もアタマを使い、コストをかけなければなりません。

テイクアウトの需要もいつまで続くのでしょう?
いろんな仮説ばかり考えます。ひととおり過ぎたら飽きてしまうのでは?
いや、展開によっては継続的に利用してくれるとも思ったり…

テイクアウト情報をまとめたサイトなどもこの頃から全国的にでてきましたね。地元でも地域の情報をまとめてくださる方々もでてきてくれました。
そういった行動を起こしてくれる方々には感謝です。

5月に入り、GWも自粛ムードですが4月に比べると多少売上は良くなってきていますがまだまだ不安定です。

間違いなく経済的な不況は今から本格的にやってくるでしょう。

新型ウイルスによるいろいろな状況の変化による結果がバタフライ効果のように、おそらく6~8月頃に本格化すると個人的には思っています。

世間や市場の情勢が激しく変化し続けるなか、同様に我々も変化をしていかなければいけない。そんな渦中においてこのお店は「価値」を提供できているだろうか?

ただ、こんな状況のなか不謹慎ですがこの苦境を少し楽しんでいる自分がいるのも事実です。不安は募るばかりですが、それに比例して次に何が来るかという期待感もあるのです。

ミクロな世界の小さなカフェですが、好きで始めたこのお店。
存続していけることを目指して日々頑張ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?