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【本】詩集 “The Last One Poésies : Les Rallizes Dénudés 裸のラリーズ” を購入しました

裸のラリーズの曲の詩をまとめた詩集が、2023.12.1に発売されました。
とても素晴らしい装丁の仕上がりなので、少しご紹介したいと思います。


詩集外観
あまりに美しいので外ビニールは剥がしません

まるで美術書のような重厚な造りで驚きます。

背表紙にはシルバーで品良く銘打たれたタイトル。

複数の紙質で印刷されていて、細にまでこだわられた仕上がり。

この詩集は裸のラリーズの詩と共に、写真家の中村趫さん(ラリーズの元メンバーであり、サイドギター担当、当時は “中村武志” 名義)の写真作品と共に彩られてます。写真の中には水谷さんの写っているものが多数あります。

これまで発売されたCDにも歌詞カードがなかったバンドでしたので、こちらの本によって決定稿が公にされたことになります。

まえがきとあとがきには、本書全体をまとめ仕上げた著者で、思想史家(フランス現代思想が専門)の市田良彦さん。特に注目はあとがきで、ラリーズの詩世界を水谷さん自身も影響受けた様々な西洋の文学作品と照らし合わせながら分析していて、かなり読み応えのある内容となっています。
そして本書日本語版には、フランス文学者・ミュージシャンの鈴木創士さんによるエッセイも載っています。


そしてもう一つの目玉が、付録のCD音源です。

詩集とは別に造られた付録の装丁

『イビスキュスの花 La Fleur d'hibiscus』とタイトルのつけられた音源、録音は1969年とのことで、メンバーは以下の構成となっています。

  • 水谷孝 ボーカル、リードギター、グロッケンシュピール

  • 多田孝司 ベース、サイドギター

  • 加藤隆史 オール・パーカッション

  • 昆野正紀 カズー、バーティカルフルート

その後1980年代末に水谷さん自ら編集されたそうで(おそらく1991年に発売されたCD3作の編集と同時期に行われたと思われる)、それを最終的に久保田麻琴さんがマスタリングしています。
この曲はファンの間では『導きの天使』という仮題で読んでいた曲の原型のようで、ライブでは1976年頃に何度か演奏していた記録があります。
こちらは60年代の演奏なのでさらにプリミティブな仕上がりで、まるで同時代の欧米のアシッドフォークのような妖しさと美しさを兼ね揃えた演奏となっています。
1曲のみですが20分を超える長尺の演奏なので聴き応えあります。


水谷さんの詩世界と中村さんの写真とのコラボレーション、そこにラリーズのライブの舞台美術を担当されていた宇治晶さんによる造本装幀によって仕上げられたこちらの本、本当に素晴らしい仕上がりです。

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