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【司法/予備・選択科目の選び方④】労働法編〜「安定」の科目〜

司法試験・予備試験の選択科目を何にするかは決めましたか?

倒産法、経済法、知的財産法、労働法、国際関係法(私法系)、国際関係法(公法系)租税法、環境法…たくさんあって悩みますよね。

「みんな労働法を選択してるからとりあえず労働法にしとけばいいか」「実務でよく使うって聞くし無難かな…」「興味があるのは労働法だけど、自分に合わなかったらどうしよう…」「労働法に決めて法科大学院でも履修はしているけどイマイチ勉強法がわからない…」など、様々な悩みがあると思います。

本記事は、司法試験労働法で二桁順位をとったライターが、司法試験や予備試験の選択科目を何にするか決めかねている受験生と、選択科目を労働法に決めたものの勉強法がわからない受験生に向けて、様々な不安点・疑問点を解消していただこうと執筆したものです。是非、選択科目を決める際の参考にしてください!(ライター:みね/The Law School Times ライター)



労働法とは

労働法という法律はない

労働法とは、労働基準法、労働契約法、労働組合法などさまざまな労働関連の法令の総称をいいます。最近は傾向が変わりつつあるものの、基本的に司法試験では第1問で個別的労働関係法(労働基準法や労働契約法などが中心)が、第2問では集団的労働関係法(労働組合法が中心)が問われる傾向にあります。予備試験では、個別的労働関係法と集団的労働関係法のいずれかが問われる傾向にあります。

どんな受験生に向いているか

労働法は民法の特別法なので、民法の理解が前提となります。ただ、労働法特有の論点を暗記しておけば解答できる問題も多く、民法に苦手意識があるからといって労働法を避ける必要はそこまでないと思います。

筆者は、民法が得意かどうかより、受験戦略によって労働法を選択すべきかが変わると考えています。労働法は範囲が広く、基本科目並みの勉強量・暗記量が必要になってきます(体感では刑事訴訟法などの下四法くらいの重さがありました)。そのかわり、一旦暗記してしまえばさほど浮き沈みがなく点数が安定する科目なので、努力が報われやすいですし、安心感を持って試験本番に臨むことができます。また、労働法は企業法務と個人法務のどちらにも関わってくるので、刑事専門弁護士等にならない限りは将来必ず役立つことも労働法選択のメリットです。

選択科目にコスパを求めるタイプの人には労働法をおすすめできませんが、労働法自体に興味があるという人はもちろん、本番を安心して迎えたい人、努力が得意な人には特におすすめです。


学習方法

まず、オススメの書籍や予備校等を紹介します。

おすすめ書籍

・プレップ労働法(弘文堂・森戸英幸)
労働法初学者向けの導入として最適な本です。労働法を選択するか迷っている人や、労働法を始めたてで労働法の全体像を掴みたい人におすすめです。

・LEGAL QUEST 労働法(有斐閣・両角道代他)
 他の基本書と比べて読みやすく、司法試験に合格するために必要な情報が過不足なく載っています。「予備校の教材に加えて基本書が読みたいけど、分厚い基本書を読むのは気が引ける」という方におすすめです。

おすすめ予備校

・加藤ゼミナール
労働法1位の加藤講師が1から作成した教材の出来がよく、労働法超上位合格を狙うなら加藤ゼミナールの講座一択だと思います。ただ、上位を狙える代わりに情報量もかなり多いので、順位にこだわらない代わりにコスパよく受かりたい方は他の予備校を検討した方がいいかもしれません。

・アガルート
加藤ゼミナールほどの緻密さはないですが、テキストが簡潔でわかりやすく、初学者にやさしい教材になっています。論証集掲載の論証がやや少なく網羅性に不安が残るので、アガルートを受講する方は論証集ではなく総合講義テキストの方に一元化した方がいいかもしれません。

筆者は、アガルートの論証集を元にして自作の論証集を作成していました。

勉強法

労働法の有名な基本書は分厚いものが多く、初学者にはとっつきにくいと思います。そのため、基本的には予備校の労働法対策講座を受講することをお勧めします。

独学の場合には、まず上記のプレップ労働法を読んだ後、LEGALQUESTなどの基本書を読み込み、自分なりに一元化教材を作成するといいと思います。

もっとも、労働法は似た論点が繰り返し出題されることが多いため、過去問が一番大事な教材となります。早めに着手して、問題を覚えてしまうくらい繰り返し解きましょう。


おわりに

いかがだったでしょうか?労働法がどんな選択科目なのか、どのように学習すればいいのか、視界がクリアになったでしょうか。先ほど述べた通り、労働法は量が膨大なものの、努力が報われやすく、実務にも役立つ科目です。司法試験の最初の科目は選択科目ということもあるので、司法試験本番に良いスタートダッシュを切りたい方にはおすすめの科目になっています。選択科目は唯一自分の選べる科目なので、自分の興味関心を踏まえて、じっくり悩んで決めてみてください。


The Law School Timesは司法試験受験生・合格者が運営するメディアです。「法律家を目指す、すべての人のためのメディア」を目指して、2023年10月にβ版サイトを公開しました。サイトでは、司法試験・予備試験やロースクール、法律家のキャリアに関する記事を掲載しています!noteでは、編集部員が思ったこと、経験したことを発信していく予定です。


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