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技術広報に向いてる向いてないの議論に興味がないという雑記。

入りの駄文

最近オフラインイベントを企画したり、足伸ばして参加したりすることが増えたのでたまに「技術広報に興味あるんですがどういう人が向いてます?」みたいなことを聞かれる。
これはまあまあ結構な頻度で聞かれて、毎回同じようなことを返しているのでせっかくだから夏休み中にまとめてしまおうかなと思って1時間ほど書けて文章を推敲せずに書き出してみた。

この質問をされた方の半分くらいは単なる興味本位、もう半分が自分がなってみたいので具体的な話を聞きたい…みたいな感じで質問されてるんだろうなーと思いつつ、後者に関してはまあその質問してる段階で選択肢から外したほうがいいんじゃないっすかね?と思ってしまう。
こういった相手に対するネガティブな気持ちのバイアスを持ってしまうのはよくないんじゃないかとは思ってるが、気持ち的にはそう感じてしまうというのも正直な感想ではある。

とまあ、えらそうなことを言っているが多分ぼくも技術広報になりたてのときに似たようなことはおそらく言っているはずなので麻疹のようなものなのだろうと思う。

で、まあ本題の「向いている人」についてだけど自分の意見が正しいとは思わないが技術広報やDevRelをやっている人をみていて気づいたことが3つあるのでそれを紹介していこうと思う。
多分読んだら、それはそうだろ…みたいな特に新しい発見もない記事だったなと思ってもらえると思う。

オーナーシップを発揮する人

1つ目、組織が抱える課題を自分ごととしてオーナーシップを発揮して壁にぶつかりながら試行錯誤できる人。
技術広報に限らないけどこれが最強かなー。
先日メルペイさん、freeeさんと共催した「【freee/マネーフォワード/メルペイ】QA Talk〜QAの悩み"あるある" どう解決してる?〜」でも @yumotsuyo さんが話してたけど「経験よりも自分ごととして考えられるかが大事」ということを仰ってたけどこれは技術広報も同じだと思う。
(Twitterから該当箇所に言及してる発言をみつけたので貼ってます。)
ぼく個人としてはあの発言は経験よりもオーナーシップをより重視しているということが言いたかったのだろうと受け取っています。合ってるかどうかはわからないし、ぼく自身がそれを完全に理解しているとは到底思っていない。

自分で課題をみつけて、自分で試行錯誤して、自分で決断して、自分でアクションできる…そりゃあ最強だよね。
こういう人はどんな職業でもどんな役割でも向いているだろうなと思います。
技術広報は「情報発信におけるマネジメント職」みたいなもんだと思ってるのでそういう意味ではリーダーシップやオーナーシップが求められるところがあるので重要だとは思う。
ぼくは超苦手。

フォロワーシップを発揮する人

2つ目、誰かの頑張りを応援したい、誰かが頑張っていることが正しく評価されてほしい…そのために頑張れる人。
なんじゃそれ?みたいになるかもしれないけどフォロワーシップを発揮できる人やサーバントリーダーシップを指してるかなと思っている。

職種でいうとQAやスクラムマスター、SREなんかはフォロワーシップを発揮することが多い職種なので親和性が近いんじゃないかなーと思います。
反面、技術広報はサーバントリーダーシップの1つの側面だと思うので、人数が増えるとスケールしない(効率が悪い)、知識や経験が乏しいメンバーが行うには難しい、コーチングよりもティーチングが効果を発揮する際には逆効果みたいな難しさもあるかなと思ってます。
新卒の方や異業種から転職した未経験の方だとちょっと厳しいんじゃないかなーというのが私見。
先程の「経験よりも自分ごとできるか」と矛盾するようだが影響を発揮する先は、組織であり、チームであり、なによりも「他人」なので信用や信頼が重要になる。
そういう意味でやはりわかりやすい実績や経験、知識というのは効果的だと思う。
EMやVPoE、CTOのような方が技術広報的な職責を発揮されてるのは多分こういう理由からだと思う。
これはリーダーシップやオーナーシップよりも圧倒的に得意なので自分が積極的に関与しているふるまいだなって思ってます。

専門領域を持っている人

技術広報をしている人をみると経歴が多種多彩だなと思う。
エンジニアから技術広報、EMから技術広報、CTO/VPoEから技術広報、人事から技術広報、広報から技術広報、出版社の編集者から技術広報などなど。
共通している点は主軸となる専門領域のスキルを持っていることだと思う。自分が強いところをどうやって活かし、掛け算していくか?という点においては全員が共通しています。
技術広報は多種多様なハードスキル、ソフトスキルが求められる職種だと思いますが、全てを満たすことは人間には不可能なので自分の得意領域をどう重ねるかがより重要になってきます。
そうしたときに「ここが自分の強み」といえる部分がないと取っ掛かりがなくて相当苦労することになると思う。
仮に自分がエンジニア・デザイナーだとして人となりを知らない人から「ブログ書いてよ。なんでもいいから」とか言われたらちょっとムッとしてしまう気がする。
まして相手が依頼してきたのに自分は書いたことないがお前は書けとか言われたら多分キレるんじゃないかな。
少なくとも快い返事はできないと思う、ぼくは心が狭いのだ。
そんなわけで、いろんな技術広報の方とお話してきたけどこの人の得意領域はここだな…と感じるケースがほとんど、というかほぼ全員そうだった。
なので向いている人の特徴になってしまうが、何かしらの専門領域を得意とする人を上げている。
ぼくの場合はエンジニアとしての経験が大きい。同僚のあちゃさんはエンジニア採用としての経験が活きていると感じる。

まとめ

なんかいろいろと書いたけど、向いているか向いていないかは正直あまり興味がない。
興味がないというか、個人的に「XXXに向いていますか?」と質問された場合、それは「XXXの才能がありますか?」という質問だとぼくは捉えている。
才能のありなしを推し量るのは結果だと思う。そして結果は行動(あるいは行動しないという行動)からしか生まれない。
質問した人にはいつもネガティブな返答をしてしまって申し訳ない気持ちになるんだけど「いや、いうていま行動できていないやつが効率を気にしても意味なくない?まずは行動してみたら?」というのが正直な気持ちだ。
なので技術広報に向いてる人は総じて「なんかわからんけどとりあえずやってみるか!」の精神を発揮できるチャレンジャー精神旺盛な人なんだと思います。
そしてそれは技術広報とか関係なく、全職種において重要な資質なんじゃないかな。
技術広報ってラベルがついたからわかりにくいと思うけど働く人全員に求められるのが技術広報的な役割だとぼくは考えている。
なので職種ではなく、職責(業務として取り組む責任)だと考えたほうがすっきりすると思う。程度の差はあれ品質やセキュリティ、サービスの持続可能性や信頼性を気にしないエンジニアやデザイナーがいたら多分未熟だなと感じると思う。ぼくは情報発信も同じだと考えているので良いものを作ったら「これはいいものです」と伝える説明責任がエンジニアやデザイナーにはあると思う。弊社のMVVのValuesにUserFocusがあるのだけど、ちゃんと説明責任を果たし、ユーザに価値を届けるところまでやるのもUserFocusじゃないかなーと思ったりしている。

話は逸れるが、OGPの画像はHelpfeelのぱすたけさんたちと京都サンガのサッカー観戦したときに撮った写真をトリミングしたものなのだが個人的にお気に入りだ。
なんでこれを持ってきたかというとサポーターもチームの仲間だというのがとても技術広報的だなーと思ったから。
プレイをするのは選手だが、それを後押しするのはサポーターであり、ファンなのでこの関係性がエンジニア・デザイナーと技術広報の形に近いんじゃないか?と個人的には思っている。
本気で勝ちたい人をぼくは本気で応援したい。

余談

そんなこと言わんともうちょい親身になれや!という人向けに参考になりそうな資料を置いておく。
slideshareが広告をめちゃくちゃ大量に表示するようになって最悪体験になってしまっているがとてもよい資料なので2つ紹介しておく。

どちらもコミュニティをテーマとしたスライドだが、なぜ技術広報のような仕事や役割が重要になっているかを知るのにとても参考になる。

片方は普段ぼくらがお世話になっているconnpassを運営されている方のスライド。
エンジニア組織でなぜ技術広報が必要になったのか?その裏付けやどうすればそういった発信を強化していけるのか?を知るためにとても有益な資料だと思う。

もう片方はカスタマーサクセスについての勉強会での登壇資料なのだが、主語を技術広報に置き換えても全然通用するし、なんならとても学びがあるので230ページと非常に長いが頑張って読んでほしい。ぼくは広告攻撃に耐えて読み切りました。