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【感想】君は回転椅子に座ってくるくる回りながら映画を観た事はあるか?ボクはこれが初めてだ。そう『スケアリー・アトラクション』がね【ネタバレ】

概要

スケアリー・アトラクション
(原題: Scare Attraction) 2019 / 73分
監督: スティーブン・M・スミス


あらすじ

貧乏生活から脱し、テレビ番組のスターとなったスージーとピートは、めっちゃおいしい条件の仕事を(見る限り)文句を言いながら受ける(そういう話だったのか……)。アトラクションの素人役者に文句を言いながらも(そういう話だったのか……)他の映画をパクっ……オマージュした仕掛けを突破していく(そういう話だったのか……)。ところが映画『ソウ』をパクっ……オマージュした部屋へと入った途端、ガスによって意識を失い、椅子に縛り付けられてしまう(そういう話だったのか……)。目を覚まし、スピーカーから聴こえる男の声に「本当のことを話してちょ!(要訳)」という具体性もへったくれも無い指示を受ける一行(そういう話だったのか……)。浮気をしたとかしていないとかいうどうでもいい事を暴露し合う殺人リアリティショーの幕が上がる(そういう話だったのか……)。

OSOREZONE

これ実写版宇宙戦艦ヤマトの新作なんですけど、面白いですよ。

……という冗談は置いておいて、あらすじの出典が何時ものWikipediaじゃあ無いよな?実は記事がなかったんだ。出た!クソ映画セフィラのケテルに位置する「Wikipediaに記事が存在しない」系映画!多くの人はまさかと思っているだろうけど、こういう低予算低クォリティ低知名度の映画だと、偶にあるんだよね。

ストーリーが分からないのでは無く、あらすじが分からない

映画の感想として、単に「分からないから面白くなかった」と書くと、必ずと言っていいほど「分からないと面白くないはイコールでは無いですよね」という行間を読まないツッコミが飛んでくる。だから理解しやすいようにハッキリと言ってあげよう。ストーリーが分からないんじゃあない。あらすじが分からないんだ。

何でだと思う?

……普通のホラー映画はさ、最初の15分前後で日常が描かれるよね。例えば、当作品みたいにお化け屋敷が舞台だったりすると、そこを訪れて普通にアトラクションを楽しむ……とかさ。その後に訪れるホラーパートとの違いは一目瞭然、話の流れが変わったのは誰の目にも分かる。この映画はサブパートとメインパートの見分けがつかない。今観ている場面が重要なのか、ただの雑談なのか、いまいち判断がつかないんだよ。これが、この作品における最大の欠点だと思う。情報の取捨選択ができないから、観客の脳は序盤の序盤でパンクしちゃう。それ以上の情報が全く入ってこない。なんか途中で演技の下手くそなゾンビとか、20世紀後半のスリラー映画に出てくる時代遅れなクリーチャーなんかが出てきたような覚えがあるけど、最後まで何が敵なのか、何が起こっているのかが分からなかった。

この映画は登場人物の最大補足人数を超えてしまっている

登場人物っていうのは、少なすぎると世界観の狭さを感じてしまうし、多すぎても観客にとって不親切だよね。CUBEの重要人物は4人。BTTFなら3人。この様に、世界のほぼ全ての映画には、作品が動かせる適正人数ってのがある。この作品は、この適正人数を遥かに多く超えてしまっている。これによって何が起こってしまうのかと言うと、個々のキャラクターの背景が薄くなり、観客の記憶に残らなくなってしまう。謎のキャラクターと謎のキャラクターが雑談している所を70分間眺めているのは中々の苦行だった。全く知らない、登録者数7000人のグループ系Youtuberの10万円企画(Part.6)を友人に勧められて、強引に視聴させられた時の感覚に近い。作中に重要人物が何人いたのかすらもさっぱり分からなかったから、それより酷かったかもしれない。

この映画は素人がプロの物真似をして作った

この映画には『ソウ』や『フォイトクラブ』なんて言った有名作のオマージュが多く使われている。てかまんまだった。恐らく監督は、悪趣味で尖った映画が作りたかったのだろう。やってやろうという気概は感じたよ。でも、物語を作るには余りにも未熟すぎる。設定の発想が凡人 & 素人であるが故に、ファウンド・フッテージに始まる尖った構成が邪魔しかしていない。無駄な情報が多すぎるんだよ。

小学生の作文って読んだことある?国語の苦手な人間が文章を書くと、考えたこと全てを伝えようとして、非常に贅肉の多い高カロリーで支離滅裂なものが出来上がってしまう。良いものを作る為には、肉を削ぎ落としてスリムに形成するのがセオリーだよね。この映画は、物語として成り立つ最低条件さえも満たしていない。監督に必要なのは、もっと本を読んで文を書くことだよ。

日曜朝7時30分、或いは夕方16時25分

カメラワークと登場人物のキャラ付けがチープすぎる。機器は良いの使ってんのかな。画質は良かったね。でもヘッタクソ過ぎない?なんでそんな、夕方からやってる海外の低年齢層向けコント番組みたいなカメラワークなんだよ。監視カメラの位置もおかしいしさぁ。階段のど真ん中に定点カメラなんて置くか!あほ間抜け!

キャラ付けも酷かったぞ。めっちゃ背の小さいおじさんとか、テンプレの如くに偉そうな大女優とか、日曜朝のホビーアニメかと思った。登場人物の個性ってそういう所で出すものじゃあ無くない?もっと、性格とかトラウマとか、バックボーンとして描くものだと思うんだけれど。頭抱えるわ。

こんなもん観るくらいだったら爪の垢に人生相談でもしてた方が有意義な時を過ごせると思う

ここまでかなりボロクソに言ったけど、実際『ヘルゲート 地獄の門』と並ぶくらい面白くなかったから、こんなもん観なくて良い。面白いシーンが全く無い。WiFiルーターのライトでも眺めてた方が面白いんじゃあないかな?興味のある人は観てみてね。責任は取らないけど。以上。

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