【感想】別にSIRENでやらなくてもと思うけど多分SIRENじゃないとお金が出なかった『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』【ネタバレ】
概要
サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜
2006 / 87分 監督: 堤幸彦
あらすじ
皆さんご存知、超有名ホラーゲーム「SIREN」の実写化映画だね。どっちかってーと2作目の実写化なのかな?今更観る人もそんないないと思うけど、一応はネタバレ注意ね。
台本に喋らされているキャラクター達
この映画でいっちばん気になったところ。演技が演技すぎるんだよな。ギリギリ酷いとは言わないレベルの演技なんだよ。デビルマソとかヘルゲートとかZ級の演技よりかは幾分かマシなさ。仮面ライダーをちょっとまともにした感じ。立ってるだけ、座ってるだけなのになーんかやらされてる感じがするんだよ。ホラー特有の不気味さってやつとも違う。多分エキストラなんだろうけど、専門学校とかから安く雇えばよかったのに。
言い回しも気になる。ご存知の通り、日本語は書き言葉と話し言葉で構造がかなり違う。例えば「あのリモコンを取って。」という文章。これを日常で発する時に態々「を」を発音することは自然ではないと思うんだ。この映画はそれをやっている部分がある。ま、森本レオの演技がまんま『きかんしゃトーマス』だったのは少し面白かったよ。
この映画で最恐の存在「虫」
演出はかなりひどかったねー!この監督はホラー向いてないよ。まず映像!集合写真みたいなカメラワークで会話させるヤツがいるか!紙芝居じゃねーんだぞ!途中途中に原作ゲームを意識したようなカメラワークがあるけど、これもただ演出が下手なだけだったのでは……?まぁ暗くて見えないってことが(あることにはあるけど)あんまり無かったのは良かったかな。暗くて見えない & 音が小さいホラーはこの映画を見習え。あーあとサイレンの音響も良かった気がする。
次にホラーとして、だよ。制作陣には申し訳ないけど、全く怖くない。いやまぁこの映画のラストを観れば納得でき……ないこともないけど。貴重な時間を使って有名タイトルのホラーを観ようとしたのに、気づいたら出来の悪い日本式ウォーキング・デッドを観せられてた、なんて視聴者からしたらたまったもんじゃあないよね。そう、これゾンビ映画なんだよ。おまけに舞台は古き良き片田舎ではなく、東南アジア風の南国村なんだ(ロケ地安かったんだろうな……)。SIRENの良さってのはさ、どこにでもある田舎町の民俗学的なおぞましさと、生前の行動を壊れたレコードのように繰り返す屍人への恐怖なんだよね。それが全部潰されている。観たかったのは「特殊メイクを施されたゾンビに襲われる女の子」なんていうどこぞのB級じゃあないんだよ。正直、ホラー映画としては三流と言わざるを得ない。そういや虫のCGだけ随分とガチだったな。あれが一番怖かった。虫苦手なんだよ。
ギリギリ飽きない展開と叙述トリック
この映画さ、ダメダメってわけじゃあないんだよ。話が転々と、原作とは乖離して進んでいくから予想がつかないってのはまぁマジ。盛り上がる寸前で話が長く停滞するから、ギリギリ飽きないってレベルだけど。原作を知ってる身としては改変にだいぶガッカリしたしNoと言いたい。ただ好きな人もいるんじゃないかな。よく出来てた……とは言わないけど、伏線もまぁまぁ機能してたし、叙述トリック系のミステリーとしてはそこそこだった(言い換えれば投げっぱなしエンド)。主人公の情報リテラシーが異様に低いのも精神疾患持ちだったからなんだね。上手い設定だとは思うよ。SIRENでやるなとも、もっと練れよとも思うけど。考察できなくも無いけど、制作陣はたぶんそこまで深く考えてないだろうな。
この映画はホラーでは無くサスペンスである
総括、この映画はB級ホラーの皮を被ったB級ミステリー・サスペンスものである。監督のことよく知らないけど、多分SIRENを作る気は無かったと思うよ。すっげー雑だもん。原作ファンとしては悲しいものがあるね。90分映画だからしょうが無いんだけどさ。雑なミステリーでも許せる初見さんなら楽しめるよ。ミスリードも上手かったし。悪くは無いけど、ボクはあんまり好きになれなかったな。と、言うことで、SIREN新作映画、待ってます。
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