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【感想】邦題が適当で伏線も投げっぱなしだけど高品質な残念スプラッタ・ホラー『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』【ネタバレ注意】

概要

ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷
(原題: Haunt) 2019 / 92分
監督: スコット・ベック
   ブライアン・ウッズ


あらすじ

陰キャ主人公ハーパーは、アル中彼氏と別れることが出来ずに悩んでいた。誘われたハロウィンパーティーで水をふっかけられた挙句、イケメン新カレ候補と陽キャ友達にお化け屋敷にまで連れていかれる陰キャ主人公。道中で現彼の不穏な気配を感じつつ、ネット評価が低いお化け屋敷にたどり着く一行。不運にもそこはサディスト変態殺人鬼の跋扈する、恐怖の(当垢比)お化け(は出てこない)屋敷(DIY仕立て)であった……。

Wikipedia

これ面白かった?
なんというか、観てて酷くイラッときた。映画そのものにキレる事なんてそうそうないよね。マジでさぁこの映画は。
まぁまぁまぁまぁ……まず良かった点を挙げようじゃない。 

B級ホラーとしては破格のクォリティ

金かかってんだろうね。この手のB級スプラッタにしては破格のクォリティだった。撮影セット特有の窮屈感や世界観の狭さも感じなかったし、むしろ " 落ち目のお化け屋敷 " をリアルに描いていたと思う。

演出も良かった。主人公の回想を入れるタイミングには文句が無いし、父親の足と殺人鬼の足が重なるシーンは素晴らしかった。そしてそこから抜け出そうとする主人公ちゃんの流れも綺麗、ふつくしい。ホラーさはマイルドだったものの、痛そうではあった。寧ろ、過剰なゴア表現が無いのは、視聴者に痛さを想像させる事を容易にしていた、と思う。

全体的に映像は良かったよ。カットが早すぎ、とも感じなくは無かったけれども、気にする程でもなかった。映像のレベルだけで言えば、超一級映画と言えるポテンシャルがあると思う。

でも、ここまでで脚本を一切褒めて無いよね?
そう、この映画の酷い所は脚本にある。

ダサいタイトルと行方不明な伏線 

問題点その一、タイトルがダサい。原題がわざわざHauntedでは無くHauntにしたのはちゃーーーんと意味があるはず。殺人鬼に追いかけ回される単純なお話……では無くて、主人公ちゃんがトラウマを克服し父親に立ち向かう成長物語だっていう意味が込められている、はず。その割には酷い脚本だったけど。
てか副題を付けるのやめろよ。中学生が総合科目の時間に10分で考えた運動会のクラススローガンくらいダサい。もっとあるでしょ。SNS受けを良くしようって魂胆なんだろうけど、どうせこんな映画は日本じゃ選ばれし先鋭しか観ないんだし、中高生受けを狙うのやめとけって。

問題点その二、回収されない伏線。これこれこれこれ!こいつだよ!ほんっっっっとーに酷い。あの赤マスク、彼氏かと思ったら、は?違うのかよ。じゃあ誰だよ。序盤で意味ありげに立ってたのはなんだったんだ?コスプレクイズは本当にクイズだった訳?

……いやいや、もちろん赤マスクの正体は分かるんですよね?
分かんないんだなこれが。本当に誰だよ。「実はこいつ、あいつじゃありませんでした~」みたいな展開はありがちだけど、そういうのは2時間映画の残り30分とかでやる事なんだよ。登場人物も少ない癖に、そんな中途半端な時間に変なことすんなって!

あと、そう。白マスク。あんまりマスクを脱ぐのを焦らすから「こいつの正体は驚くべき奴なんだろうなぁ……」とか思ってたら、最後まで脱がないのかよ。あの脱ぐ脱ぐ詐欺はなんだったんだ。あのさぁ、こんな映画たいして真面目に考察もされないんだから、作品内で完結させてよ!回収する気がないなら、伏線なんか貼らないでくれ。

余計なことしない方が良かったであろう脚本

ここまでかなりボロクソに言ってきたけど、悪趣味なB級お馬鹿スプラッタ・ホラー映画としては普通に楽しめる。演技も映像もセットも高品質で金かかってそうだし。

正直、余計なことしない方が良かったんじゃないの?と思うよ。ラストも蛇足だし。脚本に重厚感を持たせたいならホラーをもっと削って、バックストーリーを掘り下げて、最後は成長した主人公ちゃんに敵を倒させて。いい言葉があったじゃない。「お化け屋敷はもう無い」って母親に言わせてハグをしたところで爽やかにThe End。

無駄に考察なんかしようとしたのが間違いだった。でもま、満足では無いけど、B級としてはそこそこ面白かったよ。

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