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地球を脱出するのに必要な速度を月の運動とケプラーの法則で考えてみた

 前回は久しぶりに秒速5センチメートルを見たことで宇宙に対する興味を思い出してしまった。筆者は少年時代は宇宙に興味津々で、将来の夢は迷わず科学者だった気がする。中学生くらいから社会科に対する興味が深くなったため、その道を選ばなかったが、今から思うと理系の方が向いていたのかもしれない。

 さて、重力の式と遠心力の式をイコールで結ぶことについては前回の計算でも使用した。

$$
G\frac{Mm}{r^2}=mrω^2
$$

これを変形して$${GM=r^3ω^2}$$とすると、GMが物体の状況によらずに一定なので、ケプラーの第3法則らしきものが浮かび上がるのであった。

 さて、この式を元に地球の重力を振り切る速度を考えてみよう。遠心力と地球の重力が釣り合う点である。

 ケプラーの法則によれば、公転周期の2乗と軌道半径の3乗は比例関係である。月は地球から38万キロメートル離れており、地球の周りを27.3日で回る。これを元にもし軌道半径が地球の表面と同じ天体があったらどのような周期になるか考えてみよう。地球から月までの38万キロメートルを地球の半径の6400キロメートルで割ると、大体60倍となった。軌道半径が60分の1に小さくなったということは、当然公転周期も小さくなる。60の$${\frac{2}{3}}$$乗は465となった。月の公転周期の465分の1が地表面で地球を振り切る物体の周期である。計算してみると、1.4時間で地球を一周する速度なら良いようだ。あとは地球一周の40000キロメートルを時間で割って秒速7.93キロメートルという結果が出た。一般に言われる第一宇宙速度とほぼ同じである。ケプラーの法則を使って求めることができた!!地球軌道を周回する宇宙飛行士は、飛行機はおろか銃弾(秒速1キロメートル弱)よりも遥かに速いスピードで周回しているのである。

「だから何やねん。それくらいググるなりchatGPTに聞くなりすれば一瞬で解るわ!!」と突っ込まれるのは山々なのだが、たまには泥臭い計算でリアルな数値を求めてみると楽しいものだ。



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