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Z世代・ゆとり世代・バブル世代・・・日本人の世代について考察しよう

 日本人には世代がある。堺屋太一が提唱した「団塊の世代」という言葉は全国民が知る用語となった。バブル世代・ゆとり世代、最近はZ世代という言葉が世を賑わしている。それぞれの世代には価値観の違いや振る舞いの違いがあり、それらを考察するのは中々興味深いものがある。

 今回は日本人の世代について考察してみよう。

そもそも世代とは何?

 世代という言葉は主に2つのニュアンスで使われることが多い。一つは生物学的な生殖を軸とする世代だ。ショウジョウバエの実験を思い浮かべればいい。最初の個体が第1世代、次の個体が第2世代、その次が第3世代だ。人間で考えると、例えば明治天皇が第1世代とすると、大正天皇が第2世代、昭和天皇が第3世代である。人間に適用する場合、世代間のブランクは概ね30年となる。

 ただし、人間社会について考える時はこの生物学的世代の考え方は使われないことが多い。世代交代といってイメージされるのはせいぜい自分の10歳20歳下の人間であり、世襲でもない限り、自分の子供世代に取って代わられるわけではないだろう。社会学的な世代はもう少し感覚が短く、5年から15年ほどである。団塊ジュニアはバブル世代の子供ではないし、Z世代はゆとり世代の子供ではない。

 今回は社会をテーマとするので、「世代」とは後者の社会学的世代の方を考えるものとする。

世代の定義は曖昧

 世代の定義は非常に曖昧だ。同じ用語でも範囲が人によって異なるし、同じ範囲に2つの用語が重なっていることもある。また、提唱されたもののさっぱり世間で定着しなかった用語もある。

 概ね〇〇世代という用語が生まれるのはその世代が20歳前後で社会に出始める年代だ。大体このときには価値観や方向性が定まっていることが多いからだ。また、学校という同学年だけの世界から抜け出し、様々な年齢層で構成される職場へと入り始めることも影響している。大概は上の世代から「〇〇世代は使えない」というお叱りを受けることだろう。

 ここでは複数の用語の混乱を避けるため、概ね10年タームで世代を再整理することから始めたい。まずは若い方から進めていこう。

コロナ世代?

 概ね2010年代に生まれた人間を指す。この世代はまだ小学生で、名前は定まっていないので、とりあえずコロナ世代というネーミングにする。小学生の時代をパンデミックの影響でマスクを付けて過ごした世代である。2011年の東日本大震災を知らず、生まれた頃からスマホに触れて過ごした世代だ。

 コロナ世代の親は1980年代生まれのキレる17歳世代だ。辻希美や藤本美貴のようなママタレの子供に当たる世代である。この世代になると親世代の人口が減っているため、一学年の人数が急速に減少しているのが特徴だ。2016年に一学年の人数が100万人を切ったと思うと、2019年には90万を切り、2022年にはなんと80万を切ってしまった。韓国と同様に、ここに来て一気に少子化が進んだようだ。少子高齢化は2000年代から言われていたが、ここに来て異次元の水準に突入したようだ。

Z世代

 この世代は近年完全に定着した用語である。アメリカのジェネレーションZという概念から来ているようだ。X世代やY世代という言葉は日本で全く知られなかったのだが、Z世代だけはなぜ定着したようだ。生まれた頃からインターネットが存在した世代で、SNSを中心とした新たな交友関係が多い。トー横キッズは概ねZ世代である。

 Z世代は概ね1990年代の後半から2000年代生まれを指すようだ。ただし、90年代中盤生まれはゆとり世代と被るので、除くことにする。Z世代に該当するのは90年代末期から2000年代生まれにかけてだと思う。一学年の構成人数は概ね110万人である。親に当たるのは1970年代生まれの氷河期世代だ。親世代の人口が多いのにも関わらず、世代人口はあまり増えなかったため、人口減少に拍車がかかっている。ただし、この時期はまだ出生数が100万人以上で安定していたため、やや楽観ムードが漂っていた時期でもある。

ゆとり世代

 主に1990年代生まれを指す用語だ。この時期はゆとり教育が国民的テーマとなった時期であり、以前に比べて格段に競争がゆるくなった世代である。例えばこの世代は少年犯罪があまり見られず、凶悪犯罪者もかなり少ない。ゆとり世代の多くは20代だが、死刑囚は上の方の年代に数人いる程度である。

ゆとり世代は生まれた時からインターネットが普及していた訳では無いが、それなりにインターネットを子供の時に習得した世代である。スマートフォンの普及はゆとり世代にとっても画期的だっただろう。PSP程度で驚いていた時代が懐かしい。

 ゆとり世代の親はバブル世代にあたり、一学年の人数は概ね120万人である。この世代は現在結婚適齢期を迎えているが、上の世代に比べて草食化が進んでおり、男女交際に消極的な傾向が見えている。この世代を代表するアイドルグループは乃木坂46だが、今のところ結婚して子供がいるのは衛藤美彩くらいである。AKBは上の世代と跨るため、絶妙に世代の代表としにくい。ジャニーズではキスマイからキンプリにかけての年代である。

キレる17歳世代

 概ね1980年代中盤生まれを指す。この世代のネーミングはあまり名誉とは言えないが、他に適切な名称が存在しないので、この名称とする。ヤンキーや少年犯罪がまん延した最後の世代であり、2000年代の凶悪犯罪を見ていると、まるで日本とは思えない凶悪な若者が多くいたことが分かる。

 キレる17歳とは1999年の西鉄バスジャック事件を受けて17歳の少年による凶悪犯罪が広く報道されたことで生まれたものである。この世代は酒鬼薔薇聖斗を皮切りに西鉄バスジャック事件・秋葉原通り魔事件・安倍晋三暗殺事件など極めてセンセーショナルな事件を起こすものが多かった。

 この年代は2000年代のギャルブームを受けてヤンキー風の文化が流行った時期でもあり、代表するアイドルグループはモーニング娘。だろう。乃木坂とは雰囲気が対称的で、見た目も振る舞いもヤンキー風である。この年代は最も性的に奔放だった世代で、彼らが次第に出産適齢期を離れたことが少子化加速の一員となっている。男性アイドルでは代表格は嵐やV6である。

 この世代の親に当たるのは1950年代の断層世代で、一学年の人数は150万から130万である。親世代の人口が少ない上に戦後の経済成長で一気に少子化が進んだため、キレる17歳世代の一学年の人口は後ろに行くほど急速に下がっている。少子高齢化が最初に騒がれ始めたのはこの時期である。

氷河期世代

 未だにメディアに取り上げられ、問題になることが多いロストジェネレーションである。バブル崩壊後の不景気の時代の社会に出て非正規雇用にありつく者が問題となった世代だ。概ね1970年代生まれを指す。

 この年代の前半に当たる1971〜1974年生まれの団塊ジュニアは団塊世代の子供に当たるので非常に人口が多い。少し上の断層世代が一学年160万人なのに対し、団塊ジュニアは一学年が200万人もいるのだ。当然、大学受験や就職戦線は非常に過酷となる。この年代に困窮者が多いのは人口の多さが一員なのだ。運良く就職できた人間も、転職が一般的で無かった最後の世代であるため、嫌な職場にも無理やり居続けざるを得ないことが多かった。人口の多さは老人にとって都合がいいかもしれないが、当事者世代にとってはたまったものではないのだ。 氷河期世代は他の世代よりもタダでさえライバルが多いのに、肝心な就職適齢期にバブル崩壊に当たってしまった。しかもこの時期はまだ大企業が昭和型の企業システムに固執していたため、フリーターとして転落せざるを得なかった。

氷河期世代の前後の人口は出っ張りとなっている

 この年代は構造的な問題を抱えているため、今後も貧乏くじを引き続ける可能性が高い。昭和型の雇用・年金システムで逃げ切れない最初の世代であり、人生100年時代の恩恵に預かれない最後の世代だろう。今世紀後半にやってくる介護難民のメイン層となるのも恐らくこの世代だ。

 この年代は目立った女性アイドルがいない。近い存在といえば小室ファミリーだろう。安室奈美恵や華原朋美といった人物が該当する。アイドルも氷河期だったらしい。ジャニーズでは何と言ってもSMAPだろう。ギャルブームの火付け役となった浜崎あゆみもこの年代であり、キレる17歳世代のイメージが強い2ちゃんねる創業者の西村博之もこの世代だ。どうやらブームの火付け役となる人物は一つ上の世代の人物のようだ。

バブル世代

 氷河期世代とは一変、何から何までついているのがバブル世代である。概ね1960年代の中盤〜後半を指す。親に当たるのは第二次世界大戦を幼少期に体験した焼け跡世代である。この世代は新人類世代と時期が被るが、新人類世代は断層世代と被って定義しにくいので除くものとする。

 バブル世代が育ったのは1970年代から80年代にかけての先進国となった日本であり、貧しい日本を知らない最初の世代だ。カラー写真が普及したのが特徴である。1980年代の光景を謳歌した後、就職全盛期に大手企業に入社した人々である。この時代は採用人数が非常に多かったため、多くの大手企業ではこの世代に出っ張りができている。

 バブル世代の一学年は170万人で、断層世代より少し多い。ただし、丙午の影響で1966年生まれが少ないため、人口余剰が解消されている。この点もすこしついている。成長する日本の最後の時期に入社し、平成の失われた30年の間にヌクヌクと大企業に守られてきたのがバブル世代である。まだこの年代は昭和のジェンダー観が支配的であり、短大卒・OL・専業主婦が女性の憧れの的だった。男女雇用機会均等法の第一世代でもあり、彼女らは平成後期の女性登用ブームに乗ってとてつもなく高い地位についている。この点もまた運が良い。

 バブル世代は平成の停滞した30年における受益者となった世代だろう。この世代はとにかくついているのだ。まだ男女皆婚が残っていた世代なので、未婚率は低い。日本人の生涯未婚率が急増するのは氷河期世代辺りからだ。

 この世代はアイドルが流行った時代でもある。松本伊代や小泉今日子など、昭和の最後のアイドルがバブル世代である。おニャン子クラブもバブル世代だ。ジャニーズでは近藤真彦や東山紀之が該当する。

断層世代

 キレる17歳世代の親に当たる世代だが、これまた世間に認められた適切な名称がない。新人類はあまりにも範囲が広すぎ、使いにくい。一応この世代のことは断層世代と呼ぶようだ。概ね1950年代の中盤から1960年代の序盤にかけての世代である。

 断層世代の一学年は160万人と少ない。まるで谷底のような少なさだ。これはベブーブームが一段落したことが原因である。お陰でこの世代はしらけ世代と言われたようにのんびりとした人間が多く、それまで大学で盛んだった学生運動も下火になり始めた時期だ。

 この世代は本当にネタが無い。名称が何一つ定着しないにもこれが原因だろう。この世代を代表するアイドルは何と言っても松田聖子だ。郷ひろみや西城秀樹もこの年代である。数々のアイドルを世に送り出してきた秋元康もこの世代だ。

団塊世代

 世代といえばこれだろう。団塊世代とは1947年から1949年の生まれた第二次ベビーブームの世代のことを指す。一学年の人数はなんと260万という記録的な水準に達した。これは現在に至っても破られていない記録である。ここでは第一次ベビーブームに加え、前後数年も含めて団塊世代とする。

 団塊世代は常に話題となってきた。戦後生まれた第二次世界大戦を知らない世代であり、新しい戦後日本の象徴だった。一学年の人数は多かったが、大学進学率はせいぜい10%とか20%程度だったため、競争は氷河期世代ほど激しくなかっただろう。それに彼らが就職した時の日本はまさに高度経済成長期のうなぎのぼりの時期であり、職に困ることはなかった。

 この世代を代表する出来事が1960年代の終わりから1970年代の前半にかけて吹き荒れた学生運動だ。実のところ、左翼活動家の多くはこの世代の出身である。連合赤軍のような悪名高いテロ組織もこの世代によって作られた。

 団塊世代は子供をあまり産まなくなった世代であり、この時期に子供が2人の標準的な家庭が観念されるようになった。大規模な宅地造成が行われたのもこの世代に向けてである。重厚長大系の業界が栄え、日本という国が量的に拡大していた時代に人生を送った人々である。

 2000年代にこの世代は定年退職したため、労働力不足を埋めるために定年が65歳に延長された。人数が多い世代は働ける期間が短いとも言える。おそらく定年が70歳あるいは75歳に延長されるのは氷河期世代が社会を去る時代と予測できる。

 この世代は多くの大御所を排出してきた。タモリやビートたけしといったタレントが筆頭だ。何よりもこの世代を代表する人物は吉永小百合だろう。ジャニー喜多川の少年野球チームに所属していた、最初のジャニーズタレントであるあおい輝彦はこの年代だ。

焼け跡世代

1930年代後半から1940年代前半を指す。戦争の記憶があやふやな年代である。彼らの戦争の記憶は「ボンヤリとB29を見た」というものが多い。バブル世代の親に当たる。

 彼らは戦後の復興期に学校に通い、1950年代に社会に出た。まだ大学進学は珍しかった時代だ。彼らはJTCの形成過程に大企業に入り、そのまま戦後昭和の全盛期を支えた社員である。彼らの在職期間、日本経済は凄まじい勢いで成長を遂げていた。昭和のモーレツ社員は彼らによって作られたイメージ像である。

 この年代を代表する芸能人はドリフターズだろうか。他にも加山雄三やデヴィ夫人など、現在でもかろうじて活動を続けている世代である。後10年もすれば彼らの姿をテレビで見ることもなくなってしまうと思う。

昭和一桁世代

 1925年から1934年にかけてに生まれた世代だ。断層世代の親に当たる。記憶のはっきりしている10代の間に第二次世界大戦を経験し、強烈な記憶を刷り込まれた世代である。ただし、従軍した人間は少ない。戦争体験を語っている人間もこの世代が多く、彼らが鬼籍に入り始めた2020年代から戦争に関する言説を目にする機会が減少した。

 昭和一桁世代は個人的に最も劇的な体験をした年代だと考えている。彼らは戦前の教育制度の下で育ち、多感な青年期に日本の国の体制が大きく変わるのを目にした。戦後新たな国となった日本で復興のために尽力し、この国の発展を支えることになった人々である。「この世界の片隅に」や「ゴジラ-1.0」の登場人物たちもこの世代だ。

 彼らが子供の頃、日本人の平均寿命は60歳だった。まだ電気ガス水道も未整備で、テレビもクーラーも存在せず、自家用車すらレアだった。結核で若者が大量に死んでいた時代だ。当時の日本は欧米に比べて圧倒的に貧しい国であり、治安も悪い。現代とは全く別の国だったのだ。人口の多くは農村部に住んでおり、江戸時代に毛が生えたような暮らしをしていた。

 そんな発展途上国で育った彼らが令和の日本を目にしているとは大変な驚きだ。灰燼に帰した日本を復興させ、壮年期に日本が先進国の仲間入りをし、バブル期に定年退職した人々である。

 この年代で活動している人間は皆無になってしまったが、かろうじて生存している人がいる。黒柳徹子がそうだ。去年急死するまで活動を続けていた宝田明もこの世代だ。1950年代の銀幕スターはこの世代が多い。岸恵子や草笛光子もなんとまだ存命である。ジャニー喜多川氏もこの年代だ。彼は孫の年代よりも下のメンバーをデビューさせていたのである。

大正世代

 大正世代は悲惨極まりない世代だ。1912年から1925年までの生まれを指す。この世代は主に第二次世界大戦に従軍した人々であり、男性人口の多くが戦死してしまった。彼らは生涯消えないトラウマを背負うことになった。戦争体験をあまり語りたがらないのが特徴である。特攻隊や学徒出陣もこの世代のエピソードだ。

 この世代は男女比がアンバランスだ。戦死者の多さに加え、この時代はまだ死亡率の高い時代であり、男性の多くが青年期までに死亡していたのだ。大正世代の女性の半分は90歳まで生きていたが、男性の半分は40歳までに死んでいた。

 この世代は団塊世代の親に当たる。彼らは戦争から帰ってきて一斉に子供を作ったため、未曾有のベブーブームが発生した。また、子供を4人5人と沢山作っていた最後の世代でもある。この年代で大学に行っている者は少なく、サラリーマンはエリートの象徴だった。戦後日本を支えたカリスマ実業家の多くはこの世代である。

 大正世代の人間は現在100歳前後だ。ほとんどはこの世を去り、残っているものも大半が認知症になっている。社会的に活動できている人間は皆無だろう。中曽根康弘も瀬戸内寂聴も数年前に亡くなってしまった。この世代の最後の生き残りは渡邉恒雄や村山富市だろう。第二次世界大戦に従軍した最後の語り部はこの世から消え去ろうとしている。大正・昭和・平成・令和と4つの時代を生きた彼らは何を思うのだろうか。

世代サイクル論

 高齢出産などでズレているケースが多いものの、おおむね世代サイクルには3つに分けることができる。
 
 1つ目が焼け跡サイクルで、焼け跡世代⇒バブル世代⇒ゆとり世代⇒令和世代と続く。2つ目は団塊サイクルで、大正世代⇒団塊世代⇒氷河期世代⇒Z世代と続く。3つ目が谷間サイクルで、昭和一桁世代⇒断層世代⇒キレる17歳世代⇒コロナ世代?と続く。

 焼け跡サイクルは常に日本史で幸運なサイクルだ。焼け跡世代は戦争の記憶は朧げで、戦争によってトラウマを抱いたことはなかった。戦後の復興期に乗り、生涯を通して生活の改善が続いた。バブル世代は数々の幸運に恵まれ、昭和の社会システムで逃げ切れる最後の世代だろう。ゆとり世代は少子化の恩恵を受け、働き方改革で悠々自適だ。

 2つ目の団塊サイクルは一転して非常に悲惨な運命を辿った。大正世代は戦争によって消えることのないトラウマを受けた。団塊世代は人数が多く、何かと競争が厳しかった。そして氷河期世代は踏んだり蹴ったりだ。その子供に当たるZ世代がどうなるかはわからない。ただ、彼らの未婚志向は将来的にやばくなるのではないかと思う。

 3つ目の谷間サイクルはどうにも地味だ。断層世代やキレる17歳世代はこれといって定着した名前がない。日本の世代論においてもピタリとハマる者が少ないようだ。なぜかは分からないが、目立たないのである。子供に当たる2010年代生まれの層も今のところこれと言った名称はない。もしかしたら今後も生まれないかもしれない。

異なる世代

 国籍・性別と並んで個人の属性として最も重要な者が年齢だ。社会システムは全て年功序列の元に作られているし、ライフステージも大体この通りに決まっている。異なる世代の考え方は完全には分からないし、交流を持つことも家族を除けば少ないだろう。

 それにしても自分が想像もできない時代の人間が現在同じ日本に住んでいるのは驚異である。大正世代の人間が生まれた時の日本は今とは別の国だった。当時の日本の生活水準は現在のケニアと変わらぬ水準だった。彼らが子供の頃にこの国を支配していたのは江戸時代生まれの人間だったのだ。その彼らが令和の日本を見ている。今道を歩いている幼児達は大半が生きて22世紀に到達するだろう。江戸時代生まれの人間を見た人間が22世紀まで生きる人間を見ていることになる。こう考えると人間が一生の間に見ることができる人間の幅に驚くばかりだ。

 第二次世界大戦を知る人間は減る一方であり、多くは死ぬか認知症になっている。絶滅するのも時間の問題だろう。その次は団塊世代だ。彼らもまた年金ぐらしとなっている。少子高齢化が続く現在の日本がいつまで持つかは分からない。コロナ世代?の次の世代に位置する2020年代生まれは恐ろしい勢いで減っている。2015年に100万人生まれていた日本人が、2023年には70万人にまで減少している。しかも減少は留まる気配を見せない。この令和世代は恐らく他の世代に見られない特徴を見せるだろう。今後の日本の展開が気になるばかりだ。

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