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日航機事故、「乗員乗客全員脱出」を称賛する海外メディアと「ペットの死」で揚げ足をとる日本メディア

 2024年の正月は波乱続きでした。1月1日に石川県を震度7の大地震が襲い、2日には羽田空港で日航機と海上保安庁の機体が衝突、炎上する大事故が起きました。

 普段なら正月特番を放送するテレビ局も、けたたましい「ニュース速報」のテロップが何度も出現し、被害状況を報じるなど、大手を振って新年を祝う雰囲気ではありませんでした。

 事故の詳しい情報は各種メディアをご参照いただきたいところですが、今回は2日の日航機事故におけるメディアの論評について述べたいと思います。

全員脱出「奇跡の18分」世界が称賛 「驚くべき」「CAは素晴らしい仕事」日航の事故対応 - 産経ニュース (sankei.com)

 記事は、炎上した日航機から乗客乗員379人全員が無事に脱出したことについて、欧米各紙が称賛していることを紹介しています。
 国土交通省の発表によると、炎上した機体から乗客乗員は脱出シューターを使って機外に脱出し、安全な場所に避難を完了したのは、事故発生から18分後の18時05分だったということです。
 欧米各紙はこのことを口々に「奇跡だ」と伝え、日航機のCAたちの迅速かつ的確な誘導を褒めたたえました。

 自分の命が危険にさらされている状況では、普段の言動からは思いもよらない行動をしてしまうものです。それはCAの人たちとて同じでしょう。このような大事故に遭遇するのは初めてのはずです。
 そんななかで、瞬時に状況を分析し、乗客のパニックを鎮め、的確に誘導するというのは、並大抵のことではありません。CAの皆さんが日ごろから責任感を持って訓練し、いざというときに乗客を守る覚悟を決めていたからこそ、今回の全員脱出につながったのです。欧米メディアの称賛は当然と言えます。

 一方、日本のメディアはそうした論調はあまり盛り上がらず、「誰が悪かったのか」の犯人捜しに終始している印象で非常に不愉快です。彼らは全員脱出がうれしくないのでしょうか。

 東京新聞は国交省の会見で「日航機の乗客誘導は適切だったか」と詰め寄り、朝日新聞は「海上保安庁機の機長の実名」を質問しました。誘導が適切だったかなど、結果を見れば明らかです。また、事故の原因究明も大切ですが、そこに機長の実名は必要とは思えません。
 報道によると、ただ一人生還した海保機の機長はただひたすらに「申し訳ない」と述べているそうです。質問した朝日新聞記者の人間性を疑います。

 さらに、朝日新聞は事故当時の乗客が機内で撮影した動画を公開し、「「早く出して」口々に叫ぶ子どもら」とキャプションをつけて報じました。私には、この記事が言外にCAの乗客誘導が不適切だったと印象操作しているように感じます。
 やみくもにドアを開け、無秩序に脱出を図れば、ドア付近に人が集中し、かえって危険な場合もあります。乗務員がそのことを想定しないはずはありません。あの状況で子どもがパニックになるのはわかりますが、それを報道する人間まで子どものようなことを言うものではありません。

 また、今回の事故では、貨物室にいたペットが2匹、犠牲になっています。このことについて、SNSやワイドショーでは「ペットも家族だ」「手荷物として持ち込めないのか」という意見も上がり、論争になっています。

 人間が全員脱出したというのに、次はペットを引き合いに出して批判する、そのねじ曲がった根性には呆れるばかりですが、彼らの理論はわがまま以外の何物でもありません。
「ペットも家族」というお気持ちはわかります。しかしそれはあくまでも個人の価値観にすぎません。どんなに可愛い愛犬も、他人からしたらただの「犬」であり、ケージに入れていたら「荷物」です。

 当然ながら、動物は人間と同格に扱うことはできません。本当に人間と同格というのなら、今すぐ首輪を外して野生に返すべきです。それでも「家族をモノ扱いしないで」という人に言いたい。それならなぜ、ペットを旅客機に乗せたのか。最終的にペットを荷物扱いする判断を下したのはあなた自身です。

 少し話が逸れてしまいましたが、つくづく日本のメディアの悪辣さを感じた正月でした。最後に、石川県地震および、日航機事故の被害者の皆さんの一刻も早い安息を願ってやみません。



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