雨思考の僻案抄

気になったニュース・作品の感想・日々感じたことなど、備忘録的に気ままに書いていくつもり…

雨思考の僻案抄

気になったニュース・作品の感想・日々感じたことなど、備忘録的に気ままに書いていくつもりです。

最近の記事

詐欺に遭わないための画期的な強攻策とは

 長野市に住む70代の女性が、検察官を名乗る男らに指示され、複数回にわたって財産をだまし取られる詐欺被害に遭う事件がありました。  検察官や警察官を名乗る男から「あなたの口座が犯罪に利用された可能性がある。捜査したいので全財産を一つの口座に移してほしい」などと電話があり、それを鵜呑みにした女性はインターネットバンキングで口座を開設、全預貯金を移し、男に暗証番号などを伝えてしまいました。  しばらくして女性宅に再び、「指定された口座に現金を振り込んでほしい」と電話があり、ま

    • 入社式直前の内定辞退に企業は悲鳴――君たちは誠実だったのか?

       明日から新年度が始まり、新社会人の皆さんは来る入社式に向けて緊張しているのではないでしょうか。学生の頃は「社会人」というとまるで完璧な大人で、自分たちとはかけ離れた存在だと思ってしまうものですが、一度なってしまえばどうということはないと気づくはずです。  考えてみれば、学生時代に「こいつらどうしようもないなあ」と思っていたアホな同級生も、みんな揃って社会人になるのですから、社会人になったところでそうそう本質は変わりません。大人もまあまあアホですから、過度に不安になることは

      • 「古文漢文不要論」に思うこと

         2月もあっという間に過ぎ去り、3月になりました。受験シーズンも佳境に入るこの時期には、勉強に関する様々なテーマが盛り上がります。中でもインターネットで毎年のように起こるのが「古文漢文不要論争」です。  要するに「古文や漢文は現代社会を生きる上で必要がない。プログラミングやディベートなど、もっと役に立つ科目を教えるべきだ」という意見です。受験勉強で古文漢文に苦戦した人も多いでしょうから、このように考えるのも無理はないでしょう。  しかしながら、不要派の意見を読んでいると、

        • 若い人ほど「学歴重視」――学歴社会は本当に悪なのか

           就職活動が始まる時期になってきました。売り手市場の昨今は大学2年や3年ですでにインターンなどで学生の「囲い込み」が行われるようですが、学問をするために高い学費を払って大学に入ったのですから、せめて3年間は放っておいてほしいものです。  さて、就活において重要視されてきたのが「学歴」です。要するに偏差値の高い大学の出身かどうかで能力を判断するというもので、昔は低学歴の学生は書類選考で「足切り」されてしまうことも少なくありませんでした。  最近はそうした「学歴重視」の選考基

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          「統制と秩序」のBluesky、「自由と混沌」のX――SNSに求めるものはなにか

           人気SNSの一つであるTwitterが実業家のイーロン・マスク氏に買収され、「X」に名称を変更してから約半年が過ぎました。先日、Xの代替SNSの一つであるBlueskyが、招待制を撤廃したことで、多くのXユーザーがアカウントを作成して話題になりました。  Blueskyは旧Twitterの創業者の一人であるジャック・ドーシー氏が開発に関わったSNSアプリです。Xと似通った画面表示と機能を持ち、サービス開始当初のTwitterの雰囲気を感じられるというユーザーもいます。

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          テロリストに「報酬」を与えるメディア――報道にかかわる資格なし

           2024年1月26日、爆破テロで指名手配され、50年間潜伏していた男が発見されたというニュースがありました。 末期がんで入院の男「自分は桐島聡」「最期は本名で迎えたい」…公安部に本人しか知り得ない話 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)  男は1970年代に連続爆破テロを起こし、8人の死者を出した過激派テロ組織の一員で、指名手配後は海外で逃亡生活を送っていましたが、70歳になった現在、神奈川県の病院に偽名で入院していたとのことです。  男は病院関係者に「自分は

          テロリストに「報酬」を与えるメディア――報道にかかわる資格なし

          実写映画『ゴールデンカムイ』感想――これぞ原作リスペクトだ!

           先日、映画『ゴールデンカムイ』を鑑賞しました。原作漫画のエッセンスを見事に実写に落とし込んでおり、原作ファンも、新規の方も、万人に受け入れられる、非常によくできた作品になっていました。  『ゴールデンカムイ』は、明治の終わり、日露戦争帰りの元兵士、杉元が、アイヌの少女アシリパと出会い、広大な北海道に隠された莫大な金塊を探し求めるアクションエンターテイメントです。いや、アイヌの郷土料理を味わうグルメ漫画かもしれませんし、男たちの筋肉がぶつかり合う筋肉ギャグ漫画かもしれません

          実写映画『ゴールデンカムイ』感想――これぞ原作リスペクトだ!

          中学校長、数百円のコーヒーのために数千万円の退職金を失う

           兵庫県の市立中学の校長(59)が、コンビニのセルフ式のコーヒーマシンで支払った料金以上の量を注いだとして、懲戒免職となったニュースがありました。 中学校長、セルフ式のコーヒーマシンで支払った以上の量を注いだ疑いで書類送検…県教委が懲戒免職 (msn.com)  校長は2023年6月~12月の間に計7回、レギュラーサイズ(110円)のカップを購入したにも関わらず、ラージサイズ(180円)のコーヒーを注いだとして、窃盗容疑で書類送検されました。  結局不起訴となったものの、

          中学校長、数百円のコーヒーのために数千万円の退職金を失う

          「原作クラッシャー」は許されるのか

           2024年1月27日、漫画「セクシー田中さん」の作者が、同作を原作とするドラマの脚本について、制作サイドとのトラブルがあったことを告白し、話題になっています。 『セクシー田中さん』ドラマ化「必ず漫画に忠実に」条件守られず…原作者が経緯説明、謝罪と感謝も (msn.com)  詳しい経緯は記事をご覧いただきたいですが、原作者が「原作に忠実に」という条件の上でドラマ化を了承したのに、設定からキャラ造形まで酷い改変を加えた脚本が提出され、大幅な加筆修正をせねばならなかったとい

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          日航機事故、「乗員乗客全員脱出」を称賛する海外メディアと「ペットの死」で揚げ足をとる日本メディア

           2024年の正月は波乱続きでした。1月1日に石川県を震度7の大地震が襲い、2日には羽田空港で日航機と海上保安庁の機体が衝突、炎上する大事故が起きました。  普段なら正月特番を放送するテレビ局も、けたたましい「ニュース速報」のテロップが何度も出現し、被害状況を報じるなど、大手を振って新年を祝う雰囲気ではありませんでした。  事故の詳しい情報は各種メディアをご参照いただきたいところですが、今回は2日の日航機事故におけるメディアの論評について述べたいと思います。 全員脱出「

          日航機事故、「乗員乗客全員脱出」を称賛する海外メディアと「ペットの死」で揚げ足をとる日本メディア

          『ゴジラ-1.0』感想――生き残った男たちの「終戦」を描く感動ストーリー

           先日、山崎貴監督の最新作『ゴジラ-1.0』(ゴジラ マイナスワン)を観てきました。迫力満点の映像と緊迫感、ゴジラと戦う男たちの覚悟と信念を描く、感動の映画でした。いやなニュースばかりが目に付きますが、今年の最後に良い作品に巡り合えてよかったです。  『ゴジラ-1.0』は、大東亜戦争が終わり、国土の大部分が焦土と化した昭和20年代の日本が舞台です。元特攻隊の敷島(神木隆之介)が、天涯孤独ながら託された赤ん坊を育てる典子(浜辺美波)と出会い、助け合い暮らしていたところに、太平

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          ディズニーCEO、近年のポリコレ作品を反省――「多様性」なら日本を見習え

           2023年12月11日、米ディズニーのボブ・アイガーCEOは、近年のディズニー作品が「メッセージ性に偏りすぎていた」と述べたというニュースがありました。 ディズニーCEO、近年の作品が“偏り過ぎていた”と認める 「一番は楽しませること」「目的を見失っていた」 - ねとらぼ (itmedia.co.jp)  ディズニーといえば、言わずと知れたエンターテインメントのリーディングカンパニーであり、「白雪姫」「美女と野獣」「アナと雪の女王」など、挙げればキリが無いほどの名作を生

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          多子世帯の大学授業料無償化――税金でFラン大学生を量産するエリートたち

          2023年12月7日、政府は、3人以上の子どもがいる多子世帯を対象に、2025年度から大学授業料を無償化する方針を固めました。 多子世帯の大学授業料無償化 所得制限なし、25年度から―政府:時事ドットコム (jiji.com)  政府はこれまでも、低所得層に限定した授業料減免や、給付型奨学金の拡充を行ってきましたが、教育費の負担軽減に向け支援をさらに強化するとのことです。  今回、所得制限は設けず、「異次元の少子化対策」の一つとして、月内に決定する「こども未来戦略」に盛り

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          『からかい上手の高木さん』実写化発表 ファンをからかうのも大概にしろ!

          2023年11月27日、山本崇一朗氏の漫画『からかい上手の高木さん』が、実写映画化するとのニュースが発表されました。 『からかい上手の高木さん』は、山本崇一朗氏による漫画で、中学校の同級生同士である「西片」と「高木さん」のやりとりを描くラブコメディです。高木さんが西片をからかい、西片は高木さんに仕返しをしようとするが、高木さんに見破られてしまうという2人の関係性を軸に、西片と高木さんの間のひとつの出来事が一話に収められています。 原作において高木さんと西片は中学2年生で、

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          激動の時代を描く青春ミステリー 辻真先『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』【感想】【ネタバレあり】

          このnoteでは、筆者が読んだ本の感想を定期的に投稿していこうと思います。 定期的にとは書きましたが、だらしない性格なので、更新がぱったり止まることもあるかもしれません。ご容赦ください。 第1回は、辻真先『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』の感想となります。 あらすじ昭和24年、ミステリ作家志望の風早勝利は名古屋市内の新制高校3年生になった。学制改革による、1年だけの男女共学の高校生活。そんな夏休みに、勝利は湯谷温泉での密室殺人と、嵐の夜に廃墟で起きた首切り殺人に

          激動の時代を描く青春ミステリー 辻真先『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』【感想】【ネタバレあり】