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道化師

皆さんはクラウン(道化師)をご存知ですか?
パントマイムやマジック、ジャグリングなどを披露する方のことです。
そんなクラウンの中には、医療現場で笑顔を届け続ける活動をされている方もいます。

私自身、手術の為、入院した大学病院の小児病棟で目にしたのは、ベッド周りに置かれた、ありったけのぬいぐるみでした。
小さな子たちがお父さん、お母さんが帰ってしまっても、長期の入院を乗り越えられるように、病室を自分のお部屋のようにするんです。
多くは小児がんと闘う子たちです。 
そんな厳しい医療の現場で、小児がんと闘う子どもたちを励ますクラウンとして、ボランティア活動をする方がいることを知りました。
その方も小さな頃、小児がんになり、それを克服された方でした。

小児病棟内では子どもたちは常に、痛がっていたり、辛がっていたりと、常に泣き声が響きます。
でもクラウンたちが入っていくと、そんな病棟の中で、あちこちから、笑い声が聞こえてくるそうです。
それは、灰色の世界が、パッと明るくなって、楽しい空間に変わっていくような感じです。
とっても素敵だと思いませんか?
小児病棟では、病と闘う子どもたちが一番辛いのですが、それを支える家族も辛いんです。
とても深刻な病状のお子さんの寝かされているお部屋に入った時、お母さんは表情もなくただ、呆然と座られていたそうです。
そんな中で、クラウン達が優しい曲と共に優しく歌を歌いました。歌い終わって退室しようとした時、病室で座られていたお母さんは
「来てくれてありがとうございます」と涙を流されたそうです。
目の前にあるのは、たしかに悲しい現実です。

けれど、クラウンたちは、そんな方たちを励ましてさしあげることが出来るんです。 
それが、クラウンとして活動をされる方々です。 子どもたちだけではなく、そのご家族も励ましてさしあげることが出来る。
クラウンの存在の大きさを感じます。

実際にご自身も小さな頃に小児がんにかかったクラウンの方は、そんな経験があったから、病と闘う子たちの気持ちが人一倍分かっていた。
そのことは、クラウンを続けていく上での強みだと思います。

これは、ご自身がクラウンになるか迷っていた時に、現役のクラウンさんから掛けられた言葉だそうです。
 「僕らがクラウンとして病棟に入ることはできる。だけど小児がんの経験がない僕らには、子どもたちの気持ちを理解しきれないところがやっぱりある。もちろん精いっぱい頑張るけど、これ以上は詰めきれない最後の垣根がどうしてもある。でも君だったら病気の子どもたちの気持ちがわかるでしょ?
そのあなたがクラウンになれば、小児がんの経験がこれ以上ない最高の武器になるんだよ。どのクラウンだって太刀打ちできない」 この言葉をきっかけにクラウンになることを決意されたそうです。

ご自身が小児がんを経験したクラウンさんの傍らにはいつも小さなアルバムがあるそうです。
クラウンを演じる際に必ず持ち歩いているこのアルバムには、クラウンを始めてから出会い、亡くなった子どもたちの写真が収められています。
「今のこの活動が何のためなのかを忘れないための原点です」 とおっしゃいます。

今回、私は、とても素敵な方々がいらっしゃることをここに書き残しておきたかった。
そのために、書かせていただきました。

病と闘う子どもたちに笑顔を届けてくださる
素敵な人たちのことをずっと覚えておきたいと思いました。

 

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