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刺青監督

小生が正式に野球部に入部したのが、九月になってからだったと思います。
ちょうど時期を同じくして、空白だった監督も就任してきたのです。
その人は、先生ではなく、一年生部員の父兄だったのですが、何と背中には見事な刺青があり、間違いなく、そっち系の方でした。まあ、そういう町で育っていましたから、刺青には驚かなかったのですが、その方が野球を知っているのか?と不安になりました。
そしてその予感は的中するのです。入部して間もなく、グランドに引退した三年生が教えに来てくれたんです。ちなみに彼ら三年生は、この夏、区で準優勝して、市の大会でも三位に入っていました。監督もいないチームで。
ちょうどその日に限って、その刺青監督は遅れてまだ来ていなかったのです。
そこで、三年生たちが勝手に守備決めを始めたんです。
小生はピッチャーに指名され、ポジションについて、投球練習を始めた時でした、そこに刺青監督が登場したのです。
その時の形相はすごかったです。「お前たち何勝手なことしてるんだ。こっちにきて並べ」三年生を横に並べて、一人一人ボコボコです。歯が折れたり、口の中を切ったりで、血まみれの人もいました。
そして、小生を捕まえて、「こいつは二回もケツ割ってるんだぞ、そんな奴に大事なピッチャーを任せられるか。またいつ辞めるか分からないしな」と、ケンもほろろにけなされてしまいました。
これで、エースになる夢は一旦、ついえるのです。小生、三回目のケツ割りを覚悟しました。
教訓 世の中そんなに甘くはない!

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