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アメリカ臨床留学への道②:資格取得後〜就職活動

現在アメリカで外科医として勤務してます。まだ半年しか経っていないので成功している訳ではありませんがこれまでの過程について紹介しますので海外留学をお考えの方の参考になれば幸いです。
アメリカでのトレーニングを続けていく上でポジションを獲得するまでは経済的な問題が一つ大きな悩みの種です。もし参考になりましたらサポートいただければ幸いです。

=資格取得後=
おそらくUSMLE STEP3を受験する方は合否は気になるもののほとんどの方は一発で合格される方が多いかと思います。そのためSTEP3受験の計画と並行して就職活動を同時に進め始めていけば良いと思います。

私の場合はFellowでの留学を考えていたためSTEP3取得後は個別の病院にアプライしていくことになりましたが、Residencyでの留学の方はSTPE2とOETを終えECFMG取得後にこちらのマッチングシステムに参加することになります。マッチングシステムについてはあまり詳しくないため割愛させていただきます。

まず個別の病院へのアプライですが心臓血管外科の場合は概ね3通りの方法があります。
① CTS net に掲載されているフェロー募集のページからメールをする。
②それぞれの病院のホームページのフェロー募集のページからメールをする。
③ 知り合いやツテなどを使って個別に交渉する。

まず先に③についてですがこれはかなり各人によってかなり状況が違うと思いますので一概に言うことは難しいです。医局などで定期的に臨床留学をサポートしてくれているコネクションなどがある場合もあれば、個人的にAATSやSTSなどの学会を通じてフェローのディレクターやプロフェッサーに採用をお願いして成功する場合もあります。また日本の上司の元留学先に口を聞いてもらう方法などもあるかと思います。そういったコネがない人が考えつく方法としては初対面でもアメリカで働いている日本人の先生にメールをしてみてなんとか…と思いはするのですがやはり可能性はなかなか低いと思います。余程人出に困っていない限り、どのような場合でも全く知らない日本人をいきなり採用することは滅多になく、応募した場合でも知り合いの日本人ドクターや過去の日本人フェローなどに連絡を取って「こいつはどんなやつだ?」と聞くことがほとんどだと思います。そのため日本での臨床能力や人柄・普段の仕事への姿勢なども非常に大切な要素になると思います。

次に①・②についてですが、共通して言えることはどのような場合でもCV(履歴書)と3 Recommendation Letter(推薦状)は必須です。CVもできるだけ見やすくかつ簡潔に、かつ内容の濃いものにしなければなりません。これまでの学歴やトレーニング経験と、論文や学会発表についてまとめます。
Recommendation Letterについては一般的に現在トレーニング中のチーフ(教授や部長など)、過去にトレーニングした病院のチーフ、に書いてもらうことになると思います。一概には言えませんが日本人のドクターはなかなか自分で文章を書いてくれる上司の方は少ないと思います。私の場合も変な話ですが、自分で自分のrecommendation letterを書いてそれを送るように言われ、そこに上司のサインをいただいて提出しました。1通足りないこともありますので、その場合は自分のことをよく知ってくれている他科のスタッフ(麻酔科・集中治療・循環器のチーフなど)に書いて貰えば良いと思います。私の場合は学生時代に北米に留学経験がありましたのでその時にお世話になったドクターに連絡を取ってRecommendation letterを依頼しました。

書類を揃えたら留学を希望する施設にメールを送ります。①についてですが、心臓外科医の場合CTS net (https://jobs.ctsnet.org/) と言って求人が公開されています。ここに例えばfellow, international, non ACGME, cardiac surgery, aortic surgery, congenital, などのkeywordを入れれば該当する求人のページ一覧が表示されます。
そこに施設の紹介やトレーニング内容、applicationに必要なもの(USMLE step3まで、専門医の資格の有無、CV、recommendation letterなど)が書いてあります。場合によってはSalaryも明示されていることもあります。ここでは定期的に情報がアップデートされているので、暇な時などちょくちょく覗くようにしておけば良いと思います。STEP3の受験前後から目を通しておくと良いでしょう。

CTS netに出ている求人は限定的なため可能性を広げるためさらに個別の病院へも連絡します。手当たり次第に連絡をするのでも良いのですがやはり過去に日本人の採用した経験がある施設に重点的に連絡を取るのが効率的だと思います。病院によってフェローを欲しがるタイミングは様々です。場合によっては1年後や2年後なら来ても良いと言う病院もあれば来るはずだったフェローが来なくなったからできるだけ早く来て欲しいという病院もあります。そのためできるだけ早い段階で連絡を取り始めておく方が良いと思います。どのみちビザの申請やライセンスの取得などに数ヶ月のプロセスを要するためスムーズに行ったとしても応募の段階から実際に働き出すまでは1年近くかかることがほとんどです。私の場合は2021年11月ごろから色々と動き出し、2022年2月にSTEP3を受験し、2022年6月ごろに留学先が決まり、2023年4月に渡米しました。個別に病院へ連絡しても返事が返ってこないことはよくあることなので一つの施設に拘らずどんどん連絡を取るべきです。最終的には複数の施設からオファーをもらい、より良い条件の中から留学先を決定できるのが理想的です。

次回は留学先決定から実際の渡米までの過程についてお話しさせていただきます。


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