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【アニメレビュー】じいさんばあさん若返る 第一話・第二話感想:出オチ?いやいや、時々笑えるゆったりコメディです!

初めましての方は初めまして。そうでない方はいつもお世話になっております。
朝霧くもりです。


さて、2024年春アニメもついに始まりましたね。

今回は、今期のダークホースアニメ「じいさんばあさん若返る」をレビューをしていきたいと思います。


後期高齢者のおしどり夫婦が若返るという、出オチ感満載の出だしから始まりますが、評価は果たしてどうだったでしょうか?

それでは行ってみましょー!


第一話・第二話あらすじ

大前提として、このアニメにはストーリーと呼べるものが存在しません
原作が4コマ漫画なので、小話を詰め込む形式でアニメ化されています。

嫌な予感がする人もいるかもしれませんが、安心してください。
このアニメは面白いです。

じいさんとばあさんが若返る。本当に本筋はそれだけです。

しかし、本人たちには大きな変化がなくとも、周りの反応に変化が無いわけではありません。
周囲の悲喜こもごもする様子を描くサブストーリーを楽しむアニメ、というと伝わりやすいでしょうか。


良かった点

華美ではないが無性に惹かれるキャラデザ

ばあさまは所謂銀髪系の美女で、孫の未乃はすっぴん美少女って感じのキャラデザです。

ばあさまは「探偵はもう死んでいる」の「シエスタ」系、
未乃はちょっと違うかもしれないですが「けいおん!」の「琴吹紬」系ですかね。

ばあさまは文字通りの八方美人

(©新挑限・KADOKAWA/じいさんばあさん若返る製作委員会) 
恋愛シーンだから未乃もめっちゃ美少女に見える、いつもは若干抜けてる顔です
 
(©新挑限・KADOKAWA/じいさんばあさん若返る製作委員会)

ほぼすべての絵でばあさまか未乃が映るので、画面の華やかさは十分ですね。
また、男性のカッコイイ系はじいさまだけなので、白髪ムキムキイケメンは画面にずっといます。

「こういうのでいいんだよ、こういうので」という感想ですね。


また、力を入れる場面では今っぽい透明感のある絵になるのですが、日常風景の方は2000年台後期の昔っぽさや芋っぽさを感じさせる絵となり、個人的にはドストライクでした。

眉毛なんで二つあるの?ってコメントを見てハッと我に返りましたが、むしろ上の太いのが眉毛で下の細い線が眼窩(がんか)の輪郭であることに気づきました。

なぜか眉毛がリアル路線です。
でもすぐ慣れます。


心に刺さるサブストーリー

簡潔に言えば、本作では「感動できる老人あるある」が主な題材として取り上げられます。

お見合い婚を迫られる中で恋愛結婚に漕ぎつけた話、
年を取ると足腰が弱くなるので自然と支え合って歩いている話、
ゲートボールや農業に精を出す話、
老いてもなお男は性欲が動力となり、女は純粋な恋心を抱いている話……etc.

話としては結構リアル路線です。


一方で、テーマとしては重くしんみりしがちなものが多いんですが、本作ではじいさんばあさんが若返っているのでギャクとして見ることが出来ます

例えば、ばあさんであってもお洒落に憧れる気持ちはあります。
でも、老いた体では世間体や見た目が気になってなかなか踏み切れるものではありません。

でも、この作品ではばあさんはめっちゃ美女になっています!
よって、お洒落したいと思っているばあさん(超美女)はギリギリの水着を着ることだって出来るのです。

なかなかに破廉恥な雑誌を見てますねぇ!

(©新挑限・KADOKAWA/じいさんばあさん若返る製作委員会)


つまり、普通ではもう叶わないとあきらめていたり、過去の話だと思っていたことが若返ったせいで実現できちゃうんです。

なので、重くならずにコミカルに老人あるあるを描くことが出来ます。
そんな中でも、本当に大切なものは心に突き刺さってくるんですよね。

それを一話5分程度の小話に落とし込んでいます。
例えるなら、パフェの最後の濃厚チョコソースが凝縮している部分だけを食べている感じです。

このアニメの作者は物事の本質を見抜くのが上手いと感心してしまいました。


「長年連れ添ってきた夫婦」という関係性と恋愛描写

基本的には、70年以上一緒に生きてきた夫婦の物語なので、お互いに息ピッタリなんですよね。
もはや支えあっている状態が当たり前といった様子です。

それでいて、お互いを尊重している。

現実にはそんな夫婦はいないかもしれませんが、いたら尊くないですか?
なので、必然的にこのアニメの夫婦描写はてぇてぇのです。


普通の夫婦であれば、そこまで息を合わせることはできないでしょう。
なので、二人三脚で夫婦パワーと言って爆速で走られても違和感が残ります。

しかし、70年以上連れ添ってきたんですよ?そりゃ二人三脚くらい朝飯前ですよね。

圧倒的スピード感……!!!

(©新挑限・KADOKAWA/じいさんばあさん若返る製作委員会)

……といったように、このアニメの非現実的な要素は全て「若返ったおしどり夫婦ならそれくらいで来てもおかしくないや」という感想でかき消されます。

仲睦まじい老夫婦を若返らせて仲良い描写しよう!って発想は天才だと思いました。
見ている人は絶対に老夫婦より若いので、何を言われても人生経験で勝てません。視聴者が若ければ若いほど、不思議と納得させられちゃいます。


そして、中身はじいさんばあさんではありますが、なんと恋愛描写の駆け引きを見ることが出来ます
駆け引きといっても青春恋愛アニメのように甘ったるい物ではなく、簡素な描写が多いですが……本作ではそれすらも侮ることはできません。

何故なら、それは愛を形にできなくなって随分と日が経つ二人が、再び直接的な愛情表現をできる機会を得ているからです。


類似する感情で例えると、ずっと片思いし続けてきた幼馴染と10年後に再開し、両想いだったことが分かってちょっとずつ距離を縮めるような、ほんのりとした甘さでしょうか。

わかりますかね……(わかってほしい)。

ニコニコのタグで「金平糖枠」と付けた人は同じセンスの持ち主でしょう。どちらかというと、私は和三盆に例えたいですけどね。


ちなみに夫婦以外にも、孫の女の子「未乃」と同級生のちょっとネクラなエリート少年「将太」の駆け引きも良かったです。

駆け引きというよりは、将太が完全に主導権を色々な意味で握られているんですが……。

周囲の大人に色々と品定めされていた将太は、未乃の事が気になっているのが誰から見ても丸わかりでした。
しかし、未乃視点は最後の最後まで描かれませんでした。溜めに溜めた最後のぽつっと放った一言でトビましたね。


どのような感じだったかは、是非皆様の目で直接お確かめください。ニコニコで見れます。

じいさんばあさん若返る 第1話「じいさんばあさんと運動会」

でも、中学生男子って女の子の掌の上でコロコロされるものですよね。ヨシ!


やさしさに溢れる作品の雰囲気

基本的に農村部の固定化された関係性の中で人々を描いているので、キャラ同士のギスギスとかはほとんどありません

過去の因縁とかは少しあるかもしれませんが、良い人ばかりなので嫌な気持ちにならず安心して見ることが出来ます

亀の甲より年の劫とも言うように、基本は老いて性格が丸くなっているものです。その良い部分が出ていたように思いました。

不快感を感じる人物や、中身が全く見えない人がいないのが素晴らしかったです。


しっかりと過去が深掘りされるため、人物に共感できる

この作品は何といっても心理描写が多いです。

特に、老夫婦は経験を積んできた過去があるので、現在の行動に繋がる様々なストーリーが存在します。
そういった過去が必要な所で必要な分だけ描写されるので、キャラの心情がすっと入ってきます


また、これが当てはまるのは若返った夫婦だけではありません

勿論メインキャラクター以外の行動原理はどうでもいいっちゃいいのですが……
「なんでそう思ったの?」と視聴者が感じないように、最低限過去を掘り下げていい話にするように作られています。


第二話の医者の長男の話とかが分かりやすいですね。

過去に病気がちだった母親(ばあさん)を助けたいと思って医者になったが、自分では直せなかった。そして、そんな母はどんどん老いて弱っていった。
しかし、若返ったことで体は健康そのものになった。自分の力で助けることは出来なかったが、真に大切なものは母の健康であると思い涙を流した。

という話ですね。このエピソードは色々と描写に矛盾点があったので薄っぺらさを感じましたが、心理描写はお見事でした


良くなかった点

アニメーションの面白さがない

自分はストーリーの面白さやキャラクターの深掘りを重視するので気になりませんでしたが、このアニメはとにかく動きがありません。

止め絵や謎のアップした背景描写が本編だけでなく、OPにも散見されます。


ただし、だからと言ってグダグダと同じ絵を見せ続けられるわけではありません。

力を入れるべきところで入れ、抜くべきところでめっちゃ抜く。
緩急が付いているので、絵が動かなくても見れるアニメになっています。

しかしながら、鬼滅の刃や呪術廻戦のような神アニメに慣れていると、絵に面白みがなくて単調に思えるかもしれません。この点は、明確にこのアニメの弱点です。

個人的には、ギリッギリの予算にも関わらず、作画崩壊が無いだけで大満足です。製作者さんありがとう。


面白い話と面白くない話が存在する

面白い話が4割、泣ける話が3割、面白くない話が3割といった印象です。

一番面白かったのは、第一話の運動会でばあさんが応援した瞬間、頭の血管がはちきれんばかりにじいさん達に力が漲ったシーンですね。

下手なコントより笑えます。このシーンで視聴継続確定しました。

これが…… (©新挑限・KADOKAWA/じいさんばあさん若返る製作委員会)
こうなって…… (©新挑限・KADOKAWA/じいさんばあさん若返る製作委員会)
こうなる (©新挑限・KADOKAWA/じいさんばあさん若返る製作委員会)


一番面白くなかったのは、都会の女の子に憧れた男の子たちがばあさんを見て田舎も良いかもと思う第二話冒頭のシーンです。

無味乾燥で、「ふーん」としか言いようがない話でした。
じいさんばあさんが尊いという感情以外には何も残りませんでした。


……というように、本当にそのエピソードに評価が左右されます。

面白い話の方が多いので、個人的には許容範囲かなと思いました。


第一話・第二話総評

いやー、出オチアニメと思いきやなかなか良いアニメでしたね。予算の出来る範囲で話を面白くしようという気概を感じました。

安心してのんびりと鑑賞できるタイプなのに、心を揺さぶられるような描写がちょいちょい入ってくる。
30~40代の人には致命傷になりそうな位、グサッと突き刺してきます。


…………と思えば、夫婦そろってイチャイチャする。微笑ましいものもあれば、じいさんばあさんなのにキュンとしちゃうものもある。

独特の魅力を持っている珍しいタイプのアニメだと思います。


話にマンネリ感が出てこなければ、最後まで視聴する予定です。

総評はD(切る)、C(保留)、B(視聴継続)、A(面白い)、S(覇権)のうちAランクになるます。

最初の期待度はDかCかなって感じだったので大出世ですね!

まったり見るのに適しています。ゴロゴロしながらどうぞ!


〆の挨拶

ここまでお読みいただきありがとうございました!

今期のダークホースと言っても過言では無いでしょう。
良いアニメを見つけられて良かったです。


参考になった方はいいね、フォロー頂けると励みになります。

また次回の記事でお会いしましょう!
サラダバー!

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