コーヒーはお好きですか？
私は大のコーヒー好きで，コーヒーを飲むことで1日が始まります。朝起きて，まずコーヒーをいれて，その香りを楽しみながら，じっくり味わい，からだを眠りから徐々に目覚めさせる。このひとときを，時間を気にせずゆっくり過ごせれば，今日という日が充実した1日になりそうな気になってしまいます。コーヒーは飲むことによる効果と香りを嗅ぐことによる効果（アロマ効果）で多幸感をもたらしてくれる魔法のような飲み物です。そのコーヒーのからだに良い効果と，末永く楽しむためにちょっとだけ注意しておくと良いことについてお話します。

コーヒーは，カフェインを含んでいます。カフェインには覚醒作用があり，集中力や注意力を高める効果があるので，コーヒーを飲むと目が覚めて仕事の効率が上がるということは，皆さんもよくご存じのことと思います。これは，カフェインが脳神経細胞を活性化することによります。また，コーヒーはカフェインの他，抗酸化物質，ビタミンB群，マグネシウム，ポリフェノールなどを含んでいます。抗酸化物質やポリフェノールは，細胞を傷害から守る作用があり，ビタミンB群やマグネシウムは細胞が正常な働きや状態を保つために必要な物質です。

次に，コーヒーの香りはリラックス感を与えてくれます。また，集中力や記憶力を高める効果や，ストレスを軽減し気分を高める効果もあります。これらの効果は嗅覚を通して神経系を刺激する作用やホルモン分泌を調節する作用によるとされています。ただ，これらのアロマ効果はコーヒーを飲んだ時の効果に比べると，個人差が大きいようです。いずれにせよ，コーヒーによる効果は脳神経細胞にとって良いことずくめという印象があります。

最近，コーヒーと認知症との関係について調査した結果が報告されました。それによると，コーヒーを毎日1，2杯飲む人は認知症の発症リスクが32%減少し，2～4杯の人は21%下がるという何とも頼もしい結果です。ただし，5杯以上になると発症リスクが4%上がるそうです。「1杯」と言う表現では実際の量が不明確ですが，飲む量には，超えてはいけない限界値がありそうです。「認知症のリスク」以前の問題として，コーヒーを飲み過ぎると胃が痛くなることがあります。また，脳神経を刺激し過ぎてイライラや不眠，さらには不安を引き起こすこともあります。このような症状は，その限界値を超えた時に現れると考えてよいでしょう。私は，経験上，1杯200 mLほどのコーヒーを1日3，4杯飲む程度であれば，イライラしそうな感じはまったくないので，それが自分の適量だろうと考えています。

ここで注意すべきことは，ほどよく覚醒したところで止めておくこと，それを過ぎると急にイライラを感じる可能性があるということです。脳神経が覚醒する過程はとても巧妙で繊細なので，4杯飲んでも大丈夫だったのに，5杯目を飲んだらイライラを感じ始めたということが起こりやすいのです。

適量のコーヒーを飲んで，リラックスした気分で仕事もはかどる，そんな充実した素敵な日々を過ごしましょう。