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阪神・淡路大震災の避難所(10)神戸に電子レンジを送ろう

3月3日「後ろ髪を引かれた」
 
午後8時、いよいよ避難所を離れるときが来た。たった5日間だったけど、振り返ると、いろいろな体験経験をさせてもらった。出会った人達の顔がリプレーされる。神戸市職員の皆さん、現地のボランティアの皆さん、倒れかけた店で頑張って営業していた飲食店のおやじ、喫茶店のママさん、みんな頑張って生きているのだ。少し人生観も変わった。
 
もう少し滞在したいが家では妻が待っている。帰らねばならない・・・。振り切るように、雨の降る神戸の街へ踏み出した。
 
夜の被災地は人気(ひとけ)が無く、人家から漏れる光もなく、街灯も満足に点いていない。焼けただれた建物、商店街、がれきの山のシルエットが不気味だ。国が違えば絶対に犯罪の温床になっているはず。早く駅に着きたいと焦る。
 
兵庫駅に着く。金曜日の夜。それもまだ9時前。駅前を行き交う人、電車から吐き出される人の数もまばら。街は仮死状態だ。
 
三ノ宮も同じような状況で、とても三ノ宮とは思えない。道があちこちでふさがれていたり、何のビルだか分らなくなっていたりで、やっぱり頭の中のナビゲーションシステムが働かない。心配になって駅に戻り、駅名を確認したほどだ。本当に違う駅に降りたような気がした。来たときと同じようにウロウロしてしまった。
 
帰りも夜行バスだ。発車まであと1時間あるけど、時間を潰す場所が見当たらない。喫茶店、飲食店、何も開いていない。駅の周りを2周もしてしまった。
 
22時30分、いよいよバスに乗る。氷雨が降る。街が泣いているようだ。また後ろ髪を引かれた。
 
(これが縁となり、後日、職場に戻りカンパを募り、電子レンジを幾台が購入して兵庫高校に届けた、というか、勝手に設置してきました。そのカンパの募集のビラの文面を紹介します。ビラを作ってくれた人に感謝)
 
神戸(兵庫高校)に電子レンジを送ろう。
 
神戸の避難所では、1人1回/日コンビニ弁当が配られています。
分会の仲間が支援に入った兵庫高校避難所でも、被災者約1,000名の方々が不自由な避難生活をおくられていました。
火の気のまったくない避難所に、みんなで使える電子レンジが1台もありません。
いまだに暖房の入らない体育館、廊下、教室で、寝泊まりしている人たちの中には、食が細くなり、病気に対する抵抗力が弱っている方もいます。
昨日より今日は、少しでも良くなっていると思えるようにしたい。
長びくであろう避難所生活の中で、あたたかい食事は、何にもかえがたいものです。
ぜひ、1台でも多くの電子レンジを送るために応援カンパのご協力を、おねがいします。
 
まずは、1台から
 
どこの、避難所でも、同じようにキビしい状況でしょうが、全部に送るのでは、とても大きな負担になりますし、お金という形もありますが、みんなが使える物にかわるまで時間がかかってしまいそうです。
そこで、現地の一般ボランティアに活用してもらうことで、被災者への支援につなげたいと考えています。
送り先は、兵庫高校避難所のジャンヌダルク ロッテンマイヤーさん。
彼女の「おベントーあたためますヨ~」という威勢のイイ声が聞こえそうです。
 
連絡先(カンパ、中古情報ナンデモ)
千葉 000-0000(○○課)
○○ 000-0000(○○事務所)(※電子レンジのアクションはこの人が主、千葉は補佐)
 
(3月だか4月だったか判然としませんが、何かの選挙(統一地方選挙のような気がします)の投票所の仕事を終え、その日の晩に電子レンジを積んで神戸に向かいました。結局、面識を得ることができなかったこともあり、ロッテンマイヤーさんに直接渡すでもなく、校舎に勝手に入って、勝手に設置してきてしまいました。)
 
(数年前、兵庫高校界隈を訪れましたが、もう「兵庫高校」という高校はなくなって、違う名前の学校に変わっていました。)
 
(おわり)

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