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傷と花

まず原型を作っていく。
心理学用語で言う、トラウマに関係するような部分だ。

何故そうするのか。
何故そのような話し方なのか。
どうしてそこで泣くのか。
そのときどんな顔で笑うのか。

全編を通して
ひとりの人間の骨格が貫きはじめる。

そうしたら、花が必要になる。

これはわたしの勝手な
やり方でしかないのだけれど…

傷を、舞台にのせるためには
その傷を覆い、労り、慮らなくてはならない。

そこで必要になるのが
花である。

時に戯け
時に遊び、芝居に緩急をつける。
笑いやおかしみ
謎や魅せ方で
お客さまの目を集める。

花があることで
傷は本当に見せなくてはならない時にだけ
登場してもらうことが出来るのだ。

これから、わたしは花をつくる。

傷はフィクションのはずだけれど
わたしにとっては違う。
これはほんとうの血が吹き出す
ほんとうの傷だ。

だからこそ。
綺麗な花、穏やかな花、笑ってしまうような花
そう、愛に満ちた花が
隣になくてはならない。

気持ちを完全に切り替えて
明るさのフィールドへ。
そこを抜けたら
本番がやって来る。

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