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特定行政書士の試験勉強(その2)

私は5月に東京都で行政書士を開業しました。副業行政書士としての開業です。ただ、開業はしたものの、お恥ずかしながら特にやることないので「特定行政書士」の資格試験に向けて勉強をしています。前回の「特定行政書士の試験勉強(その1)」の記事に続いて、今回は自分のために特定行政書士試験の要件事実についてまとめてみたいと思います。


要件事実(ようけんじじつ)とは?

要件事実とは「一定の法律効果(権利の発生、障害、消滅、阻止)を発生する法律要件に該当する具体的な事実」のことをいいます。
特定行政書士は行政不服申し立て手続きの代理業務を行います。行政書士試験でも勉強した行政庁の不許可処分に不服があるとき、原則として処分庁の最上級行政庁に、特定行政書士が審査請求書を提出します。そして、その行政不服申し立て手続きの中で、特定行政書士(審査請求人)と最上級行政庁との攻撃防御のやりとりの中で行う際の作法・ルールとして使われるのが「要件事実」です。

弁論主義(べんろんしゅぎ)とは?

弁論主義とは「裁判の基礎となる訴訟物(※)についての判断資料となる事実と証拠を提供することを当事者の権能かつ責任とする建前」をいいます。
(※訴訟物=訴訟上の請求。例えば、売買契約に基づく代金支払い請求権)
また、弁論主義は、個人はそれぞれ自由、平等であるが、そのような個人を拘束し、権利義務を成立させるのは各自の意思であるという私的自治の原則を訴訟法の場面において利用するのが弁論主義です。弁論主義の対極の考え方は職権探知主義で、職権探知主義は行政不服審査法で採用されています。これは私人間の争いは対等な立場でおこなれますが、私人と行政との争いについては、圧倒的に行政の方が情報量も多く、有利なので、裁判所も私人側に寄り添った形で裁判ができるような配慮があるためです。

弁論主義の3つの原則(テーゼ)

弁論主義には3つの原則(テーゼ)があります。
①第1原則(第1テーゼ)
裁判所は当事者が主張していない事実を認定して判決の基礎にしてはならない。
主張責任につながります
②第2原則(第2テーゼ)
裁判所は当事者間に争いのない事実はそのまま判決の基礎にしなければならない
裁判上の自白につながります
③第3原則(第3テーゼ)
当事者間に争いのある事実について証拠調べをするには、原則として、当事者が申し出た証拠に拠らなければならない(職権証拠調べの禁止)
※例外:職権証拠調べ(行政事件訴訟法24条)、調査嘱託(民事訴訟法186条)、当事者尋問(民事訴訟法207条)

【番外】残酷な天使のテーゼ ←特定行政書士に無関係(^^;)
・高橋洋子の11枚目のシングル。「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング曲。テーゼはドイツ語で命題、定立のこと。
・カラオケで唄うとみんな知っている曲なので盛り上がる(笑)

不朽の名曲「残酷な天使のテーゼ/魂のルフラン」

主張責任と立証責任

弁論主義においては、事実を主張し、その事実を裏付ける証拠を提出した(立証)するのは当事者になります。では、事実の主張がないとき、立証できなかったときは、どのような効果が生じるのでしょうか?
主張責任とは、ある法律効果の発生要件に該当する事実が弁論に現れないために、裁判所が、その要件事実の存在を認定できない結果、その法律効果の発生は認められないという方の当事者の受ける訴訟上の不利益、危険につながる責任のことです。
→弁論主義の第1原則(第1テーゼ)

立証責任とは、訴訟において、ある要件事実の存在が真偽不明(ノンリケットnon liquet)となり、その法律効果の発生は認められないという一方の当事者の受ける訴訟上の不利益、危険につながる責任のことです。

請求原因に対する認否の4つの態様

当事者の一方が一定の事実を主張した場合に、その相手方が行う事実の認否の態様は次の4つとなります。

①自白(じはく)
・相手方から主張された事実の存在を認めること(刑事ドラマで良くある?留置所でカツ丼を食べながら「俺がやりました」ではない笑)
裁判所で自白された事実は、立証が不要となり、裁判所の判断も拘束します(弁論主義の第2原則につながります)

②否認(ひにん)
・相手方から主張された事実の存在を認めないこと
単純否認積極否認の2つあります。単純否認は単に相手方の主張を否認するだけですが、積極否認は相手方の主張事実とは両立しない事実を積極的に述べて相手方の主張を否定します。
例えば、
「貸した10万円返せ!」
単純否認「そもそもあなたからお金借りてないよ」
積極否認「その10万円はあげるって言ったからもらっただけだよ」

③不知(ふち)
相手方から主張された事実について知らないと答えること。「②否認」に近く、その事実を争ったものと「推定」されます。

④沈黙(ちんもく)
相手方から主張された事実について黙っていること。「①自白」に近く、擬制自白と呼ばれます。
また、自白したものと「みなす」こともポイントです。
ことわざに「雄弁は銀、沈黙は金」とありますが、裁判においては沈黙は良くない、ということですね。

否認(ひにん)と抗弁(こうべん)

相手方の請求原因に対する争い方は2つあります。
①請求原因を否認する
②抗弁を主張する

抗弁の主張、立証責任は被告にあります。また、被告の主張が抗弁に当たるには
・その主張事実が請求原因事実と異なること
・その主張の法律効果が請求原因から生じる法律効果を妨げること(障害、消滅、阻止)が必要です。
なお、請求原因と両立しない事実は否認となります。
例えば、
「貸した10万円返せ!」
単純否認「そもそもあなたからお金借りてないよ」でしたが、
抗弁その1「借りたけど、10万円はもうすでに返したよ」とか
抗弁その2「借りたけど、10年も前の話だから、もう時効だよ(消滅時効)」
とかになります。

今回の記事は特定行政書士勉強のために記事を書きました。なんとか一発で合格したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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