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私のフライフィッシングも また、それまでの釣りの延長線上にあります。フライフィッシング…

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私のフライフィッシングも また、それまでの釣りの延長線上にあります。フライフィッシング以前の釣りも含めて50年を超える「フライフィッシングの周辺」の話をお楽しみください。

最近の記事

北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第1章 (全9章)『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 前編)』

                                    全4話 第1話  平成28年6月  前年夏の釣行最終日に出会った「おいっ!」の淵の川の印象は、それ以前に出会った桃源郷の川に勝るとも劣らぬほど強烈なものでした。  「釣れる川」という素晴らしさに加え、新千歳空港から近いこと、バンガローや温泉が近くにあることなど好条件がそろっていました。  約10ヶ月間、入念な準備をして臨みました。  今回は、初めて飛行機をネットで予約し、格段に旅費が安くなりました。これで

    • 昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第5章 最終章『智将 堀川君』

                    全4話 第1話  私達は、吉垣君が私達のことをしゃべってしまうのではないかと心配になってきました。 「僕らのことがバレたらどうなるん?」 陽ちゃんが心配そうな声を出しました。 「バレるわけないやろ!」 私は自分に言い聞かせるように言いました。 「そりゃそうやん。あいつらは何も知らんのやで。」 と、哲ちゃんが落ち着き払って言いました。 「ぼくらの名前も知らんし、知ってるのは背が大中小の三人ていうことだけやで。」 「そうか〜。そんだけしか知らん

      • 昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第4章『吉垣捕まる!』

                    全3話 第1話 「よし、あいつらとは逆におばん池から高取山を通って帰ろう。」  私達は、再びおばん池へ向かって歩きだしました。  すると、おばん池の土手を下りてくる堀川君の姿が見えました。 「大丈夫やったか?」 「うん。製材所の材木の下に隠れとってん。」 「そうか、良かった。それでも、お前ら無茶なことすんな〜。」 「ごめん。あんまり腹が立ったから。」  私は常々母から言われる「かっとなったらあかんよ。」という言葉を思い出しました。  怒りのままに

        • 昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第3章『逃げろ!』

                     全4話 第1話  三人は一目散に南側の土手を下りました。   急な土手を下ると、なだらかな坂道が続きます。  向こうに中塚製材所のトタン塀が見えてきました。  先頭を走っていた私が立ち止まって振り返ると、陽ちゃんはすぐに追いついて来ましたが、哲ちゃんはなだらかな坂道を息も絶え絶えに、まるで泳ぐようにこちらへ向かっています。「哲ちゃんがんばれ。速く!」  哲ちゃんのはるか向こうの土手の上では、なんとあいつらが私達を見つけて今にも追いかけて来ようとしていま

        北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第1章 (全9章)『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 前編)』

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第2章『仕返し』

                     全4話 第1話  「ええやんけ。」  その中の一人がいきなり陽ちゃんを突き飛ばし、箱から無理やり一個掴むと、池に向かって「爆弾や〜。」 と言って投げつけました。 「おもろ〜。」 「俺にもやらせろ。」 と、二人目がやり、すぐに全員が次々に泥団子を池に向かって放り投げました。  泥団子は放物線を描き、水面に落下したり、蓮の葉の上に落下して砕けたりして、次々にその数を減らしていきました。「くっそ〜。」  尻もちをついたまま涙を浮かべて悔しがる陽ちゃんを見て

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第2章『仕返し』

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第4章(最終章)『観音様のご守護はあるのか⁉』

                       全5話 第1話  すると、後ろから 「戻ろうか。」 と、お義父さんの声がしました。 「戻る?」  せっかくここまで来たのに?  確かに、もうこのまま前進することは無理です。一旦退却するしか道はありません。  パニックに陥りそうになっていた気持ちがすっと落ち着いてきました。 「そうしましょう。」 と、ぐるっと回れ右をして、自分達が切り開いた形跡を頼りに、もと来た藪を漕いで川へ戻りました。    川へ出ると、爽やかな風に気分も体も軽くなりました。まるで

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第4章(最終章)『観音様のご守護はあるのか⁉』

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第3章『このようにして私達は遭難するのか!』

                       全3話 第1話  数年ぶりに思わぬ大物を釣り上げ、ついつい長居をしてしまいました。  気が付くと、時計は納竿予定の時刻をとうに過ぎていました。  フライトの1時間前には飛行場に着くという計画で動いていましたが、今すぐに車に戻らねば間に合いそうにありません。  私同様釣りに熱中しているお義父さんに声をかけ、急いで入渓地点へ向け川を下りました。  入渓地点には目印を付けていませんでしたが、林道から川へ向う道が突き当たる開けた場所なので、簡単に見つかるは

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第3章『このようにして私達は遭難するのか!』

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第1章『無法者等現る』

                     全6話 第1話  通称「おばん池」は、昭和40年代、私がお世話になった小さな池です。  おばん池は、私の家から二キロメートルほど離れた高取山の東の麓の崖の上にぽつんとありました。  池の大きさは約200平方メートルほどで、ずんぐりとした瓢箪形。  三方を笹藪に囲まれたこの池の東側は唯一土手になっており、私達子供はここから池に入ってメダカやエビを捕ったり、時には釣り糸を垂れたりしました。  水面には池の半分ほどを蓮の葉が覆っていました。  まだブラック

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第1章『無法者等現る』

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第2章『「おいっ!」と私を呼ぶ川』

                             全5話 第1話  さて、帰る時刻は刻々と迫ってきています。急いで上流に向かいました。    道路はアスファルトからバラスに変わり、いよいよ森の中です。ハンドルを慎重に握り、ゆっくり進むと車停めが見えてきました。  お義父さんに 「この辺りに停めましょうか?」 と聞くと、 「もうちょっと上流へ行こう。」 と、いつもは私の提案になんでも同意するお義父さんが、珍しく主張しました。  お義父さん、なんだかやる気いっぱいのようです。  時間的に、

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第2章『「おいっ!」と私を呼ぶ川』

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第1章『目印はつけたか?』

                       全3話 第1話  平成27年。  それまで幾度も北海道へ川を探しに出向きましたが、釧路方面で出会った桃源郷ほどの体験はできないまま5年が経っていました。  その年は、それまでと違うスタイルでの釣行を試みてみました。  それまでは、JTBのパック旅行を利用しての釣行でした。飛行機とホテルとレンタカーの3つがセットになっており、それはそれで重宝していました。  しかし、ホテルに泊まると釣り場までが遠くなるという難点がありました。宿泊地をホテルに固定す

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第1章『目印はつけたか?』

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 最終章(第6章) 『最後の勝負』  

                     全4話 第1話   目の前でバレるのを見ていたお義父さんは、広がってしまった鉤を見ると、 「魚に気を遣って、かえしを潰した恩が仇になったなぁ、わっはっはっ。」 と、手を打って笑いました。その通りです。が、こんなに悔しいことはありません。  お義父さんは、一緒にフライフィッシングを始めた頃から、 「どうして釣った魚を食べないで逃がすんだろう。」 と不思議がっていました。  また、 「せっかく北海道まで釣りに来て、わざわざかえしを潰して釣りにくくすること

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 最終章(第6章) 『最後の勝負』  

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第5章 『鉤を曲げる虹鱒』  

                     全5話 第1話       一桃源郷3日目一  最終日となってしまいました。  昨日、記録を更新したとは言え満足はしていませんでした。「逃した一匹か、それに匹敵する一匹を釣らなければ気が済まない。」 そんな思いでした。  残された時間は少なく、また、釣り始めたら時間はあっという間に過ぎてしまいます。  目標を達成するためのいちばんの敵は「焦り」です。焦って長い距離を釣り上がっては本当の勝負の時間を逃し、かえって焦りを生じます。  限られた時間を有効

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第5章 『鉤を曲げる虹鱒』  

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第4章 『虹の向こうの虹鱒』

                       全4話 第1話          桃源郷2日目  バレることの多さにモヤモヤしつつも、まだ見ぬ大物との出会いに期待をふくらませながら川に立ちました。  勿論、迷うことなく、すべての鉤のかえしを潰して臨みました。  午後2時を回った頃でした。  直線的ではありますが、水量があり、しかも緩やかな流れに辿りつきました。 「いる。大きいのが。」 直感でそう思いました。  ここまで威力を発揮してきたエースフライ「イワイイワナ」は、もう残り少なくなって

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第4章 『虹の向こうの虹鱒』

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第3章 『バレまくる』

          第1話        一2日目一  夢にまで見た桃源郷の川に立ち、胸いっぱいに空気を吸いました。  すると、お義父さんが、 「前回、初めてここに立ったとき、チャラチャラと真っ直ぐな流れを見て、とても釣れるとは思わんかったよ。」 と2年前の思いを呟きました。  これまで口にこそ出さなかったものの、私と同じ思いを抱いていたことに驚きました。  私達は、この川によって、「川は蛇行する、いずれ良い流れに出会う」ということを体験したのでした。  さて釣果の方ですが、2つの原因から

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第3章 『バレまくる』

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第2章 『川での失せ物』

          第1話 「桃源郷に再び行ける。」  このときのような高揚した気分は、人生でそうたびたびはないと思います。  しかし、私の釣りの相方として60歳でフライフィッシングを始めた義父は、もう72歳になっていました。そろそろ二人での釣行は終わりを迎えるかもしれません。この旅を二人で行く最後の釣行と思うと、寂しさで気持ちが曇りがちになりますが、極力考えないようにして、それよりも、今回の釣行でさらなる大物がかかることを考えるよう努めました。  初日、十勝川支流を目指しました。橋のたもと

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第2章 『川での失せ物』

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第1章 『妻を説得する』

          第1話   平成19年に出会った桃源郷のような川への思いは募るばかり。  しかし、残念なことに翌平成20年は引越しをしたこともあり、北海道へ行くことが叶いませんでした。  翌平成21年、今年こそはなんとしてでも行きたい。  しかし、妻の首は縦に動くことはありませんでした。  このまま一生あの川へは行けないのか、やはり桃源郷だったのか。そう思えば思うほどあの川への思いは募ります。  7月になりました。  例年なら、日程を調整し、旅行社との交渉・入金などを済ませる時期です。具

          北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第1章 『妻を説得する』