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北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第1章 (全9章)『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 前編)』

                      
             全4話
第1話
 平成28年6月
 前年夏の釣行最終日に出会った「おいっ!」の淵の川の印象は、それ以前に出会った桃源郷の川に勝るとも劣らぬほど強烈なものでした。
 「釣れる川」という素晴らしさに加え、新千歳空港から近いこと、バンガローや温泉が近くにあることなど好条件がそろっていました。
 約10ヶ月間、入念な準備をして臨みました。
 今回は、初めて飛行機をネットで予約し、格段に旅費が安くなりました。これで、年1回だった釣行を2回、いや3回に増やせそうです。
 「おいっ!」の淵の川の良さをもう少し詳しく説明すると、新千歳空港から100km以内の近さにあるということ。この距離なら1時間半もあれば行けます。
 さらに、バンガローから川までは10分という近さであること。それまでのパック旅行では、指定されたホテルから川までの移動距離長く、それだけで釣りをする時間が短くなりました。「おいっ!」の淵の川のように宿泊地からたった10分で川へ行けるなら、釣りを長時間楽しめることになります。
 さらに、バンガローが素晴らしいのには驚きました。ベニヤ板ではなく丸太で組んだ本物のバンガローには、4人がゆったりと食事ができる広さのテーブルと椅子があり(値段にもよりますが、北海道にはテーブルも椅子もないバンガローがあります。)、さらにリビングもあります。4つのベッドは広く、畳が敷いてあり、ゆったりと休めます。
 当時1棟1泊3000円でしたので、義父と折半すると、1人1泊1500円です。それまでに泊まったバンガローとは格段に違いました。
 また、バンガローから車で10分ほどの所に温泉があります。釣りのあとの温泉というのはまた格別です。


第2話
 日程は、2泊3日。
 土曜の午後から休みを取り、午後の便でバンガローに着き、日曜日は丸一日、代休の月曜日は半日釣りに専念できるという計画です。
 さて、土曜日午前中の仕事が終わり、早速三宮駅の大型コインロッカーへ向かいました。
 というのも、職場に海外旅行並の大きなスーツケースで出勤するのはさすがにはばかられ、その朝早く職場から一駅向こうの三宮駅まで足を伸ばして大型のコインロッカーにスーツケースを入れておいたのです。そしてすぐさまUターンして普段通りの出で立ちで出勤したのでした。


第3話
 お義父さんとは、神戸空港へ向かうポートライナーの三宮駅で落ち合いました。
 二人とも「おいっ!」の淵の川への期待で胸を膨らませていました。 
 しかし、飛行機に搭乗してしまうまでは一抹の不安がありました。
 まず、飛行機に乗る前の手続きがうまくゆくかどうか。
 何せ飛行機には年に一度乗るか乗らないかですので、不慣れな者特有の取り越し苦労がありました。
 また、今回初めての格安航空チケットによる搭乗で、しかも初めての神戸空港ということも不安に拍車をかけていました。 
 最初の難関の「飛行機に預ける荷物のチェック」も無事すみ、搭乗口への身体&手荷物チェックも無事通過しました。あとは搭乗を待つばかりです。
 ほっとしながら、今か今かと搭乗案内を待ちました。

 しかし、予定していたANAの便はなかなか搭乗手続きが始まりません。
 それどころか、待ちに待った搭乗直前のアナウンスの内容は、
「整備のため搭乗が遅れるか、もしくは欠航の可能性がある。」
というものでした。


第4話
 まさか、天下のANAが台風でもないのに突然欠航なんてないでしょう。少し遅れるだけなのを、最悪のことまで想定して大仰に伝えてるだけだと自分をなだめました。
 周囲の客たちは慌てる様子もありません。
「やっぱり旅慣れてる人は違うな。こんなことよく経験してるんだ。大丈夫。」
と不安も和らいできました。

 しかし、10分、そして20分と、どんどん予定時刻を過ぎていきます。
 またまた不安が膨らんできました。

 30分を過ぎたとき、辛抱堪らず係員に直接状況を聞こうと席を立ちました。
 すると、アナウンスが流れ始めました。
「よし、来た。いざ出発だ。」
とばかり、マイクを持つ係員を注視しました。
 すると、係員の口からは
「欠航」
という知らせが飛び込んできたのです。

第1/9章 『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 前編)』完


 



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