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【読書感想文】夜は短し歩けよ乙女

読もうと思ったいきさつ

元職場の人が、森見登美彦作品が好きらしく、おすすめされたので図書館で借りて読んだのがきっかけだ。

ちなみに同時進行でアニメ『有頂天家族』も1週間かけて動画配信サービスで見た。

仕事を辞めて2週間、元職場の人におすすめされた作品にずっと浸っていたことになる。
本当は、おすすめしてくれた元職場の人と感想を言い合いたかった。
まだ、どこかで会える気がして、感想を言いたくてうずうずしている自分がいる。
でも、たぶん叶わないのだろう。
ちょっと寂しいので、このnoteで感想を書くことにした。

全体を通して感じたこと

『夜は短し歩けよ乙女』は、メイン2人の大学生男女が、交互に語っている構成である。

あまり接点がなかった2人が、少しずつ共通の視点を持ち、ほのかに交わっていくように描かれているのが、なんともこそばゆい。

それと、この「本」は、2人が仲良くなったあとに、「お互いの視点でこれまでのことを書いてみよう」という趣旨で書かれたのかな、と思わせてくれる。

心に残ったフレーズ

若人よ、自分にとっての幸せは何か、それを問うことこそが前向きな悩みだ。そして、それを常に問い続けるのさえ忘れなければ、人生は有意義なものになる。

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

悩み方にも色々あるのだ、ということに気づかされたフレーズだ。
そして、せっかく悩むなら、前向きなことで、悩むこと。

前向きに悩むとは

私はどうだったか。
普段からよく悩む方だが、後ろ向きなことで悩んではいまいか。
悩んでも解決しないことで悩んでいないか。

私の場合は、悩んでもどうにもならないことで悩むことが多い気がする。
過去のことで悩むことも多い。
過去は変えられないのに、だ。

そして、もう悩む必要がないことにまで、ずるずると悩んでいることも多い。

前向きに悩んで、答えが出たら、あとはその答えに向かって行動するのみではないのか。

悩むことは悪ではない

そして、悩むことは悪いことではないとも、このフレーズから教えてくれている気がする。

私自身、悩んでしまうのは悪いことだと思っている節は否めない。
でも、悩んでいいのだ。
むしろ、悩むことで人生が有意義になるのだと言っているようにも感じる。
要するに、悩む質の問題だと。

悩むことが多い私にとって、ハッとさせられるフレーズだった。

個人的感想

偽電気ブラン

同時進行で見ていたアニメ『有頂天家族』にも出てきた「偽電気ブラン」。
電気ブランと偽電気ブランは別物らしいが、その解説を『夜は短し歩けよ乙女』で読めたので、『有頂天家族』の方で出てきたときにも、理解度は高かった。

実は、2年くらい前に『電気ブラン』を気まぐれで買って、そのまま冷蔵庫に眠らせている。
『夜は短し歩けよ乙女』と『有頂天家族』を読んだり見たりしたことで、そろそろ飲んでみようかな、という気が起きてきた。

糺の森(ただすのもり)

個人的に京都旅行に行った際に、下賀茂神社へ行く道すがら、糺の森に行ったことがある。
なので、イメージはバッチリできた。
知っている場所が舞台となって物語が繰り広げられるのは、面白いものだ。

大学生活

大学生活をまともに送ったことがないので、大学生活を疑似体験させてもらったような感覚になった。

個人的には、半年だけ大学生だった時代があるので、その頃の新しい人間関係の構築が始まって、交友関係が広がっていきそうな感覚だけは、私も体験したことがある。

その先に、『夜は短し歩けよ乙女』のような、交友関係が広がって、その中で特に親しい友人ができたり、恋人ができたりしていくものなのかなあと、思いを馳せてみた。

世の人たちが大学生活で様々なことを吸収して、いいことも悪いことも経験して、生涯の友達を見つけているんだろうなあ、と思ったり。

時折、大学時代の話をされたときの反応の仕方に困るときがあった。
残念ながら、私は経験していないのでピンと来ないのだ。
ピンと来ないからこそ、どういう世界なのか、この本を通じて少しだけ知れた気がしている。

まとめ

全体を通して、独特の言い回しがはじめこそ慣れなかったけれど、だんだん心地よくなってきて、森見登美彦節が面白かった。

ほかにも代表作がたくさんある作者なので、また違う作品も読んでみたいと思う。






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