【小説】吹奏楽部による演奏が無い中の、引き寄せ甲子園

「高校から初めてサックスを始めるなんて無謀すぎたもうやめる。」

愛子は吹奏楽部の退部届けを 持ってきており 、その意志は硬かった。

「あいつが言ったことなんて気にするなよ。楽しくやろうぜ とは言わないけど。期待してなきゃ叱らないんでさ」

悠太は自分が愛子を 吹奏楽部に誘ったことに責任を感じていた。この調子ではいずれ、学校にも来なくなるのではないか。

とりあえず彼女の足裏をほぐさなければ。

将来 足つぼマッサージ師を目指している悠太は、愛子に靴下を脱いで足を机の上にあげる様に言った。

中間テスト前で部活の無い午後、音楽室に雄太と愛子が2人きりとなっている。悠太は 愛子の足裏のつぼ、「湧泉」を、手の親指を曲げた関節の所で 丁寧に押した。

愛子は 気持ち良さのあまり、眠りそうになっている。

「実は俺もやめようと思ってる。夏の甲子園 地方大会の応援のために 何でこんな辛い思いをして みんなが練習しなければならないのか。俺も疑問に思っている 。ここはうちの野球部の監督 辰巳さんに相談すべきことなんじゃないかな」

愛子はウトウト を作っていた目を開けると

「なんで 辰巳さんを巻き込むの?関係ないじゃない?」

「いや、それが関係あるんだよ。辰巳さんは元プロ野球選手で校長が頭を下げてうちの監督に就任させた過去があるだろう。辰巳さんは従来 、他の部活でも施されているハラスメントをなくすことを条件に 、監督を引き受けたんだよ。話をしてみる価値はある。さあ 、靴下を履きなさい」

早速、悠太と愛子は、野球部が練習する グラウンドへと向かった。グラウンドでは大きなスピーカーから、事前に 辰巳 監督が録音した ありがたいお言葉が流れていた」

「ありがとうありがとうありがとう 。君たちは甲子園に行きつつある 。ありがとう。ありがとう。ありがとう」

辰巳 監督は、引き寄せの法則にどっぷりと浸かっていて、野球部の練習にもそれを取り入れた。本職であるダルマの製作 も 部室にスペースを確保して、練習以外の時間に制作をしている。

「辰巳さん 。試験期間 だっていうのに練習に精が出ますね」

「馬鹿野郎。お前らだって 勉強もしないで何やってんだよ。愛子ちゃん 、なんか元気ねえな 。何かあったの」

「ちょっと 話を聞いてください」悠太が言うと。

「悠太に聞いてねーよ。 愛子ちゃん、落ち着いたら俺に 話してみなよ」

「私 吹奏楽部 をやめようと思っていて。私の実力じゃ 到底 ついていけない」

「顧問の坂本 、厳しくやってやがるのか 。俺いつも思うんだけどさ 、甲子園では 吹奏楽が演奏しなくちゃいけないって決まってるわけ ?決まりなんて無いと思うんだよね 。もちろん 演奏で選手が力になってさ、アルプススタンドも楽しめて、それはそれでいいさ。でも辛い思いして練習をやることはないな。よし、 俺があいつに言ってやろう 。そして 校長にも話をつけておくよ。うちらはね 地方大会でも甲子園に行っても 吹奏楽部を使っての応援はやらない様にしようなって」

辰巳の言うことなら 校長 は聞くだろう。ただ愛子が納得していない様だった。

「辰巳さん、 余計なことを言うのはやめてください。ほとんどの吹奏楽部員は 球場での応援が楽しみで、辛い練習も辛いと思わずやってる人も多くいるんですから」

「愛子ちゃん、野球もそうなんだけど 、音楽も嫌嫌やるものじゃないと思うの。悠太を見てみなよ 。教室内で女子の足つぼ 押しちゃってよ 。あと こいつのことを ちっちゃい頃から知ってんだけど、 楽譜も何も知らないのに 曲作ってたからね 。だから俺 こいつに一目置いてるんだよ。スタンドに人 集めてさ。 そうだな ぁ。阪神タイガースの応援をイメージして、みんなでメガホンを打ち鳴らしてみては。悠太、さぁどんな感じにすればいい?」

「そうですね 。2003年の時のキャッチャー 矢野さんのヒッティングマーチでいいんじゃないですかね? かっとばせ矢野、かっとばせ矢野 アイヤ!は、シンプルで盛り上がりますよ」

「いいよ 。それで行こう 。俺は 校長と吹奏楽部の顧問 坂本に話しつけておくからさ」

そう言うと、練習 をやめて 休憩する様にと、辰巳は部員に声をかけた 。

辰巳は自分が録音した、引き寄せの法則をテーマにした自分の声を吹き込んだテープを流し始めた。

「ありがとうありがとうありがとう。 君たちは甲子園に行きつつある」

テープを聴いた選手はお互いに笑い合い 、また それもいい雰囲気作りとなっていた

かくしてA 高校は、地方大会で 監督が制作したクソでかい ダルマを複数、 スタンドに並べて 吹奏楽部 無しの ヒッティングマーチ をひたすら 全選手に 捧げ 、本当に 甲子園へ行ってしまうのだった。

辰巳の一声のおかげで、吹奏楽部の指導方法が見直され、愛子も退部せずに済んだ。
今では辰巳とともに自由に曲を作曲し、あまり編集もせず YouTube にあげている。

「大丈夫大丈夫 。あまり こだわってたらユウチューブにあげれないから、勢いでいいんだよ 。著作権 を侵害しない様に気をつけてくれれば。

野球部は野球部だけではなく他の部活とも 連携するようになったから、強くなれたのではないか。お互いにいい影響を受け合っている様である。



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