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再生医療と脂肪について

なぜ脂肪なの?


当院では幹細胞を培養するのに脂肪を利用します。幹細胞は体のあらゆる部位にあるのですが、その中でも脂肪に大変多く含まれていることが分かっています。その他には幹細胞は骨髄にも豊富にあります。私は形成外科出身なので脂肪を採取する作業にはとても慣れています。もしかする、と血液内科の先生は骨髄採取はお手のものかもしれませんね。ただし、骨髄よりは脂肪の方が圧倒的に患者様の負担は少ないと思われます。そういった理由から当院では脂肪を用いた再生医療を行っています。

どうやって脂肪を採取するの?

脂肪はおへその横に小さな切開を加えて特殊な機械で少しずつ採取します。時間としてはほんの10分程度の作業になります。採取する脂肪の量も米粒2個分程度と大変少量で済みます。ほとんどの患者様が「えっ、もう終わりですか?麻酔をしているのかと思いました!」とおっしゃいます。とても小さな傷なので縫合する必要もありません。テープで固定して簡単なガーゼを当ててお帰り頂いています。
少量の脂肪で良い理由は、不織布を使用した特殊な培養方法にあります。この培養方法によって、不織布に沿って幹細胞が少しずつ増えて行き、最終的には1億程度まで細胞が培養されます。
以前私は他の再生医療を実施しているご施設のお手伝いをしたことがあります。施設によっては培養に必要な脂肪を200g程度採取することもあって、その際は患者様のご負担はとても大きくなります。
少ない負担で最大の効果が得られるのは、特殊な培養方法にあるといっても過言ではありません。

脂肪を採取した部位は痛いの?


脂肪採取した部位ですが、たまに内出血がひどく出る人はいますが、ほとんどの方が気にならない程度の内出血が小さく出る程度です。痛みはほとんどありません。
私も採取後2〜3日程度軽い痛みはありましたが、日常生活にはほとんど差し支え無かったのを覚えています。お腹から採取した場合は朝ベッドから起き上がる時などに軽い痛みを感じる程度だと思います。それ以外の部位、例えば太ももなどは階段の登り降りの際に辛いかもしれませんね。
少量でおへその近くであれば、採取後はそこまで気になることは無いことがほとんどだと思います。

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