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【ネタバレ考察】映画『くじらびと』「クジラの命が神々しい」「少年の夢はくじらびと」「石川梵さんの愛が強い

『運だぜ!アート』ツイッターアカウント

写真家の石川梵さんが本当に「くじらびと」の人たちを愛しているのかが伝わってくる映画です。30年余りにわたって、インドネシアの小さな島の“くじらの村”へ通い詰めて一本のフィルムにまとめあげています。

映画は迫力ある場面が次々と登場します。一切、CGはありません。怒り狂ったように暴れるクジラ目掛けて、勇ましい男が銛に全体重、いや“全魂”を込めて突き立てます。失敗すれば命取りでしょう。(ちなみに『アドリフト 41日間の漂流』はほとんどがCGで制作と言われていますが、実写との見分けつかないです)

キャメラは男とクジラの双方の「命の時間」を緊迫感を持って捉えています。生き物とは命の灯火が消える瞬間が一番力強いと言われます。

間違いなく銛がクジラを突いた瞬間は大きな爆発音と閃光が放たれるのが見えてきました。

この瞬間、双方に「命の時間」が秤(はかり)にかけられているのかが伝わってきます。

本映画「くじらびと」を観た人は「クジラが可哀想」とか「民族の伝統・文化の保存」などの感想を抱くと思います。

銛を打たれたクジラから海へ流れ出す真っ赤な血に嫌悪感を持つ人もいるでしょう。しかしながらわたしは青い海に流れ出す真っ赤な血が「とても綺麗だ」と感じたのです。

特にドローンで上空から、おびただしい量の流血が太平洋に広がっていくさまは圧巻であり、神々しく感じました。

生き物が「地球へ戻っていく」と手を合わせたほどです(わたしはジビエの猟師の友人がいるので慣れているのかもしれません)

ドキュメンタリー映画ですが、もう少し焦点を絞って欲しかったのも事実です。HPサイトや予告ではSDG’sとありましたが、それについてのメッセージは皆無だったと思います。

冒頭に登場した幼い息子を主軸に展開すると思ったのですが、ちょっと異なりました。彼が父や祖父と同じくクジラ漁師の夢を持つことが、良い物語になると期待したのですが、、、。

ドキュメンタリーは取材者の“想い”や“こだわり”がありますので、難しいものがあります。


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