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#491 今読み返すと司法試験の問題はおもしろい(難しいけれど・・・)

【 自己紹介 】

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【 今日のトピック:司法試験 】

今日は,僕が合格した司法試験の問題を見返していました。僕は,平成27年の司法試験に合格したのですが,この年の司法試験の問題のうち,民法の問題を見返していました。

一応リンクを貼り付けておきます(こちら

結構問題文も長くて,難しい問題だったと思います。

僕自身も,司法試験受験生の中でトップレベルに成績が良いわけでもないので(むしろ実力は下の方でした),今見ても,なんかめちゃくちゃ難しいです(笑)。

ただ,受験時代とは違って,問題文を楽しんで読めるようにはなりました。

今司法試験を受験すると楽しいだろうなと思います(笑)

既に合格しているので,「落ちたらやばい」というプレッシャーもありませんし,弁護士の経験を通じて,問題文を読む精度もめちゃくちゃ上がっているからです。

ただ,既に合格している人が合格することで合格者が1人減るのは,あまりにも残酷なので,受験しません。

まあ,そもそも,今の僕に司法試験に合格できる実力はなく(特に知識の面で),どうせ合格できないので,そんなこと気にせず,遊びで受けてみてもいいのかもしれませんが,やめときます。

合格する必要もないのに,遊びで受けるなんて,真剣に合格を目指している受験生に失礼すぎますからね。

さて,僕が受験し合格した司法試験の問題がどんなやつだったのかというと,結構おもしろいことが起きています。

舞台は,ある田舎町です(たぶん)。

その田舎町で,林業を営む人がいたんです。この人は,自分で森林を所有していて,その森林に生えている木を切り出して,その木を製材業者に販売していたんです。

ま,林業ってそんな感じですよね。林業を営む方って,自分で製材までする人もいるんでしょうけど,多くの場合,毎日せっせと木を切り出しています。

あとは,森林の手入れを行ったりもされていると思います。

木を切り出しただけでは,その木(丸太)は使えませんから,その丸太を,キレイに製材して,柱や梁(「はり」と読みます。柱の上に乗せるのですが,この重みで柱を上から押さえつける役割を果たします)として使えるようにしなきゃいけません。

まあ,こうやって,林業者の方は,製材業者に日々せっせと丸太を納品しているのでしょうけど,問題の舞台となったケースでは,付き合いのある製材業者が,どうも最近,金払いが悪いんです。

金払いが悪いなら,さっさと別の製材業者に切り替えればいいんですが,付き合いが長いのか,はたまた,田舎町だから人間関係が濃密で簡単に切り替えできない雰囲気があるのか,それとも,そもそもこの町には製材業者が他にいないのかわかりませんが,別の業者に切り替えることなく,この製材業者に納品を続けています。

ある日も,一生懸命頑張って切り出してきた丸太を,この製材業者に20本納品しました。

木を切り出すなんて,ちょっと想像すれば,その大変さがわかりますよね。

立派な木であればあるほど,高い値段で売れるのでしょうけど,立派であればあるほど,切り出すのは難しくなるはずです。

切ること自体も大変になるでしょうし,切り落とした木を山から運搬するのも大変になるからです。

こういう感じで,林業の作業は大変で,ひとりではムリなので,従業員を雇ったり,家族を使ったりして人手を確保しながら,一生懸命切り出したのです。

木だって,勝手に生えてくるわけではありません。

きちんと手入れにお金をかけて,手塩にかけて生育させたからこそ,質の良い木が生えてくるんです。

そうやって一生懸命育てて,大変な思いをして切り出した丸太を,製材業者に納品したんですが,この製材業者は,何が原因かわかりませんが,4月1日に納品した材木の代金(1本15万円を20本,合計300万円)の支払いを,8月1日にしてくれと言い出します。

4月1日に納品したのであれば,普通は,月末締めで,4月30日に,4月納品分の代金全額が払われるはずです。

にもかかわらず,8月1日にしか払えない,と言ってくる始末です。

納品した林業の方も,本当は受け入れたくなかったのでしょうが,しぶしぶOKしています。

さて,ここまでで,まだ問題文を5行終えただけです(笑)。

受験生時代には,こんなこと考えもしませんでしたが,今,司法試験の問題を見ると,ここまで想像が膨らみます。

これは,本当に大きな成長だと思います。

そして,その後の問題を少し説明すると,この製材業者,お金がないもんだから,まだ代金を支払っていない丸太を,自分で製材して売っちゃうんですね。

丸太を納品してくれた林業者さんとの約束で,代金を支払うまでは,製材業者に丸太の所有権が移転しないことになっていたのですが,そんな約束無視して,取引のある建築業者に,代金を払っていない丸太を製材して,材木として売っちゃったんです。

売ってしまえば,その代金が製材業者の懐に入ってきます。

お金がないと,こういう行動に出てしまうんです。この製材業者も,きっと,商売がうまくいっていれば,こういう不義理はしなかったはずです。

ただ,日々食っていかなきゃいけなくて,背に腹は代えられず,家族を守るために,こんな行動に出たんだと思います。

なんか,今の僕が司法試験受けると,背景事情を想像しまくってしまい,なかなか問題を読み進められず,時間切れで落ちてしまいそうです(笑)

ただ,今日僕が伝えたかったのは,司法試験の問題は「結構おもしろいよ」ということです。

この問題でも,林業者との約束を破って製材し,製材後の材木を売却しちゃったわけですが,製材業者から購入した建築業者が,まだ材木を保管していて,この保管中の材木を林業者は返してもらうことができるのか,ということがまず問われています。

そして,既に建築業者がリフォーム工事の材料として使った材木もあって,その材木は,リフォームした建物と一体化してしまっているのですが,その場合に,林業者は,お金の支払いを,リフォームを依頼した人(=施主)に対して請求できるのか,ということも問われています。

結論としては,保管中の材木については,建築業者が代金未払いを知っていたので,林業者に返還しなきゃいけませんが,ただ,リフォーム済みの木材については,リフォーム代金を既に支払っていれば,お金の支払いを求めるのは難しそう,という感じになるでしょうか。

【 まとめ 】

もう6年も前の司法試験ですが,今の自分が見返すと,めちゃくちゃおもしろいです(笑)

いろんな背景事情を想像できるようになったこと,そして,世の中の現象を法律の目で観察し,その観察精度が少しずつ上っていること,それぞれを実感できてよかったです。

それではまた明日!・・・↓

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