#314 統治行為論 ~権利よりも米軍が優先される世の中=日本~

今日は『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を読んでいました。

今日は,この本についてお話したいと思います。

とにかく,めちゃくちゃにおもしろかったです。あっという間に読んでしまいました。著者の矢部宏治さんは,以前『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』を読んでいたので,既に知っていました。

この本がとてもおもしろかったので,次に『日本はなぜ~』を読もうと思い,図書館で借りてきました。

『知ってはいけない』では,「日米合同委員会」なる官僚組織があって,アメリカの駐日大使と官僚たちが非公開の話し合いの場でいろいろと決めていることが暴露されました。

オモテの条約+密約(ウラの条約),という日本とアメリカの安全保障体制についても,わかりやすく書いてありました。

今日読んだ『日本はなぜ~』も,『知ってはいけない』以上におもしろかった。

『日本はなぜ~』も,現在の日本における米軍の特権的地位から話が始まります。米軍機が墜落しても,その墜落現場を日本の警察が捜査することはできません。先に米軍がやってきて墜落現場を取り囲んでしまい,日本の警察は手出しができなくなってしまうんです。

で,そういった現状は,「米軍けしからん!」で済むんじゃなくって,「法的な権利」として認められているんです。日米安全保障条約(+密約)によって,米軍は,沖縄だけでなく,日本全土において,どんな訓練でもできるような「法的地位」を与えられています。

で,この本は,そういった米軍による占領状態(「法的に」占領が認められている状態)が,太平洋戦争敗戦後現在に至るまで続いている原因について,詳細に歴史を分析して解説しています。

(途中で,原発の話が入ってくるんですが,これは不要に思えます。米軍の駐留を歴史的背景に基づいて解説することに,この本の醍醐味があるわけですが,原発については,そういった歴史的背景は解説されていません。単に「米軍と同列」としているだけです。原発についての部分はページ数も少ないし,説得力に欠けるので,僕としては,この本の値打ちを下げてしまっている気がしてなりません)

この本では,僕がかつて読んだ『「スイス諜報網」の日米終戦工作: ポツダム宣言はなぜ受けいれられたか』にも書かれていたようなスイスでの終戦工作にも触れられていて,この終戦工作の結果,国体=皇室が守られることについて,昭和天皇自身に確証があったからこそ,ポツダム宣言を受け入れたことにも触れられていました。

知識がつながった感じがして,嬉しかったです。

で,です。

日本人は米軍が駐留していることに慣れっこになってしまい,なおかつ,テレビでも「米軍基地近くのグルメ」を取り上げたりして,さも米軍が駐留していることが当たり前のように放送しているので,米軍駐留の異常性に気づいている人はかなり少ないです。

でも,外国の軍隊が駐留しているなんてめちゃくちゃにおかしいです。

確かに,日本は第二次世界大戦に負けました。無謀な戦争を(無謀だと認識しつつ)自らおっ始めてしまい,案の定負けてしまったわけです。

敗戦してしまったら,戦勝国の占領が始まるわけで,実際に,第二次世界大戦後,米軍がやってきて日本軍は武装解除され,米軍による占領状態が始まりました。その占領軍のトップが,あの有名なマッカーサーです。

マッカーサーをトップとした米軍によって占領されたのは,敗戦国として仕方がなかったのでしょうが,日本は「サンフランシスコ講和条約」で独立を回復したはずです。敗戦から独立国として蘇ったはずの日本という国に,今でも米軍がうじゃうじゃ駐留しています。

これは完全に異常です。

まず僕ら日本人は,米軍の駐留が異常だと知ることから始めなきゃいけません。

「でも,中国,北朝鮮,ロシアの脅威に対抗するためには,米軍が必要なのでは?」という意見があるのかもしれませんが,僕はそう思いません。だって,日本には自衛隊があるからです。

でも,その自衛隊が,「そもそも違憲なのでは?」とか「外国に対して武力行使はできないのでは?」という憲法上の疑義が生じているから,国防を米軍に頼るしかなくなっているんです。

国防を外国に頼るしかない国なんて,日本しかありません。

そのせいで,米軍の駐留が,敗戦から75年が経過した今でも続いているし,米軍駐留の根拠となっている日米安全保障条約に基づく,米軍の「治外法権状態」も,同じように今でも続いてしまっているんです。

で,米軍の「治外法権状態」が,日本で「法的に」認められた有名な事件があります。「砂川事件」と呼ばれるものです。「砂川事件」については,Wikipediaで調べてもらえばすぐに出てきますが,まあ,米軍反対派の過激なデモ隊が,米軍基地内に無許可で立ち入ったことを理由に起訴された事件です。

まあ,他人の敷地に勝手に入ってはいけないのはその通りなので,このデモ隊が有罪になったという結論には賛成です。

ただ,この事件は,一審の東京地裁で,米軍が違憲と判断され,その結果,米軍基地内への立ち入りを禁止する法律も違憲無効であるとして,違憲無効な法律に違反したを根拠に起訴されているから,全員無罪であるという判決が出ました。

これに驚いた検察官は,最高裁に「跳躍上告」という方法を使って判断を求めました。その最高裁では,米軍が違憲かどうかを判断することはできない,つまり,米軍は「裁判所の管轄外である」と示されたんです。

これが「統治行為論」という理屈です。「統治行為論」は,米軍だけに適用されるわけじゃなく,米軍の「ような」高度に政治性を有するもの一般に適用される理屈です。

この「統治行為論」は,広く受け入れられていて,司法試験受験生は全員知っています。つまり,日本の弁護士,検察官,裁判官の全員にとって,「統治行為論」は常識です。疑いの目をかける人はほとんどいないでしょう。「統治行為論」を「常識」として受け入れたほうが,早く司法試験に合格しますからね(笑)。

僕も,「統治行為論」に対して特に疑問を抱くことなく,「そんなもんか」で受験時代を過ごしてきました。

でも,矢部宏治さんの『知ってはいけない』を読んだときから,この認識が変わりました。

「統治行為論」は,「高度の政治性」を根拠に,裁判所の判断を回避する理屈です。つまり,「統治行為論」が適用された場合,裁判によって,権利の回復を図ることはできなくなってしまうんです。

米軍による騒音被害,米軍による汚染被害などによって,近隣住民の権利が侵害されても,「高度に政治性を有する」ので,裁判所の判断は回避されてしまいます。

矢部宏治さんは「法治国家の破綻」と鋭く指摘していますが,全くその通りです。法の支配の上に米軍が君臨していることを,最高裁が認めてしまっているんです。

話は続きます。

じゃあ,最高裁がおかしいかというと,たぶん,そうじゃありません。確かに,砂川事件の最高裁判決が出た際の最高裁長官である田中耕太郎が,アメリカから指示を受けていたことが文書で明らかになっているので,「裁判官の独立」を守らず,その権威を失墜させた田中耕太郎裁判官の責任は重大でしょう。

『日本はなぜ~』でも,田中耕太郎裁判官が,最高裁長官として砂川事件最高裁判決を書くまでの,アメリカの描いていたシナリオが公開されていることが書かれています。要は,砂川事件最高裁判決によって,米軍が裁判所の管轄外に置かれることは,アメリカの意向によって決まっていたことなんです。

田中耕太郎裁判官は,その意向通りに最高裁判決を言い渡し,その最高裁判決を,今でも司法試験受験生たちが「常識」として受け入れ,疑問を抱くことなく,「早く司法試験受かりたいなぁ」と思いながら,せっせと受験勉強に励んでいるわけです。

これは,ひどい(笑)

じゃあ,田中耕太郎裁判官がアメリカのシナリオに屈せず,米軍が違憲であると書けたのかというと,たぶん,書けなかったと思います。米軍が違憲であると書くような裁判官は,長官から外されて,「米軍は裁判所の管轄外である」と書ける裁判官が次の長官に選ばれていたでしょうから。

そもそも,日米安全保障条約とサンフランシスコ講和条約で,米軍の駐留が法的に認められています。

しかも,国際連合憲章に敵国条項があって,敗戦国である日本とアメリカとの関係について,国際連合憲章違反を問うことができなくなっています。

第二次世界大戦後の世界は,戦勝国と敗戦国という対立軸で進んできました。その結果,日本は今でも「敗戦国」なんです。

しかも,在日米軍は,日本の軍国主義化を防ぐ目的でも駐留しているようです。日本は今でも,「いつなんどき軍国主義の権化になりかねない敗戦国」として扱われているんです。

はあ,悲しい気持ちになります。

本当に,どうして,あんな無謀な戦争に突き進んでしまったのか。日中戦争を開戦し,泥沼化する中,どうしてアメリカと開戦してしまったのか。

開戦したらしたで,どうして停戦できなかったのか。

江戸時代ずっと鎖国してきたせいで,日本という国は本当に遅れていたようです。明治時代に富国強兵でよく頑張ったし,今もモノづくりでは世界有数の地位にあるでしょう。世界3位の経済大国でもありますし。

ただ,政治がヘタクソすぎる・・・。

いつの日か,第二次世界大戦の戦後処理を清算し,真の独立国となりたいです。

その時代を作るのは僕らです。

【今日のうつ病】(うつ病経過まとめ:こちら

今日までに経過した期間↓

・うつ病発症(2019年7月10日~):459日(1年3か月と1日)

・実家療養後の1人暮らし(2019年9月27日~):380日(1年と14日)

・午前中の散歩(2019年11月7日~):339日(11か月と4日)

・毎日ブログ(2019年12月3日~):313日(10か月と8日)

・出勤練習(2020年3月30日~):195日(6か月と11日)

今日で,出勤練習を始めて6か月と11日目になります。新型コロナウイルスの影響で,4月13日~5月11日までの約1か月間,一時中断されていましたが,それを差し引いても,5か月以上は出勤練習を積み重ねてきました。

そんな今日の「SleepCycle」を見ると(睡眠記録アプリ「SleepCycle」についてはこちら),午前0時1分に布団に入りました。昨日とは異なり,寝つきは良かったです。朝7時45分までぐっすり眠ることができました。もう少し眠っていたかったですが,まあ,及第点でしょう。SleepCycle独自の睡眠品質は82%/100%で,昨日に引き続き高得点でした。

(なお,僕のうつ病は,主な症状が不眠(①寝つきが悪い②中途覚醒③朝早く目が覚めてしまい二度寝もできない)で,この不眠症状の有無が,その日の調子の良し悪しや,回復の進み具合を左右します。そのため,毎日の睡眠時間や睡眠の質について,睡眠記録アプリ「SleepCycle」に記録されているデータをもとに逐一書き出すことにしています。)

今日も,昨日と同様昼寝していました。午後1時40分頃~3時頃まで昼寝しました。おかげで疲労回復が進んだと思います。調子は良いです。

今日もブログ書けてよかった!

それではまた明日!→こちら

昨日のブログ→こちら

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