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高野辰之を知っていますか?

日本で一番有名な童謡は何でしょうか?。
私は「故郷」だと思います。

作曲が岡野貞一、作詞が高野辰之です。
このコンビは他に「春の小川」や「朧月夜」等も手掛けています。

「故郷」始め、高野の作詞の多くは、故郷の長野県中野市の実際の情景をもとに作られていると言います。
私は高野の生家近くにある記念館を訪ね、周囲の風景を見るために歩きました。

高野の生家そばの風景

「故郷」は、正に高野の心境そのものでした。
卯を追う山がすぐ傍にあり、小鮒を釣る川(…小川ですが、思うよりも急な流れでした)もありました。
とても自然豊かな地に生まれましたが、上京し、苦労辛酸の上、やがて我が国初の国語教科書の編纂委員となります。
国文学者として、多くの業績を残しています。
その苦労の最中、上京時でしょうか。
故郷を懐かしみながら、この詞は生まれたのでしょう。

「春の小川」の舞台と言われる川(斑川)
「春の小川」歌碑

しかし不思議な歌です。
高野の心象風景が綴られたであろう「故郷」は、何故か日本の津々浦々まで、様々な人に愛されています。
高野のように里山で育った人も、海沿いの家で育った人も、等しく故郷を聞くと懐かしく思えるのは何故でしょうか。

AmazonのCMに使われているのを見た時も、変な気分になったものでした。
ふるさと納税の絡みがあるとか、高野のように故郷から上京した人達への訴えかけとか、そういった理由はあるでしょう。

しかし、一企業が採用する理由、または戦略として「故郷」は有用なのでしょうか?。
基本的に大きなマーケットを掴まない限り、ネットショップは損益が多く出ます。
それでも採用するわけとは何でしょうか?。

理由はハッキリしませんが、言えるのはこの歌が
「多くの日本人を感動させるものを内包しているから」
…でしょう。

高野は国文学者でしたから、日本語の美しさについては知り抜いていると言えます。
岡野貞一の情緒豊かな曲に、高野の流れるように進む詞が合わさったとき、その歌はスライドビューを見るときの様に、その世界を脳裏に映し出してくれます。
「朧月夜」も「春の小川」も、非常に完成された作品です。
そして、聞けば必ず情景が浮かぶ。
不思議なことに、それは個々の人々によって其々異なりつつ、しかし同様に郷愁を誘うのです。

愛車とともに






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