見出し画像

【LUMIX Ability】ISO感度と高感度耐性について

LUMIXの機能やカメラの基礎知識をお届けする連載「LUMIX Ability」。
今回は「ISO感度と高感度耐性」について解説します!

ISO感度とは

「レンズから入る光の量を、カメラ内で増幅する指標」をISO感度と呼びます。

ここではISO感度に大きく関係する、明るさとノイズについても解説していきましょう。

「明るさ」との関係性

どちらもSS:1/80、F4.0で撮影

写真の明るさは「F値(絞り値)」と「シャッタースピード(SS)」、そして「ISO感度」の数値で決定します。

室内や夜など暗い環境で撮影するとき、F値を低くしても明るさが足りないと、シャッタースピードを低く設定して明るくすることもあるでしょう。

しかし、シャッタースピードを低くしすぎると、手ブレを起こすリスクも大きくなります。

そこで活躍するのがISO感度です。暗所において「もう少し明るく撮影したいけどシャッタースピードは変えたくないし、F値はこれ以上小さくできない」といった場面でISO感度を上げると、光をカメラ内で増幅させ、明るく写真を撮ることができます。

しかし、ISO感度にも限度があります。多くの場合、エントリーモデルであれば最高ISO感度25600、上位モデルであれば最高ISO感度51200と、カメラによってISO感度の上限が変わります。

「ノイズ」との関係性

ISO感度を上げると、ノイズが発生します。上の画像は左がISO100、右がISO51200で撮影した写真です。

ISO感度が低いとノイズが少なく、ISO感度が高いほどノイズが多く入ります。ISO51200ではノイズが大きく入り、ISO100に比べてズームリングのディテールが損なわれているのが見て取れるでしょう。

撮影環境やテーマにもよりますが、高画質の写真を撮る場合、基本的にはISO感度を上げすぎないよう意識しながら設定することがおすすめです。

まとめ

ISOと明るさ・ノイズの関係

・F値とシャッタースピードで明るさを調節
・明るさが足りなければISO感度で調節
・ISO感度を上げるほどノイズが入るため、なるべく低くする

これらを意識し、明るさやノイズとの関係性を覚えて、ISO感度を有効活用しましょう!

カメラによる高感度耐性の違い

高感度耐性とは、高感度(ISOを上げた状態)におけるノイズ処理や、ディテール保存性、質感描写の高さを差します。

具体的にはISOを上げても、高品質な画質を保つことができるISO感度の目安「常用ISO感度」の領域が広いカメラを「高感度耐性が高いカメラ」と言います。

カメラによって高感度耐性には差があり、センサーサイズが大きい方が、ISO感度を上げた際のノイズを抑えられディテールが残るので、高感度耐性が高いと言われています。

センサーサイズによる比較

F値やシャッタースピード、焦点距離など、ISO感度以外の設定を統一し、フルサイズのカメラとマイクロフォーサーズのカメラで比較撮影をします。

マイクロフォーサーズで撮影(ISO25600)
フルサイズで撮影(ISO25600)

センサーサイズの小さいマイクロフォーサーズでは、フルサイズと比較してノイズが目立っています。

室内や夜など高感度で撮影をする時には、ノイズの載り方や現像を考慮して自分好みのISO感度を決めておくと、スムーズに撮影を行うことができます。

撮影を繰り返していくうちに「この暗さの撮影シーンであれば、ISO感度は○○に設定する」といった感覚を掴むことができるでしょう。

LUMIXの高感度耐性の特徴

撮影:関岡大晃(ISO6400)

LUMIXは独自の技術により、優れた高感度耐性を実現しています。

デュアルネイティブISO

パナソニック製シネマカメラ VARICAMにも搭載されているパナソニック独自の先進技術「デュアルネイティブISOテクノロジー」を解説します。

一般的なイメージセンサーは、回路構成が1つなので、高感度になるほど明るさと同時にノイズも増幅されてしまうという課題がありました。

デュアルネイティブISOは、「低ISO感度用」と「低ノイズ・高ISO感度用」の2つの専用回路をイメージセンサーに装備。高ISO感度設定時でもノイズの増加を極限まで抑えた、階調豊かで解像感のある美しい描写が得られます。

撮影:関岡大晃(ISO12800)

この革新的な技術により、お客様からご要望の高いISO6400クラスの低照度環境下においてもノイズが抑えられた美しい描写を生み出すことができ、編集によるノイズリダクションを始めとした撮影後のワークフロー時間の短縮など、あらゆる面で制作のクオリティを高めることができます。

ベース感度を自動で切り換える「Dual Native ISO設定 自動切換」を搭載

デュアルネイティブISOテクノロジーにより「低ISO感度用」と「低ノイズ・高ISO感度用」の2つの専用回路を、撮影環境の明るさに応じて自動的に切り替えることが可能です。

ISO4000

例えば、撮影時にISO4000以上を必要とする低照度環境下では、低ノイズ・高ISO回路へ自動的に切り替わり撮影します。

これにより、通常の低ISO回路のまま高感度で撮影した場合と比べて、ノイズを抑制した画質を実現。作品の品質を大きく落とさず、照明機材のコンパクト化や、定常光を活かした撮影が可能となります。

また、VARICAMなどのパナソニック製シネマカメラとの併用など、用途・撮影シーンに応じて、「低ISO感度」「低ノイズ・高ISO感度」の設定を、手動で選択することも可能に。柔軟な運用を実現します。

▼デュアルネイティブISOについて詳細はこちら

心地良さを感じるノイズ

ISO8000

LUMIXはある程度ノイズが残っていても、見る人が心地いいと思えるノイズの質感を意識しています。

例えばLUMIX S5IIでは新2Dノイズリダクションにより、静止画において、色ノイズの抑制と輝度ノイズの粒状性を向上させ、高感度撮影時のノイズとディテールのにじみを抑えることで、より自然で立体感のある描写を実現します。

また、自然な輪郭を再現するため、被写体の特徴を細かく捉えて、画像のディテールや、エッジの領域を判別。エッジ補正処理と組み合わせながら高い解像感と立体感を描写しています。

撮影:Chez Mitsu

複雑な工程を幾重にも重ねる大変な作業ですが、画像解析による数値評価だけでなく、主観評価も重視し、最後は絵作りメンバーの総意によって判断して、納得の仕上がりを追求して開発を進めています。

これらの技術によって、LUMIXでは高い高感度耐性を実現し、暗所でも快適な撮影を可能としています。


今回は、「ISO感度と高感度耐性」について解説しました!

LUMIX Magazineではカメラの知識や撮影技術、クリエイター視点の制作風景や、メーカーの「中の人」が語る開発裏話などを発信しています。

是非フォローやスキをよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?