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薔薇、百合、そして菫。
いずれも聖母に捧げられる花である。
西洋では、多くの花の中で特別に扱われるようだ。

薔薇は、「美 (beauty)」
百合は、「威厳 (majesty)」
菫は、「誠実 (faithfulness)」
この3つの特徴を兼ね備えた人が理想の女性と言われるとか。


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菫の花。
こうして曲線に囲まれると、清楚で上品だ。
菫に共通の花言葉は「謙虚」や「誠実」。

または「小さな幸せ」という花言葉もあるようだ。
菫についての記事にあった、アイリス・マードックの言葉。

幸せな人生を送る一つの秘訣は、小さな喜びを継続することです。

One of the secrets of a happy life is continue small treats.

                       アイリス・マードック
                       (アイルランドの女性作家、
                       哲学者、詩人 1919~1999)

あたりまえのようだけれど、忘れがちなこと。

小さな喜びは見過ごしやすいけれど、
それは、日々の家事の中にもあるし、子育ての中にもあるし、仕事の中にもある。
趣味の中にも。

そして、継続して「何か」が掴めると、嬉しいものだ。
それによって得られる、小さな幸せ。

「いってらっしゃい。気をつけて。」と言えることも、
毎日のお弁当が、空っぽになって戻ってくることもそう。
小さいハンガーにしか掛けられないほど小さかった子供の洗濯物が、大人の大きさになっていることも。
毎日の連なりの中の、一コマ。

毎日の小さなことが、実は大きな喜びなのだ。


それを、「幸せな人生」と気がつくかどうか・・・。
謙虚に誠実に、淡々と毎日をこなせるようでありたい。

以前、「プロフェッショナル」で見た女性は、
歳を重ねる中、毎日、手をかけて和菓子を作り続けていた。
母一人で育ててくれたお母さんに習った作り方で、同じものを作り続ける。
喜んでくれる人がいるから、誠実に、こだわりを持って手をかけて作る。
食べる人には、丁寧に大切に作られたお菓子から、気持ちが伝わるだろう。
そして、癒されるに違いない。

美しい人だ、と思った。

菫の花を想像させた。
悲しい日や、辛い日にも、和菓子を作ることで救われるという。
自分の居場所で、自分にしかできない咲き方をご存知なのであった。

今度、道の片隅で見つけたら、可憐な菫に話しかけてしまうかも知れない。
小さな喜びを継続してみます、って。


追記
ギリシャの国花は菫だと知った。
ギリシャ神話に出てくる、イアという女性がいる。
菫が可憐なのは、イアの面影を残しているからだと言われているらしい。
羊飼いの婚約者がいたイアに、太陽神アポロンが恋をしたが受け入れられず、
イアを菫に変えてしまったのだという。
また一説には、イアがアポロンの復讐を恐れ、女神アルテミスに
「私を人間以外のものに変えてください。」
と祈り、それが聞き入れられたのだという。



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