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バルタザール・グラシアン

バルタザール・グラシアンの『賢人の知恵』は、よく読んで、折り目だらけになっている。
ヨーロッパで400年語り継がれる最強の処世訓。

つまり、私がどれだけ賢くないか、ということを思い知らされるために読む。

「好ましい人とつきあう」という項目には、
大事なのは、知識より知人なのだ、と書かれている。
その通りだと思う。
ある程度の知識がないと知識のある知人ができないのも事実なので本を読むが(ただの楽しみというのが本当のところ・・・)、長年培った職人の技術を持つ人であったり、人を大事に思う気持ちを極めた人間であったり、美しい心持ちの信頼できる人であったり、尊敬できる知人は何よりも大切だ。
そして、本当に人の縁が幸せをもたらすと思っている。

「運のいい人を見分ける」
そうそう!
幸運はまちがいなくそのあたりにあるそうだ。大きく肯く。

「目上の人を立てる」
上の人を負かすことは、まったく愚かな行為であり、取り返しがつかないことになる。宝を隠しておくのと同じように、自分の強みも隠すようにしよう。飾らない言動や服装で隠して平然としていればいい。立場をわきまえるのだ、と書いてある。
自分を受け入れている人は、何かをアピールする必要もないということかな、と思う。ありのまま、そのままの自分でいられる人は魅力的だと思う。
自分を大きく見せることもないし、卑下することもなく、等身大で普通にしている人は素敵だ。

これは、「自分の力を正確に見つめる」にも通じる。

毎回、読むたびに自分を客観視する機会をくれる本だ。
最初「?」と思っても、何度か読むと、その深さに気が付く。
そして、人のこともよく見えるようになる気がする。

でも、一番大事なのは、自分を見つめること。


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