壱 ― 雨、降りしきる夜の窓辺・5
「果たして災厄だけなのでしょうかね、過剰な嫌悪感を抱いたのは……あの程度の零念、放っておいても問題ないでしょうに」
「せっかくの雨を穢されたくない」
「宿災の力は浄化の為のもの……先程は苛立ちが前面に出ていたと、私は思います。それでも災厄が力を貸してくれたのならば、それは貴方達の関係が友好である証拠なのですが」
「掟破りは、お師匠様に報告……か? 好きにしろ」
窓の外に視線を向けた少年。更なる一言は生まれ落ちず、強まった雨音が場を繋ぐ。
ーー 零念……あんなものが存在す