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中国のオタクが革命おこすかも

 中国のオタク女子が着物コスプレで歩いてたところ、警官に

「中国人なら中国の服着ろやぁ!!!!」

と絡まれ、連行されるという事件が起こった。

というか、浴衣はだめで金髪はいいわけ?
「中国人なら黒髪でしょうがぁ!」にはならんわけ?

この事件のあった蘇州には、卒業生の腐女子が住んでいる。
お嬢な彼女が親に買ってもらったマンションに冬休み泊まったこともあった。

彼女の故郷でオタク狩りか?と心配になり連絡してみると

と相変わらずキレッキレの返事。

彼女に限らず中国のコアなオタクというのはネットの網をくぐるのが得意というか情報に強い。

アニメや漫画、ジャニオタも含めて、自分の好きなものに対する情報を得るための彼らの努力は素晴らしく、この腐女子もVPNが厳しくなっても「VPNのおじさん」とやらのおかげでネット環境に不便はなかった。

SNS見てても、若者たちの間で愛国心が盛り上がってたりするけれど、オタクの投稿はブレないというか、彼らはネットの情報を鵜吞みにしたりなどしない。

反日への扇動に対してもいたって冷静。

逆に、心配なのは、そこまでのオタクでもないふっつーの子たち。純粋培養というか、親や大人の言うことは正しいと素直に信じる従順なタイプがやばい。

来月日本に留学に来る男子もその一人で、今日本にいる日本人の私の言うことよりも中国のネット情報を信じている。

「ネットでそのようにみんな言ってます」

ちなみに彼の後輩の一年生で二次元に生きている男子がいるけれど、彼は前述の腐女子と同じタイプで、逆にネットを疑うし、

「みんなが同じことするから結局競争になって、それこそ社会の思うつぼなんだ!」

と言ったりもする。

さらに以前の私の教え子で、ジョジョ大好き女子がいたのだけれど、彼女は自分でも創作をしている子で、ネットが無法違いになっていることに怒り狂っていたことがある。

彼女はあるサイトで小説を書くバイトをしていたらしいが、その運営に自分のオリジナル作品を勝手に使われたかなんかで著作権の侵害だと怒っていた。

中国といえば著作権がそれほど厳しくない印象がある。
でも彼女はそれが許せないらしい。

「私はこの国のそういうところが大嫌いです! 私は将来作家の著作権を守る仕事をします!」

と彼女は私に宣言した。

ちなみに彼女は、以前私が好きだった中国ドラマの原作小説は台湾の耽美小説のパクリなんだと教えてくれた。

そしてパクった(らしい)中国人の作家のことを批判していた。

これも熱いオタク魂というか、中国とか台湾とか関係なく、彼女は原作者へのリスペクトがあるし、著作権の侵害や盗作は許せないという確固たる信念がある。

このような子がそれまでの悪習を変えていくのかもしれない。
さすがジョジョを愛しているだけあって熱いぜ。

オタクが国の洗脳をそこまで受けないのは、海外の情報を得ることに長けてるってことも理由にあるのだろうけど、ほぼ漫画知識でできてる私としては、日本の名作漫画の影響もあるんじゃないかと思ったりもする。

「ワンピース」は「海賊王」という名前で中国でも人気だけれど、あれ読んでたらいろんな視点で物事見れるんじゃないかと思う。人種差別や民族問題も扱ってるし、情報捏造問題もあったり、夢がありながらも現実社会の問題があちこちにちりばめられている。

最近は「SPY×FAMILY」も中国で人気で「アーニャ可愛い」とかよく学生言ってるけど、あの漫画だって深いぞ!!!!

「アーニャはお母さんがいなくてかわいそうですぅ」

と表面だけ見てないで戦争に対しての作者の熱い思いを読みとってくれ!

手塚治虫の漫画読むだけで教養レベル上がるぐらいに思ってる私としては、漫画は啓蒙の書ぐらいに思ってる。

ちなみに日本のオタク代表の友人に、中国の腐女子は反日や愛国心しむけられても至って冷静と伝えると

「オタクは平常時で弾圧されがちなのでw」

との返事。

さらに

「好きなもん好きで何が悪いって反骨精神」

「みんな法の抜け穴すり抜けてオタクやってる」

との共感を示し、まさにオタクに国境はないと感じた。

そして日本の音楽が好きで日本に留学にきた学生も、今回の「中国人なら中国の服着なきゃだめでしょうがぁ!」事件に対してこのような反応。

彼は日本への永住を希望している。

コロナ規制の混乱の中、少し前も上海で、飼い主が強制隔離の間、検査員に犬が殺されるということがあった。彼の近所の犬も殺されたらしく、自身も犬を飼う愛犬家の彼としてはたいへんショックだったようだ。

中国のチャットアプリWeChatについても

「あんな監視アプリはもう使わない!これからはLINEだ!」

と言ってるし、好きなものに対してのブレない情熱はそれを奪われることへの激しい怒りに比例する。

今ちょっと中国がまた時代に逆行しているような気がしてならないけれど、今回のコスプレ着物事件のようにオタ活がどんどん取り締まられたり規制が厳しくなったら、オタクの反乱が起きるのではないだろうかなんて思ったりもする。

閉ざされつつある重い扉を内側から破壊するのは、オタクという勇者かもしれない。

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