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未来実現マーケティング

SDGSに並んでいる、こうなったらいいな、でも解決は難しいな、というような難題も、お、もしかしたら解決できるかも、と思えてしまうようなさまざまなものの見方を示唆してくれる一冊です。 ちなみに著者の神田氏のマーケティングの定義はちょっと一般的なもの、つまりいわゆる営業、というものとはちょっと違っています。 神田氏のマーケティングの定義は「必要な価値を必要な人に届け、必要な変化を起こす仕組みづくり」「売る方法」という一義的なものではないのです。 むろん変化を、社会において起こ

    • 重大事件に学ぶ危機管理

      いくつもの、それこそ重大事件を指揮してきた人だけに、なるほどと思わせる諫言がたくさんありました。 リスクが発生しているという報告も大事だが、逆に「異常なし報告」をしておくことも重要であること。アメリカの緊急報告体制に倣った「事実報告」→「情勢判断」→「意見具申」の短時間報告。アメリカの緊急事態においてはエレベーターに乗る15秒の間にこれをやるべく定められているそうですが、ビジネスシーンでも十分使える、いや使うべきやり方でしょう。 また、組織のいわゆる「集団愚考」についても

      • 大黒屋光太夫

        船の難破、厳寒での過酷なロシア滞在。帰国の許可も中々おりない中、ロシア滞在を勧められ、それでも希望を捨てずに交渉し、十数年ぶりに日本帰国とあいなった人物の生涯を綴る吉村昭氏の歴史小説です。 この本を読む前、アメリカ彦蔵自伝という本を読みました。光太夫よりも 100年ほどのちに、やはり漂流し、アメリカの船に拾われ、アメリカに渡り、のち日本に戻って通訳として活躍し、何不自由のない生活を送る浜田彦蔵と比べると、光太夫の苛酷さたるやなんなのか。 帰国をあきらめ、ロシアで何不自由の

        • 現代美術史

          現代美術がどう生まれ、どういう議論を経て、今に至るのか。 美術はよくも悪くも人々にどういう影響を与えていたのか、をわかりやすく書いている本です。何を芸術と考えるか、芸術を癒しとは考えず、物事を省みたり、考えを深めることに使っていこうとしている動きもよくわかりました。 文章は平易であっても書かれているイベントは突然出くわしたら、 今のはなんだったんだろう?と不勉強な素人は思ってしまいそうな ものばかり。解説を読むとなるほどー、とは思いますが、解説なしに 解釈するのはなかなかに

        未来実現マーケティング

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        • 読書記録
          49本

        記事

          新しい経営学

          経営に必要な、思考モデルをわかりやすく、解説している本です。もともと女子栄養大学での授業がベースになっている本のようです。 経済学科とか経営学科とかではなく、「栄養」を学ぶ人たちに教えたというところが肝なのかな。もう当然、こんなことは知ってますよね、という前提ではなく、本当に0ベースで教えてくれるから、実にわかりやすい。 まずビジネスを考えていくには、ターゲット、バリュー、ケイパビリティ、収益モデルを考える必要があると説き ”事業経営において、われわれは●ターゲットやバリュ

          新しい経営学

          投資思考

          この人に仕事を頼みたいと思えるように自分のブランド力を磨く、 企業価値を高めることにより、TSR(株主にとってのリターン率) があがることを目指さなければいけないのに、TSRだけに目をとられてはいけない。 などなど、さすがゴールドマンサックスのエリートと思える、スマートな解説が次から次へと繰り出されています。 が、限られたリソース(時間や体力)を使ってより大きなリターン(キャリアアップ、昇進)を獲得しよう とか、事業が順調だから旅行にでもいくという考え方より、順調だからこ

          投資思考

          税ってなに?とられる税から私たちの税へ

          子ども向けの解説本は、馬鹿にならない深さで、かつわかりやすくものごとをしるのにもってこいです。 この本も、日本の税金を書いた三木義一さんが、日本の税金で説いていた内容を子ども向けに、さらに分かりやすく説明しています。こっちを先に読んでおけばよかった・・・。 権力者が、国民から税をとりたてる状況から、国民主権で、国民が何に税金をかけるのかを決めるやり方に変遷していく様子をまずわかりやすく説明しています。そのうえで、小さな政府、大きな政府、それぞれの特性とメリット、デメリットを

          税ってなに?とられる税から私たちの税へ

          日本の税金(三木義一)

          税金の知識不足に焦り、いろいろ読み漁っているわけですが、これまで読んできた本の中で、まさに日本の税金の全容を理解できる本といえましょう。 税を納める意味、これまでの課題のところまではすぐ読み進められましたが、各種税金の説明は、相当かみ砕いて書いてくださっているはずなのですが、頭に?が飛び交うところもしばしば。 とはいえ、おさえるべきは2つなのではないかと。1つ目はどういう税金がなんのためにあるのかということとを理解すること。2つ目は各種税法の何が問題なのかを自分なりに説明で

          日本の税金(三木義一)

          幸せのメカニズム 実践幸福学

          元エンジニア、現在はウェルビーイングを研究していらっしゃる前野隆司氏の著書です。科学技術の進歩とそれに基づく豊かさの向上こそが人を幸せインすると信じてエンジニアになったのに、豊かさが向上しても幸せ感があがっていないことに気が付かれたのが、ウェルビーイング研究のきっかけでいらっしゃいます。 すべての仕事は幸せにつなげられるはず、といった考え方、経済最優先の考え方の行き詰まり、など共感できるところもありましたが、首をかしげざるをえないところも多くありました。 幸せのループとい

          幸せのメカニズム 実践幸福学

          お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください

          タイトルだけ見ると節税のことが中心で書かれているように見えるが、そもそも税金はどういう仕組みで成り立っているのか、確定申告はどう手順を踏んでいけばいいのかが書かれている本。 私は会社員で、源泉徴収で税金を払っているが、いつか会社を退職した際には、こうした税金の支払いを自力で行わなければならないわけで・・。 わかったつもり、と実際わかって行動できるのとでは大違い、だが、基本のキまでは、前回読んだ日本一やさしくて使える税金の本|luvhuey (note.com)との合わせ技で

          お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください

          日本一やさしくて使える税金の本

          税金。私にとってはなんだかわからないのでできれば避けて通りたい、というのが本音のテーマであった。サラリーマンは源泉徴収が基本で、そもそも自分がいくら税金を払っているのか、よくわからなくてもなんとかなっていたというところもあり、知ろうともしていなかった。 そんな状態で大学院入試対策のために通っていた塾で、税金のことを書いたものだから、結果はさんざん。いくらなんでも無知すぎる、と強烈に叱られ、これはちゃんと学ばねば、と、ネットで検索して発見したこの本を手にしたわけである。 私の

          日本一やさしくて使える税金の本

          60歳を過ぎると人生はどんどんおもしろくなります

          80過ぎて、シニア向けのゲームアプリを作り、そして、アップルのイベントにも招待されたことで、注目を浴びた、若宮正子さんの著書。 60を過ぎると、とありますが、60になる前からおそらく明るく前向きに かつ自分らしく生きていらしたのだろうな、とうかがえる1冊です。 むろん、著書の中心は60になってからの話が中心です。でもその前も銀行で時代の変化に柔軟に対応しながら女性初の管理職にもなっていらっしゃいます。退職後、お母様の介護に携わる際、とじこもらないように、とパソコン通信と出会

          60歳を過ぎると人生はどんどんおもしろくなります

          リスクを考える

          吉川肇子さんによる、リスクマネジメントの在り方を問う一冊。 首尾一貫書かれているのは「いわゆる専門家が、素人にレクチャーするという考え方でマネジメントされるのはおかしい」ということ。 専門家にも盲点はある。当事者が自身の視点で事実を見つめ、対話をすることこそが、リスクマネジメントの基本である、ということが著者の主張、と受け取りました。 私はあともうひとつ、著者の意見から付け加えたい。失敗やリスクが生じたことについて、責める、糾弾するだけのコミュニケーションからは前向きな議論

          リスクを考える

          安全とリスクの心理学

          北陸地方の皆様のご無事を心よりお祈り申し上げます。 ちょうど、この本を読んでいる最中に、年始の大地震の報に触れました。 NHKのアナウンサーがいつもとは違う、感情を込めた、緊迫性をもって、避難を呼びかけていたのが印象的でしたが、これまでの報道の在り方を これまでの災害報道から見直していった結果なのでしょう。 見直しをかけたほうがいいかなと感じているのは津波の高さです。確かに津波の高さの定義上は報道で報じられている通りの高さなのでしょうが、実際は定義されている高さの3倍以上

          安全とリスクの心理学

          アンコールワットのサバイバル

          アンコールワット遺跡について漫画で解説されている全2冊。アンコールワットに旅行することになったので、予習のために読みました。遺跡に書かれているレリーフの意味、またベースにあるヒンドゥー教の教えや、ラーマヤナの伝説などが紹介されています。 漫画、かつ子ども向けだからあえて、なのか、大事な用語がさらっと解説なしで出てきたり、初心者向けとは言い難いところもあります。 とはいえ、なーんにも知らないまま行くよりは、レリーフの意味を大雑把にでもわかっていた方が楽しめるというもの。そういう

          アンコールワットのサバイバル

          今日から使える身近なリスクマネジメント

          もっと堅苦しく読むのに苦労すると思いきや、著者が巻末で記しているように、肩のこらない読み物となっています。最後に掲載されている論文ですら、とても読みやすく、わかりやすいです。 これまでのマーケティング活動や、事業戦略は、リスクは一定評価するが、基本はリターンを重視して実行可否を決めているものという傾向は否めなかったかなと思います。しかし、SDGSの理念の浸透もあり、「もうかってなんぼ」という考え方だけで突っ走る企業は淘汰されつつあります。またリスクの考え方も法令違反や、災害

          今日から使える身近なリスクマネジメント