スポーツ産業の現状とスタートアップ紹介

初めまして、ロッテベンチャーズ・ジャパンでスタートアップ投資を行っている中野です。私は小学校から大学まで野球をやっており、様々なスポーツを見るのが大好きです!しかし、今までスポーツ業界のことをしっかり調べたことが無かった為、今回はスポーツ業界のマーケットやトレンド、より良い商品やサービスを提供しているスタートアップについて紹介します。

日本のスポーツ産業市場規模

スポーツ庁による政府目標では日本のスポーツ市場規模は2012年 5.5 兆円を 2025 年 までに 15 兆円に拡大することを目指しており、2020年時点では約11.4兆円とも言われております。
直近では新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けている可能性がありますが、スポーツ市場を拡大し、その収益をスポーツ環境の改善に還元し、スポーツ参画人口の 拡大につなげるという好循環を生み出すことにより、成長産業へと繋げていくことができると考えます。
※アメリカのスポーツ産業の市場規模は2016年で約5,000億ドルとも言われているので、世界と比較するとまだまだ拡大を期待できます!

第3期スポーツ基本計画の概要より

スポーツ業界のトレンド

①コストセンターからプロフィットセンターへ

最近のスポーツ業界で注目されているのが、スタジアムの「プロフィットセンター化」です。従来のスタジアムは、建設や維持管理に莫大な費用がかかるため、収益化が難しい施設として認識されてきましたが、近年では、スタジアムを単なる試合会場として捉えるのではなく、様々な収益源を生み出す複合施設として活用することで、収益化を図る動きが活発化しています。
最近では北海道ボールパークや今年完成予定の長崎スタジアムシティが有名です。プロスポーツチームの本拠地となるスタジアムを中心に、商業施設やホテルなどを併設した複合施設となっており、地域活性化に貢献する次世代型のスポーツ施設です。

北海道ボールパーク

北海道北広島市に設立し、野球場やホテル・商業施設など北海道の自然を活かしたデザインで北海道のシンボルとなる、世界がまだ見ぬボールパーク

長崎スタジアムシティ

2024年10月完成予定の長崎県長崎市に設立されるサッカースタジアムを中心にアリーナ・オフィス・商業施設・ホテルなどの長崎の文化や歴史を活かしたデザインの複合施設

②プロスポーツチームの買収

近年、スポーツビジネスは世界的に成長しており、日本でもその可能性が注目されています。特に、プロ野球やJリーグなどのプロスポーツは、観客動員数や放映権料などが近年増加しており、収益化が期待できます。
レッドブル社がJリーグに参入するのでは?といった情報もあり、これから外資によるチーム買収も増えてきそうです。
これらの動きはスポーツ業界の構造変化を象徴する動きになると考えます。その為、スポーツビジネスの可能性に注目した企業が、チーム買収を通じてスポーツ業界に参入し、チーム運営を通じてブランドイメージの向上や顧客獲得、地域貢献などへの取り組みを行い、スポーツから他産業への発展へと繋がる取り組みとなると考えます。

(買収例)
・野球
2011年にDeNAが横浜ベイスターズを買収
・サッカー
2018年にサイバーエージェントがFC町田ゼルビアを買収
2019年にメルカリが鹿島アントラーズを買収
・バスケットボール
2020年に識学が福島ファイヤーボンズを買収
2022年にセガサミーホールディングスがサンロッカーズ渋谷を買収

スタートアップ紹介

それでは、スポーツ領域のスタートアップについて紹介したいと思います。
スポーツを実際にする人ではなく、今回はみる人にとっての「視聴体験」や支える人にとっての「データ活用」の価値を提供しているスタートアップを各3社ずつ紹介します。

視聴体験

技術革新により、ユーザーの視聴体験は日々進化しています。今では当たり前である、水泳の世界記録ライン表示やサッカーのVAR判定など、臨場感あふれるスポーツ観戦体験が可能になりつつあります。そんな中で視聴体験の進化は臨場感、利便性、エンゲージメント、情報量、多様性など、スポーツをより身近に、より深く楽しめるものにし、スポーツファンにとってかけがえのないものとなります。

①AMATELUS株式会社

自由視点映像やマルチアングル映像の配信システムSwipeVideo
複数台のカメラで撮影された映像をスワイプする事で自由に視点をスイッチングしながら視聴が可能。自由視点映像やマルチアングル映像の視聴体験がファンの潜在的な欲求を満たします。

②株式会社meleap

AR技術で実現する最先端スポーツHADO
頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着して楽しむARスポーツ。自らの手でエナジーボールやシールドを発動させ、フィールドを自由に移動し、仲間と連携しながら対戦を楽しみます。
アプリ「Wow Live」でのプレーヤー応援を通じて、競技者の技が強化されるという視聴者参加型システム。

③TMRWスポーツ

タイガーウッズとローリーマキロイが立ち上げるテクノロジーを駆使した新しいゴルフリーグ「TGL」
巨大スクリーンを使用したシミュレーターと、会場特設グリーンで試合が行われる団体戦。今までのゴルフとは違った、ゲームのようにエンターテインメント性が強く、新しいスポーツとして違う楽しみ方になるはず!
※海外のスタートアップですが、とても面白いと思い、紹介します!

TGL公式インスタグラムより

データの活用

スポーツを支える人にとって、データ活用は選手能力向上、チーム強化、ファンエンゲージメント向上、経営効率化、スポーツ普及など、様々な価値をもたらします。スポーツの魅力を多くの人に伝えて、スポーツ教育プログラム開発やメディアへの情報提供を通してスポーツ普及にも貢献します。
データ活用は、スポーツを支える人にとって、競技力向上、ビジネス成長、そしてスポーツ界全体の発展に貢献する重要なツールです。

①株式会社ユーフォリア

選手のコンディションを見える化ONE TAP SPORTS
アスリートのコンディション、メニュー管理、トレーニング管理など、あらゆるデータを可視化・分析可能により、コンディション把握だけでなく、ケガの予防およびケガからの早期回復も図ることができる。

②株式会社Sportip

AI姿勢分析アプリでさらなる指導・施術するSportipPro
カメラでのモーションキャプチャを元にAI姿勢分析・動作解析を行うアプリ。リアルタイムでトレーニングを解析し、レクチャーをしてくれる。オリジナルのトレーニングメニューの自動作成も可能。

③SportMeme株式会社

選手評価・新戦力獲得のためのデータ分析サービスDePosta
チームへの勝利の貢献度で選手の価値を評価。パフォーマンスやフェアバリューを評価し、選手獲得に必要な最先端の分析データや機能を提供。

まとめ

先日プロ野球のシーズン公式戦が開幕し、昨日は電気自動車のF1とも呼ばれる国際レース「フォーミュラE」が国内で初めて東京で開催されました。また今年行われるパリオリンピックに向けて、様々なスポーツチームや選手が出場を内定し、これから益々スポーツが盛り上がってきます。
またスポーツテックの市場も急速に成長し、これからスポーツとテクノロジーの融合によって、競技力向上、観戦体験の革新、スポーツビジネスの拡大など、技術革新によってスポーツの可能性を広げ、ますますスポーツ界に欠かせない存在となることが期待できます。
スポーツを起点に様々な産業と繋がり、スポーツで稼ぐことができる産業へと広がっていくことで今後もスポーツ産業の発展に繋がっていくのではないでしょうか。スポーツの価値を少しでも世間に広め、発展に貢献できるように、これからスタートアップへの投資や情報発信などを行っていきたいます!

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