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3月がおわったなんて|エッセイ

もう4月。……えっ!?
と、いう気持ちである。
私はこの3月、通院以外で家から出ていないし、なんならずっと寝たきりで仕事も家事も執筆もしていない。
もちろん遊んでもいない。
なのにもう4月。なぜこんなに日々が過ぎるのが早いのだ。

私の知らぬうちに桜は満開の時期を迎え、花粉は大量飛散している。
学生たちは卒業し、我が社は新入社員を迎える準備をした。
なのに私は、それらすべてに関わりなくひっそりと生きている。

こんなことは初めてである。
私のクローゼットには未だにニットの服が下がっている。
いくら夫が家の衣替えをしてくれても、私はいまいち季節を感じられていない。
だって桜見てないもの。春の陽気も感じていないもの。
それでも季節は進む。そらそうだ。私は一介の人間で、何者でもないのだから。

時の流れに置き去りにされた私は、いつかこの時期のこの想いを懐かしく思い出すのだろうか。
社会から離れ、毎年していた花見もせず、ただただ生命を守るために他の何事もなし得なかった時期のことを。

思い出すときは、幸せな気持ちでありたい。
どうかどうか、そうなりますように。
そうなるのならば、私は何度季節に置き去りにされても構わない。
浦島太郎ドンと来い、である。

来年は、笑顔で桜が見れますように。


ちなみにヘッダーは、夫に送ってもらった写真である。

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