#選挙とコピー_2023都議会議員補欠選挙
2023年10月15日に投票が行われた立川選挙区の都議会議員補欠選挙。今回は、その選挙におけるコピーに注目してみます!
まずは、投票の概要から。
前回よりは投票率が上がったものの、有権者の1/4くらいしか投票していないんですね。低いなぁ。でも、こんなものなんでしょうね。
そして、気になる選挙結果はこちらです。
こちらのような結果となりました。では、早速コピーを見ていきます。
伊藤大輔さんのコピー(当選)
①のコピーは実績と人柄アピールですね。市議を長年務めてきた実績と、子育て中という「パパ感」を演出しています。「奮闘中」がポイントですよね。実績と人柄の訴求は、選挙コピーの定番中の定番だと思います。
②のコピーは、地元愛の訴求です。「立川大好き!」「立川のことを真剣に考えていきます!」というアピールです。ただ、「1番」はどんな1番なのでしょうか?ここは、補足が必要だったと思います。
1番は聞こえはいいですが、具体的な目指すべき何かがあって初めて1番を訴えられるはずだと思います。例えば、「子育てしやすい街1番」とか。
③のコピーは、小池都知事のブランド力を借りたコピーですね。良くも悪くもブランド力のある都知事ですから、このブランド力に乗っからない手はありません。
結果、見事トップで当選されました。
鈴木烈さんのコピー(当選)
①のコピーは、鈴木さん個人のキャッチコピーなのでしょうか。「ひとにやさしい東京を私がつくる」という、意志や理念をコピーにしているのかと思います。「キャッチコピー」なので、キャッチ―な言葉にしてある点は評価できると思います。
ただ、私が気になったのは「やや抽象度が高い言葉を使っている点」です。ボンヤリした印象になりかねない気がしました。「ひと」「やさしい」は抽象度が高く、「(どんな)人」「(どういった)やさしい」なのかが伝わりにくい気がしなくもありません。
選挙コピーは、①端的②牽引力③浸透度の3点が大切かなと思います。それでいうと、牽引力と浸透度がやや欠けるコピーな気がしてしまいました。
②のコピーですが、コピーというより華やかな経歴の羅列ですね。これでもかというくらい、経歴を押し出しています。たしかに素晴らしい経歴をお持ちですが、これを見て「投票しよう!」と思う有権者はいるのかな?
「保護ネコ2匹」は、お人柄が出ていて効果的だなと思いました。「保護ネコを飼っている=いい人・優しい人」という印象を与えるのにはうってつけですね。
③のコピーは、「市民」という言葉を使っているのがポイントですね。「立川市民の皆さんと一緒に闘います!」という連帯感を生みだしています。「私は市民の味方なんですよ。仲間なんですよ」という、「市民の味方」を意識させていますね。
結果、当選されました。
木原さんのコピー(落選)
①木原さんのコピーは、とてもシンプル。でも、主張が分かりにくいです。まず、「志ひとつ」ですが「誰の・何の志」なのでしょうか?木原さんの志?立川市民の志?その点がよく見えてきません。結果的に、「誰発信→誰宛て」の構図がハッキリしないのです。
そして、「いきいき立川」です。これは、「(木原さんが)いきいきした立川をつくる」のか「(市民が)いきいきした立川を目指す」のかハッキリしませんね。シンプルに言えば中途半端なコピー。具体的に語って欲しかった。
全体的に①誰目線なのか②誰向けなのか③言葉足らず、こんな印象を受けます。
コピーが良くなかったからなのかは分かりませんが、残念ながら落選しています。
まとめ
ざっと、3人のコピーを見てきました。今回は、コピーの良しあしと当選・落選がハッキリしているような印象を受けました。もちろん、コピー当落のすべてを決めるものではありません。
ただ、有権者に「この人に投票してみよう」「期待してみよう」と思ってもらうためには、言葉が欠かせません。その言葉の発信の仕方、選び方、伝え方によって、多少なりとも選挙結果には影響を与えていると思います。
選挙に言葉は付きものです。有権者の記憶に残るコピーが欠かせません。
また、次回もお楽しみいただければ幸いです!
以前書いた2023年の立川市長選の記事も、よろしければご覧ください。
#選挙とコピー_2023立川市長選|和田裕史/言葉でブランディング/コピーライター (note.com)
おしまい
書いた人:和田裕史
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