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"逃亡日記" 第25夜 映画「マイ・ブロークン・マリコ」

"生きのびてしまった"シイノが駆け抜ける、たった3日のロードムービー🎬
タナダユキ監督が直球で投げてくる疾走感と喪失感と再生を全力で受け止めて‼︎

窪田正孝めあてで行ったら、久しぶりに映画で泣いてしまった。
すごくいいものみたな…って思ったので、ちょこっとレビュー。


〈あらすじ〉

やさぐれOLシイノは、ある日ニュースで親友の死を知らされる。自分に何も言わず逝ったマリコへの想いから、遺骨を"強奪"。海へ向かって旅にでる…🌊


シイノとマリコ

牛丼を、駅弁を、レモン酎ハイ🍋をむさぼり、
2階から飛び降り、骨箱を抱えて川を渡り、叫び、殴る。
…名もなき男(マキオ)じゃなくても『ワイルドっすねぇ…』って呟きたくなるくらい、シイノは強い。キラキラした若さとエネルギーに満ちあふれ、"マリコ"を追いかける。

殴られ、虐げられ、壊れても、まだなお自分を差し出し続けるマリコ。

シイノとマリコの、恋愛よりも近すぎて時にめんどくさい"女の子の友情"を、タナダ監督がていねいに映し出す。
『おばぁちゃんになっても一緒にいよう』…線香花火みたいにはかなくて(わがままで)夢のような言葉を、たぶんね、"女の子たち"はずーっと昔から言いあってきた。(たいていは、恋をしたり結婚したり仕事に忙しくて忘れちゃうような口約束だけど)

マリコが最後の決断をしたのは、シイノへの最大の"甘え"だったのかもしれない。

コミックな世界観

「百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」「ロマンスドール」…タナダ監督の映画は、すごく残酷なのに美しい映像でどこか現実味がない"きれいな悪夢"みたいだな、って思ってた。

今回も、すごくリアルにありそうなジゴクみたいなストーリーなんだけど、シイノもマキオもすらっと脚が長くて顔が小さくて…ほんとにマンガから抜け出してきたみたいに"きれい"
(なんなら原作の方が現実味あるけど…そのまま映像化したら"悪夢"になっちゃう)

タナダ監督作品の中でも、エグみが少なめで、すごく疾走感(1時間25分しかないのにこの満足感‼︎なんてテンポいい構成なんだ‼︎)と希望のあるエンディングなので、"初タナダ"におすすめです✨

登場人物3人だけ

マリコ役の菜緒がすごい存在感…ぽってりした唇に丸い輪郭線と柔らかそうな身体…肉食動物じゃなくても、むさぼりたくなる傷つけたくなる壊したくなる存在。
身近にいるDV男とばっか付き合う子もこんな目をしてる…)

名前もなき男(原作ではマキオ)の窪田正孝は、何も映さない真っ黒な瞳でうつろにマリコを見る。…こんな闇深い役窪田くんにさせたら、最高に決まってるじゃん…✨
(でへへ…みんなで窪田沼に堕ちよう(๑˃̵ᴗ˂̵))

永野芽郁がんばってる‼︎"若すぎる"疾走感とめちゃくちゃなストーリーを牽引する力技‼︎
これから、こんな"ひとくせ"ある役が増えるといいなー。



こんなジゴクみたいな物語の最後に、希望を持たせてしまうタナダ監督。すごい。

次見るときは、すっぴんで行って思い切り泣きたいな…。

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