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感情の記録2 : 1/6「正欲」朝井リョウ

久々に読書をする理由になった、高校同期T君の2022ベスト本。朝井リョウを読むのは初めて。

由美さんがえっちで、八重子ちゃんが気持ち悪かった。終盤、本編が幸せに向かっていく中で、冒頭の不穏な結末をどのようにして迎えたのか、不思議だった。

夏月と佳道が、修の心情を理解した部分が良かった。また、その2人の描写を通して、この世において人間との身体接触により得られる安心感は、性欲とは分離して存在していることがきちんと明示されていて良かった。

自分はマイノリティ側ですという顔をしてしまうのが悔しいが、内向的(外部に影響を与えようとするより自身についての思考を深めがち)だったり、なんとなく修学旅行の夜から疎外されがちだったり、多様性は干渉しないことと考えていたり、という面において夏月たちとの共通点を見い出していた。

八重子と、初手から大切にしている考え方が合致しない。
ミスコンは純粋な美の祭典として在ってほしい。

諸橋大也可哀想すぎて草。

コミュニティ内で世間様に迷惑をかけないためにルールが必要だと提案したヤツがオンラインで映像共有してるの謎。この人の舞台装置感が強かった。

主人公たちの性欲解消について、他者からのレスポンスが必要ないことが不思議だった、私が関係性フェチということなのかもしれない。
本人たちがひた隠しにするほど「水フェチ」と言うものが気持ち悪いものと思えず、登場人物全員がそれほど深刻に考えていることに終始若干の違和感を覚えていた。

八重子、最後に無理やり良い奴みたいにしてるけど住所調べあげて家凸するまでの全てが個人的には受けつけない。
勝手に兄のPC観て嫌悪感抱いていることも、言いたいことは分かるけど人のパソコン勝手に見るなや……という気持ちの方が強い。
しかしこれは、被害には敏感だが同種の加害行為を行っている自分は知覚できないということを私たちに認識させるための役者だったのかもしれない。

安直に容疑者3人に言及する話でなくてよかった。当事者がちょっと臭すぎた気がする。人との関わりを断っていたらそんなものなのか……。

一番検事に共感していた。由美の涙が良すぎる。
由美から涙について言及されてなお、根本的なレール外を認めない思考が変わっていないの著者の意図なのかな。
歳をとると頭がめちゃ固くなりそう、こわい。

T君のオススメということで、友人の興味関心のあることが垣間見えて良かった。

表紙かっこいい

おしまい

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