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【QA】ネガティブな感情、その背後には「満たされていない何か」があるかも?

Q.

最近、仕事でミスをして落ち込んでいます。そんな私を気遣って、同僚が飲みに誘ってくれました。飲みに行くその場は盛り上がって気が紛れるのですが、一人になると悲しくなって、落ち込んでしまいます。仕事のミスは些細なミスでしたが、いつまでも落ち込んでいる自分が嫌になります。どうしたら解消されますか?

A.

ネガティブな感情、あるいは落ち込みやすいといった自分の気質について、どうにか抑えたい、コントロールしたいという方は一定数いらっしゃいます。

でも、感情との付き合い方はそれだけではありません。
まずはネガティブな感情について、一歩下がって分析してみましょう。

感情にはポジティブで「快」なものと、ネガティブで「不快」なものとがあります。

「快」な感情とは、
嬉しい、楽しい、幸せ、安らぎ、ワクワク、満足感、充実感など、自分の内側があたたかく満たされるような、心地よい感情です。

逆に、「不快」な感情とは、
不安、恐れ、悲しみ、さみしさ、虚しさ、怒り、憎悪、嫉妬など、できれば感じたくないような、遠ざけたくなるようなネガティブな感情です。

心理カウンセリングでは、「快」「不快」どちらの感情も大切に扱いますが、特に「不快」な感情を丁寧に掘り下げていきます。あたりまえですが、相談に来られる方は不快な感情を自分ではどうしたらよいかわからず困っているからです。

そしてもうひとつ、「不快」な感情を掘り下げる大切な理由があります。
不快な感情の背景には、あなたの「満たされていない何か」が隠れているからです。
これは不快の反対である「快」について考えてみると分かりやすいと思います。

嬉しいと思ったり、幸せと感じる時、あなたにはきっと何か満たされたものがあるはずです。美味しいものを食べた時はお腹が満たされていますし、ふかふかのベッドで眠る時は睡眠欲求が満たされています。
つまり、反対の不快な感情の時には、何かが”満たされていない”のです。

例えば、学生時代に宿題をやっていないままで前日に焦燥感や不安を感じるのは、極端な話、宿題が終わっていない=満たされていないからです。
そしてそうした焦燥感や不安は、宿題を終えないと解消しません。

人はネガティブな感情がわいた時、それをダメなものだと抑えようとしたり、感じていないふりをして抱え込んでしまいがちです。
でも、そうしたネガティブな感情は、原因が満たされない限り続いてしまい、ますます自分を苦しめることにもなります。
喉が渇いたままなのに水を飲まないと、喉は渇いたままです。

ただし、誰しもが必ず感情と向き合わないといけないわけでもありません。
今回のケースのように、「飲みに行く」という気分転換で、うまく解消されるのであれば、それはそれで一つの進展と言えるかもしれません。

ただ、いくら気分転換をして気を紛らわそうとしても、解消されない場合は、「満たされない何か」を満たしてあげる必要がありそうです。

今回のケースでは、仕事で些細なミスをして、悲しい気持ちが消えないまま落ち込んでいるということですね。
「不快」な感情である「悲しみ」の背後には、どんな「満たされない何か=ニーズ」があるのでしょうか?

悲しみを掘り下げてみると・・・
例えば、「上司に頭ごなしに叱られて、自分の意図を全く理解してもらえず悲しかった」という事実が出てきたとします。

そうすると、「頭ごなしに叱らずに、自分の意図をもう少し理解してほしかった」という「ニーズ」が出てくるかもしれません。
もし、自分のニーズに気が付いたら、後日タイミングを見て上司に自分の意図を改めて伝えることができるかもしれませんし、逆にあえて伝えない選択もできます。

伝えない選択をしたとしても、なんとなく伝えずにいるのとはわけが違います。自分で自分の感情と向き合い、受けとめる作業をしたうえで、自分の意志で選択をしているからです。
この場合、何かのきっかけで気持ちが揺らぐことがあっても、ある程度納得して自分の中に留めておくことができたりします。

また、感情は不思議なもので、感情そのもの、もしくはその背後にある「ニーズ」に気が付いた時点で、なんだか気が済んで気持ちがラクになることさえあります。

「不快」な感情を抱えた時、何かで気を紛らわせたり、気分転換をしても解消されない場合は、少し立ち止まって掘り下げてみると、気持ちがラクになるヒントに出会えるかもしれません。

心地よい「快」な感情は、心の栄養であり、生きていくためのエネルギーの源になります。
そして、遠ざけたくなる「不快」な感情は、自分にとって満たされていないものを教えてくれるサインです。
だからこそ、「快」な感情も「不快」な感情もどちらも大切なのです。

あなたの中には、今どんな感情がわいていますか?
例え「不快」な感情があっても、怖がらなくて大丈夫ですよ。あなたの中にあるどんな感情も、大切にしてあげてくださいね。


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幸村 奈未子
公認心理師として、心理学講座講師、対面カウンセリング、電話相談、SNS相談等に従事し、様々な背景をお持ちの方のお悩みに寄り添ってきた。また、感受性が強く敏感な気質(HSP)の方へ向けて、心のケアのためのセミナーや、気持ちを分かち合う場を提供している。

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回答:幸村 奈未子
編集:メザニン広報室