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J.M.WESTONのシグネチャーローファー  『服と暮らし』No.200

(引用元:https://jmweston.jp/

誰しも憧れの靴というのはひとつやふたつあるもので、僕にとってのそれは〈J.M.WESTON〉のローファーでした。昔から持っている靴の多くはスニーカーだったので革靴をそれほど履いてきた訳ではないのですが、ジェイエムウエストンのローファーはもう「見た目が好み」という理由が一番大きいです。A.P.C.もそうですが、フランスのブランドにはクラシックなデザインが好きな人を唸らせるなんとも言えない魅力があるのです。(それをある人は”エスプリ”と呼んだりするのでしょう)けっしてミニマルなデザインというのではないのですが、カーフスキンのアッパー、縫い合わせ、Uチップモカシン、どの部分をとっても職人肌な美意識と高級感が感じられます。

(引用元:https://jmweston.jp/

このシグニチャーローファー #180というモデルはその名の通り 、ジェイエムウエストンの歴史とは切り離せない象徴的な一足。運良く安く手に入れることのできたのですが、「全体にまんべんなく圧迫感のある、少し小さめを買った方が良い」という店員さんの助言を信じたばかりに大変な修行を強いられることになりました。ジェイエムウエストンのローファーを知る人には有名な”万力締め”というものです。少し小さめのサイズを履き慣らすことで革が足の形に沿って伸び、その修行を経ることで最上の履き心地が味わえるというものなのですが、本当に、これが冗談にならないほどに痛いのです。初めて履いた時は15分ばかり近所を散歩しただけでしたが、「うん、もうこれは家に飾っておこう」と決めてしまいたかったほどでした。
ただ、今はインターネットでなんでも調べられる時代。修行を乗り越えた人や、乗り越えるまでの過程をブログに残している人の記事を読み、これもいずれ報われると考えながら修行を(実は今も)続けています。

(引用元:https://jmweston.jp/

苦労したぶん、「これから履く人たちも苦労してしまえ」という意地悪な心がないこともないのですが、僕の経験からお話するとそれほど小さいサイズを買う必要はなかったと思っています。多分賢い人は普段履いているサイズより1サイズだけ下げ、(僕は2サイズ下げました)靴下の厚みで調整しているのでしょう。履き初めからストレスのない革靴も多くあるなか、あえてこんな苦労をする必要は正直言ってありません。それでも僕が足を痛めながら履き続けるのはこの靴の「見た目が好み」という他にないです。そして、そのような靴を今までの人生で体験したことがないので、一足くらいであれば頑張ってみたいと思うのです。

いつか「革の靴下」とも称される極上の履き心地にたどり着く日はくるのでしょうか。その日が来たとすれば、このnoteに書いた文章は少し変更を加えることになるかもしれません。

J.M.WESTON / シグニチャーローファー #180  ¥126,500-


今週も最後までお読みいただきありがとうございました。

今週で無事第200号を迎えることができました。
今後は不定期連載とさせていただきますので、次回の更新をお待ちください。前回のNo.198はこちらからご覧ください。


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