松尾翼 Matsuo Tsubasa

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松尾翼 Matsuo Tsubasa

世の中にあるデザインのふつうについて考えています。寄稿、執筆などのご依頼はSNSのダイレクトメッセージ、もしくはm2.aowi@gmail.com までお願いします。

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    ファッションデザイナーやブランド、サービスについての考察、コラムなどをまとめていきます。 無料部分でも十分記事が読める有料記事、読み物として面白い宣伝記事は、入れていきます。

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イザとユニフォーム 「ヴィンテージになりそこねた古着」を”見立てる”こと

2016年に「日常の制服」というコンセプトでItheというレーベルを始めるきっかけとなった一本のワークパンツがあります。 1980年代のフランスで作られたワークパンツ、そのデザインをもとに現代を生きる自分たちが美しいと感じる生地で作り直したこと。(それはのちにItheからもリリースされることになるのですが) それが今の”見立てる”という活動に繋がっています。 ”見立て”は茶道など使われることのある言葉で、「ものを本来のあるべき姿ではなく、別のものとして見る」という物の見方

    • カムバック フリース

      2020年の冬に発表した、イタリア製のフリースを使ったプルオーバーが個人的にも毎年冬の制服となって数年が経った。 安くて軽くて暖かいフリース生地を使った洋服がストリートにも定番として受け入れられ、今年はまたこの生地を使っていくつかのバリエーションで展開ができればと膨らませる。正確には、スポーティに着られるハーフジップのトップスとパンツ、計3型をイメージして。 コーディネートにあれこれとこだわる気になれない寒い日でも、とりあえずこの上下にコートやダウンジャケットを羽織れば完結し

      • 出会いの熱量が冷めないうちに

        夏に履きたいレザーサンダルと、秋冬向けのロングコート。 季節感がちぐはぐになってしまっていますが、今月同時に受注を受け付けています。 自分たちが欲しいと思うものとその製品を作るために必要な人との出会いは予想がつかないもので、走り始めればいつも急な話になってしまう。 だけど、時間をかけることと同じくらい鉄が熱いうちに打つのも大切なことだと思うのです。 今はお互いに熱量があるけれど、先延ばしにしてしまえばその時にお互いが同じ熱量で話ができるかどうかはわからない。 気分もあるし

        • なぜなら僕たちはファッションを楽しむために服を選んでいるのだから

          言わずもがな、シャツというのは便利な服だ。 襟がついていることできちんとした印象にも見えるし、前が開くから体温調節のために脱ぎ着もしやすい。Tシャツ一枚で街を歩くことが苦手な僕にとっては(もちろん、あんまり暑いとそんなことも言ってられなくなってしまうけれど)コートやニットの中に着ることにで不自然な皺が入ってしまう冬以外は年中着ることになる。 ただ、その良さはやっぱり春から夏にかけて、秋から冬にかけて。季節の端境期(はざかいき)に最も感じられる。もう、もしくはまだ、コートを着

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          ”価値がないもの”を愛でることで未来の価値を生み出す

          この何年かで「古着」というジャンルが大きなムーブメントになりました。 サスティナブルという価値観の広がりやファッションビルに並ぶ服の均質化、人と被らないものを比較的安価に購入できる手段として、または二次流通市場の発達や仕事における服装を規定する企業が減ったこともあるでしょう。 いまや服を探す際のファーストチョイスが古着、という方も珍しくないのではないでしょうか。 「古着のデザインを読み解き、その服が作られた歴史的な背景やディテールからその特徴を見立て、新たな服として世に提

          ”価値がないもの”を愛でることで未来の価値を生み出す

          「それでもわかって欲しい」という態度を忘れないようにしたい

          服、音楽、映画、本。など。 文化を愛する人たちが楽しみ、大きな影響を受けてきたものたちが今ではみんな「オワコン」扱いされ、稼げないうえに労働環境も悪いとしばしばニュースにも取り上げられてしまう現代。以前だったらロックバンドを組んで世界を変えようとしていたような若者たちはこぞってエンジニアになり、アプリで(実際に)世界を変えようとしているのも音楽が夢を叶える存在ではなかったことを証明するよう。 それらを販売するセレクトショップやレコードショップ、レンタルビデオ店に本屋。など。

          「それでもわかって欲しい」という態度を忘れないようにしたい

          J.M.WESTONのシグネチャーローファー  『服と暮らし』No.200

          誰しも憧れの靴というのはひとつやふたつあるもので、僕にとってのそれは〈J.M.WESTON〉のローファーでした。昔から持っている靴の多くはスニーカーだったので革靴をそれほど履いてきた訳ではないのですが、ジェイエムウエストンのローファーはもう「見た目が好み」という理由が一番大きいです。A.P.C.もそうですが、フランスのブランドにはクラシックなデザインが好きな人を唸らせるなんとも言えない魅力があるのです。(それをある人は”エスプリ”と呼んだりするのでしょう)けっしてミニマルなデ

          J.M.WESTONのシグネチャーローファー  『服と暮らし』No.200

          OLDE THINGSのソックス 『服と暮らし』No.199

          特に男性にとって、靴下はユニクロの50色ソックスに勝るものを見つけるのは簡単なことではありません。一足250円という他社を圧倒する価格設定は、例えば月に一度買い替えたとしても3000円。これは国内でこだわりをもってデザインされたブランドの靴下であれば一足買えるかどうか、という価格です。もし買えたとしてもそれを一年毎日のように履くことはできるでしょうか。いわゆる「コスパ」という考えのもとでそういうことを計算しはじめてしまうと、この靴下より優れているものはありません。 僕ももち

          OLDE THINGSのソックス 『服と暮らし』No.199

          COMOLIのウール ニータックパンツ 夏はTシャツ+ワイドパンツ 『服と暮らし』No.198

          定番で展開されてないモデルをこのマガジンに掲載することはあんまりないのですが、今年の夏、とても助かっているパンツをご紹介させてください。 〈COMOLI〉のウール ニータックパンツです。 個人的にはできれば夏にも長袖を着たい、というのが本音なのですが、最近のあんまりな暑さに立ち向かう勇気などなくTシャツ一枚で出かけることも多くなりました。”Tシャツ一枚できちんとおしゃれに見せる”というとよくある自己啓発的ファッション指南みたいになってしまいますが、こなれた感じに見えるコツと

          COMOLIのウール ニータックパンツ 夏はTシャツ+ワイドパンツ 『服と暮らし』No.198

          adidas OriginalsのSTAN SMITH サスティナブルから嫌われたスニーカー 『服と暮らし』No.197

          スニーカーフリークにとって<adidas Originals>のSTAN SMITHを嫌いという人はまずいないでしょう。1970年代に活躍したアメリカ出身のテニスプレーヤー、スタン・スミス氏のシグネチャーモデルとして発売したこのモデルは、それから現代にわたって長い間老若男女に愛されてきました。 コンパクトで中立的なデザインとレザーアッパーの高級感、踵部分にあしらわれたヴィヴィットなグリーンはカジュアルにもフォーマルにも履く人のコーディネートを問わず合わせられるのが魅力でした。

          adidas OriginalsのSTAN SMITH サスティナブルから嫌われたスニーカー 『服と暮らし』No.197

          Fritz Hansenのアントチェア 3本脚の椅子は格好いい 『服と暮らし』No.196

          30代にさしかかる頃から家具にも携わる仕事を始めて、それから家具にいくぶんか興味が湧いてきました。ただ、日本の狭い住環境や賃貸であるがゆえの壁紙の”家っぽさ”、引っ越した時にサイズ感が合わなくなったらどうしようという思いもあってなかなか大きな家具を買うことに躊躇する気持ちもあるのですが、その点椅子は比較的ややこしいことを考えなくていいのでおすすめです。 〈Fritz Hansen〉のアントチェア(アリンコチェア)は1952年にアルネ・ヤコブセンによりデザインされたもの。以前

          Fritz Hansenのアントチェア 3本脚の椅子は格好いい 『服と暮らし』No.196

          OLIVER PEOPLESのサングラス 『服と暮らし』No.195

          「30歳を過ぎると日差しが眩しく感じるようになる」というのは定説としてありますが、僕も例に漏れず年々眩しさが増している気がします。これまで日本人でサングラスをかける人は格好つけているだけだと思っていましたが、撤回させてください。どうやらそうでもないようです。 そこでサングラスを買おうと思い立ったのは去年のこと。サングラス、というよりアイウェア自体これまでほとんど身につけることがなかったので本当にいちから探し始めたんですが、ブランドの歴史やブランディングの様子、価格とのバラン

          OLIVER PEOPLESのサングラス 『服と暮らし』No.195

          RAINSのレインコート 雨の日を心地よく過ごすために 『服と暮らし』No.194

          そろそろ梅雨に入る季節、ということで雨に備える機会も多くなってきそうですね。そもそも、レインコートほど格好いいものが少ないアイテムってあんまりないと思います。最近はゴアテックスを使ったものやアウトドアブランドで撥水機能を持ったシェルが増えてきましたが、ファッションの分野で、かつ高揚感をもって着ることができ、比較的売り切れたりせず定番として展開しているレインコートは今のところこの〈RAINS(レインズ)〉くらいしかないんじゃないでしょうか。 大前提として、雨の日は憂鬱なもので

          RAINSのレインコート 雨の日を心地よく過ごすために 『服と暮らし』No.194

          Brooks Brothersのパジャマ 『服と暮らし』No.193

          パジャマって何を着ていますか? たしか両親はきちんと夜にパジャマを着ていたような気がするんですが、僕がパジャマを着ていたのは小学校くらいまで、それからはジャージやスウェットをパジャマがわりにしていました。 なぜか中学生にとってジャージってけっこう格好いいもので、(プーマのジャージを「プージャ」って呼んでましたよね。)逆にパジャマってちょっとダサいと思っていた気がします。以降も着古した服なんかをパジャマがわりにしていたんですが、パジャマを着てみたいと思ったのは 「Tシャツと短

          Brooks Brothersのパジャマ 『服と暮らし』No.193

          PB0110のカードケース 『服と暮らし』No.191

          以前Aetaのミニウォレットについて記事を書かせていただきましたが、僕が今ほとんど財布として使っているカードケースについて今日は書きたいと思います。〈PB0110(ピービーゼロワンワンゼロ)〉はドイツ人のフィリップ・ブリーという方が設立したブランドで、「PB」は彼のイニシャルから。もともとドイツには〈BREE(ブリー)〉という老舗のバッグブランドがあり、その創業者のご子息でもあります。 ピービーの良いところはカーフスキンという薄い革を使っているので風合いが男らしくなく、キメ

          PB0110のカードケース 『服と暮らし』No.191

          Patagoniaのフリクションベルト 『服と暮らし』No.191

          僕が学生くらいの頃にはサイズの小さいTシャツに大きなバックルのついたベルト、細いパンツを穿いた人をいたるところで見かけましたが、最近はそういう格好をめっきり見かけなくなりました。もちろん一部では健在しているのかもしれませんが、インナーに着た服がバックルに擦れて跡に残ってしまうのが個人的には好ましくなくて、ベルトを選ぶ時はバックルの控えめなものを選ぶようにしています。 そのうえ、昔からトップスの裾をパンツの中に入れるのがどうも好きになれなかくて(制服のシャツの裾をパンツから出し

          Patagoniaのフリクションベルト 『服と暮らし』No.191