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地球に来る理由は侵略だけじゃない。宇宙空間都市・ペガッサ市の悲劇

敵には敵なりの理由がある。

悪役と言うと、自らの欲望を満たす為に人を暴力や強奪によって苦しめ、いざとなったら仲間も見捨てる冷酷な性格、有名どころで言えば「天空の城ラピュタ」のムスカのようなイメージでしょうか?
ウルトラマンシリーズでも「ウルトラマン」第33話「禁じられた言葉」に登場したメフィラス星人のように誘拐した子供を脅して「地球をあげます」と言わせ、侵略の既成事実を作ろうとした、その名の通り「悪質」な敵も多数存在します。
一方で「バットマン」のヴィランや「鬼滅の刃」の鬼など闇落ちした背景に悲しい過去がある敵がいるのも事実。
そこを見せる事で敵に感情移入という、ただの勧善懲悪モノにはない深みを持たせ、より視聴者を物語に引き込む事が可能となります。
ウルトラセブンにおいても地球を侵略、破壊、或いは人類を拐わなければいけない理由を持った宇宙人が複数いた事はご存知でしょうか?
以前書いた「超兵器R1号」のギエロン星獣もそのうちの1体ですが、今回は「ウルトラセブン」第6話「ダーク・ゾーン」のペガッサ星人のお話しをしたいと思います。

宇宙空間都市ペガッサ市の悲劇

まずストーリーをざっと紹介。
母星の荒廃により「宇宙空間都市・ペガッサ市」に居住し、宇宙を放浪しながら生活するペガッサ星人。
ある時、ペガッサ市の動力系が故障し、地球と衝突の危機に陥った為、地球側に軌道の変更を要求する。
しかしそんな事が出来るはずもなく……紆余曲折の末、地球防衛軍はペガッサ市の破壊を決断する。
ダンの提案もあり、地球への移住を提案するもペガッサ市側からの応答はなく、やむなく破壊……。
ペガッサ星人側もいざという時、地球を爆破出来るように工作員を忍ばせており、地球破壊爆弾を仕掛けた後にセブンと対峙します。
そこでペガッサ市が破壊された事を知ると、復讐の為、セブンに挑むも返り討ちに遭い、そのまま姿を消していきました……。

これは地球人類もペガッサ星人も生きるか死ぬかの問題なので、どちらが良い悪いと判断出来る問題ではありません。
またどちらの要求、行動も理解が出来るのでペガッサ星人にも同情の余地はあります。
ペガッサ市の動力が故障しなければ、また別の場所で故障していれば起きなかった、正に「悲劇」といっても過言ではないでしょう。

ペガッサは宇宙が生んだ最高の科学なんだ。
私はとっくに地球を破壊する準備は終わっていた。
それをしなかったのは最後の最後まで、私たちの科学の力でこの事態をなんとかしようと……

ウルトラセブン第6話「ダーク・ゾーン」より

上記のセリフが物語るように、決して悪い宇宙人ではないはずです。
しかしこの悲劇は地球とペガッサ、また生き残ったペガッサ星人同士にも亀裂を生じさせる事になります。
実際、その後が描かれた「平成ウルトラセブンシリーズ」では密かに地球に逃れ、生き残っていたペガッサ星人が登場。
しかし地球で静かに暮らす「穏健派」とペガッサ市を破壊された事への復讐を誓う「侵略派」に別れ、やがて2派は衝突……これもまた悲劇の連鎖と言えるかもしれません。

まとめ

他にも第11話「魔の山へ飛べ」のワイルド星人や第42話「ノンマルトの使者」のノンマルトなど理由を聞くと、「どうにかしてあげたい」や「どちらかというと悪いのは人間では?」と思ってしまう敵や話しが多いのもセブンの特徴であり、魅力です。
これから特撮やアニメを観る際は「敵の目的」にも注目してみると、その物語をより深く楽しむ事が出来るので是非!

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